ファイナル第2日目【演奏後コメント】

2015.12.07|オフィシャルレポート

ファイナル演奏後のコンテスタントにお話を聞きました。


◇アレクシア・ムーサさん(ギリシャ/ベネズエラ)

─指揮者の高関さんとの共演はいかがでしたか? 演奏について何かリクエストを伝えたりしましたか?

指揮者の方はとても好きでした。楽しかったです。たった2日前にお会いして共演しただけなので何かリクエストを伝えてどうということはできませんでしたが、うまくいったと思います。


─黒いドレスを選ばれていることに理由はあるのですか?

特に黒に意味があるわけではないですよ。ところで、このドレスは自分で作ったんです。2作目のドレスで、1作目よりこちらのほうが好き。


─クラシック音楽以外には、どんな音楽を聴いているのですか?

いろいろです。ブルース、サルサ、ジャズ、レゲエ、最近のギリシャ音楽、古いギリシャ音楽と、本当にたくさん! クラシックだけ聴くわけではありません。


─チャイコフスキーのコンチェルトを演奏しているとき、考えていたイメージなどはありますか?

たくさんのことを考えていました。何も考えていないときも、良いことを考えているときもある。正反対のものがいろいろ存在しています。その時々、何を選択していくのがいいか考えながら演奏していたと思います。


(自作のドレス、とてもすてきでしたが、製作期間はたった数日とのこと。後のインタビューでもう少し詳しくお話を聞いてみたいと思います。そして、いろいろな音楽を聴くというそのジャンルの幅の広さ。ムーサさんの音楽にあらわれていますね)



◇フロリアン・ミトレアさん(ルーマニア)

─演奏を終えて今のご気分は?

とても安心しました。まずこのようなコンクールのファイナルで演奏できてとても光栄なのと、責任も感じています。ファイナルの準備をしているとき、いつも頭にちらついていたのは、"セミファイナリストには、君よりこのコンチェルトのことをわかっている人がいたはずだ。でも君はチャンスを得たのだから、全力を出せ"という考えです。

演奏については、1楽章はうまく始められたのですが、ちょっと力を出し過ぎて、この楽章が終わるころには疲れてしまい、もう終わってほしかった(笑)。完璧ではありませんでしたが、こういう経験があってだんだん上達していくものだろうと思いました。


─今年たくさんのコンクールがある中でこのコンクールを選んだのは?

予備予選の課題にベートーヴェンの晩年のソナタというのがあるのを見て、それは、このコンクールが思慮深いコンテスタントを探しているというメッセージだと思いました。それで、ここなら僕の音楽性の強みである、構造を大切にする部分などを見てもらえると思ったので、応募することにしました。

今回は初めての日本ですが、運営がしっかりしているので、こうして新しい文化に入ってくる状況でも何の問題もなく、自然な気持ちで過ごすことができました。


─今日も緊張していたのですか?

この二晩、文字通り、全然眠れませんでした。映画を観たり、カモミールティーを飲んだり、ストレッチをしたり、お風呂につかってみたり、あらゆることを試してみたけれどなにも意味がなかった。頭をオフにしようとしても、"この音も、あの音もわからない!"という考えが次々浮かんできてしまって。

そして、コンチェルトを弾くステージは、僕にとって一番大変でした。オーケストラと演奏する経験はほとんどありませんでしたし。でも、室内楽についてはたくさん演奏経験があったので、本当に一番楽しい時間でした。


─プロコフィエフの3番を選んだ理由は?

プロコフィエフはとても好きな作曲家の一人です。ロシア音楽の中ではとくに。僕自身、すごくロマンティックな演奏をするタイプではないので、ラフマニノフを弾く感じでもありませんし......。プロコフィエフについては、まず人としてとても好きです。すばらしい人柄の持ち主。その音楽の背後にはさまざまな思考があり、天才的なものを感じます。去年、ミュンヘンのADRコンクールに入賞した後、オーケストラと共演できる機会にプロコフィエフの3番を演奏したことがあったので、有利でもあるなと思いました。


─演奏の前後、オーケストラに、にこにこ丁寧に挨拶をしていましたね。

そうそう、僕の緊張を吸い取ってくれー!って(笑)。


─指揮者の高関さんとの共演はいかがでしたか?

彼はすばらしく、ブリリアントで正確な指揮者で、すごく助けてくださいました。僕の最初のリハーサルは最悪でした(笑)。プロのオーケストラと演奏するのは2回目だから、どうやって受け入れたらいいのかよくわからなくて、とにかく居心地が悪かったんです。それでコンチェルトを弾くのが本当に怖くて、一人で3曲ソナタを弾けといわれるほうがずっといいと思ってしまいました。指揮者とオーケストラを信じて演奏に入ってゆく経験をもっと積んでゆかないといけないなと思っています。


(ところでミトレアさんのリュックサックには、晴れて降水確率ほとんどゼロの日でも、必ず折りたたみ傘がささっています。ずいぶん心配性の人なのかな......と思ったら、ロンドン暮らしが長いので、傘を持ち歩くのが癖になっているのだということ。そんなわけで、初めての日本でも常に傘持参でした。とはいえ、コンサート前のものすごい緊張っぷりについて聞いていると、やっぱり心配性タイプなのだろうと思われます)



◇ローマン・ロパティンスキーさん(ウクライナ)

─演奏を終えて、今の気分は?

興味深いコンクールでファイナリストとなり、すばらしい気分です。コンクールではなく、音楽を祝福しているイベントだと感じます。いろいろな国のピアニストと、すばらしい有名な審査員が参加していて、とても良いコンクールだと思いました。


─たくさんのコンクールがあった今年、浜松を受けることにしたのは?

8月にブゾーニコンクールに出場したことがすごく良い経験になったからです。
日本では、以前キエフでのホロヴィッツ国際ピアノコンクールに優勝したあとのコンサートで、3、4年前に演奏しています。


─ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番はこれまで何度か演奏されていますか?

確か2010年に初めて弾いて、それ以来とても気に入っています。今回は良い選択をしたと思います。苦しみ、愛情などとにかくたくさんの感情が込められた良い作品です。ラフマニノフは、ロシアからアメリカに渡り、困難な人生を送った人でしたが、そうしたことがこのコンチェルトの中に込められていると思います。


─オーケストラとの一体感がすごかったです。

オーケストラとの演奏した経験はもう20回以上あるので、問題はありませんでした。
オーケストラの音楽がとても好きで、キエフの音楽院では指揮のクラスもとっています。将来的には指揮もできたらいいなという夢を持っています。


(先のミトレアさんとは対照的に、ロパティンスキーさんは全然緊張しないタイプということで、ファイナルの大舞台でも特に緊張しなかったとのこと。アルゲリッチが聴いていると思うと緊張すると言っていたコンテスタントがいたので、そういうこともないのかと試しに聞いてみると"どうして? 僕にとってはむしろナイスだよ"との返事。緊張とは無縁の男です)


文 ・ 高坂はる香






















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2015.12.07
ファイナル第2日目【演奏後コメント】

ファイナル演奏後のコンテスタントにお話を聞きました。


◇アレクシア・ムーサさん(ギリシャ/ベネズエラ)

─指揮者の高関さんとの共演はいかがでしたか? 演奏について何かリクエストを伝えたりしましたか?

指揮者の方はとても好きでした。楽しかったです。たった2日前にお会いして共演しただけなので何かリクエストを伝えてどうということはできませんでしたが、うまくいったと思います。


─黒いドレスを選ばれていることに理由はあるのですか?

特に黒に意味があるわけではないですよ。ところで、このドレスは自分で作ったんです。2作目のドレスで、1作目よりこちらのほうが好き。


─クラシック音楽以外には、どんな音楽を聴いているのですか?

いろいろです。ブルース、サルサ、ジャズ、レゲエ、最近のギリシャ音楽、古いギリシャ音楽と、本当にたくさん! クラシックだけ聴くわけではありません。


─チャイコフスキーのコンチェルトを演奏しているとき、考えていたイメージなどはありますか?

たくさんのことを考えていました。何も考えていないときも、良いことを考えているときもある。正反対のものがいろいろ存在しています。その時々、何を選択していくのがいいか考えながら演奏していたと思います。


(自作のドレス、とてもすてきでしたが、製作期間はたった数日とのこと。後のインタビューでもう少し詳しくお話を聞いてみたいと思います。そして、いろいろな音楽を聴くというそのジャンルの幅の広さ。ムーサさんの音楽にあらわれていますね)



◇フロリアン・ミトレアさん(ルーマニア)

─演奏を終えて今のご気分は?

とても安心しました。まずこのようなコンクールのファイナルで演奏できてとても光栄なのと、責任も感じています。ファイナルの準備をしているとき、いつも頭にちらついていたのは、"セミファイナリストには、君よりこのコンチェルトのことをわかっている人がいたはずだ。でも君はチャンスを得たのだから、全力を出せ"という考えです。

演奏については、1楽章はうまく始められたのですが、ちょっと力を出し過ぎて、この楽章が終わるころには疲れてしまい、もう終わってほしかった(笑)。完璧ではありませんでしたが、こういう経験があってだんだん上達していくものだろうと思いました。


─今年たくさんのコンクールがある中でこのコンクールを選んだのは?

予備予選の課題にベートーヴェンの晩年のソナタというのがあるのを見て、それは、このコンクールが思慮深いコンテスタントを探しているというメッセージだと思いました。それで、ここなら僕の音楽性の強みである、構造を大切にする部分などを見てもらえると思ったので、応募することにしました。

今回は初めての日本ですが、運営がしっかりしているので、こうして新しい文化に入ってくる状況でも何の問題もなく、自然な気持ちで過ごすことができました。


─今日も緊張していたのですか?

この二晩、文字通り、全然眠れませんでした。映画を観たり、カモミールティーを飲んだり、ストレッチをしたり、お風呂につかってみたり、あらゆることを試してみたけれどなにも意味がなかった。頭をオフにしようとしても、"この音も、あの音もわからない!"という考えが次々浮かんできてしまって。

そして、コンチェルトを弾くステージは、僕にとって一番大変でした。オーケストラと演奏する経験はほとんどありませんでしたし。でも、室内楽についてはたくさん演奏経験があったので、本当に一番楽しい時間でした。


─プロコフィエフの3番を選んだ理由は?

プロコフィエフはとても好きな作曲家の一人です。ロシア音楽の中ではとくに。僕自身、すごくロマンティックな演奏をするタイプではないので、ラフマニノフを弾く感じでもありませんし......。プロコフィエフについては、まず人としてとても好きです。すばらしい人柄の持ち主。その音楽の背後にはさまざまな思考があり、天才的なものを感じます。去年、ミュンヘンのADRコンクールに入賞した後、オーケストラと共演できる機会にプロコフィエフの3番を演奏したことがあったので、有利でもあるなと思いました。


─演奏の前後、オーケストラに、にこにこ丁寧に挨拶をしていましたね。

そうそう、僕の緊張を吸い取ってくれー!って(笑)。


─指揮者の高関さんとの共演はいかがでしたか?

彼はすばらしく、ブリリアントで正確な指揮者で、すごく助けてくださいました。僕の最初のリハーサルは最悪でした(笑)。プロのオーケストラと演奏するのは2回目だから、どうやって受け入れたらいいのかよくわからなくて、とにかく居心地が悪かったんです。それでコンチェルトを弾くのが本当に怖くて、一人で3曲ソナタを弾けといわれるほうがずっといいと思ってしまいました。指揮者とオーケストラを信じて演奏に入ってゆく経験をもっと積んでゆかないといけないなと思っています。


(ところでミトレアさんのリュックサックには、晴れて降水確率ほとんどゼロの日でも、必ず折りたたみ傘がささっています。ずいぶん心配性の人なのかな......と思ったら、ロンドン暮らしが長いので、傘を持ち歩くのが癖になっているのだということ。そんなわけで、初めての日本でも常に傘持参でした。とはいえ、コンサート前のものすごい緊張っぷりについて聞いていると、やっぱり心配性タイプなのだろうと思われます)



◇ローマン・ロパティンスキーさん(ウクライナ)

─演奏を終えて、今の気分は?

興味深いコンクールでファイナリストとなり、すばらしい気分です。コンクールではなく、音楽を祝福しているイベントだと感じます。いろいろな国のピアニストと、すばらしい有名な審査員が参加していて、とても良いコンクールだと思いました。


─たくさんのコンクールがあった今年、浜松を受けることにしたのは?

8月にブゾーニコンクールに出場したことがすごく良い経験になったからです。
日本では、以前キエフでのホロヴィッツ国際ピアノコンクールに優勝したあとのコンサートで、3、4年前に演奏しています。


─ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番はこれまで何度か演奏されていますか?

確か2010年に初めて弾いて、それ以来とても気に入っています。今回は良い選択をしたと思います。苦しみ、愛情などとにかくたくさんの感情が込められた良い作品です。ラフマニノフは、ロシアからアメリカに渡り、困難な人生を送った人でしたが、そうしたことがこのコンチェルトの中に込められていると思います。


─オーケストラとの一体感がすごかったです。

オーケストラとの演奏した経験はもう20回以上あるので、問題はありませんでした。
オーケストラの音楽がとても好きで、キエフの音楽院では指揮のクラスもとっています。将来的には指揮もできたらいいなという夢を持っています。


(先のミトレアさんとは対照的に、ロパティンスキーさんは全然緊張しないタイプということで、ファイナルの大舞台でも特に緊張しなかったとのこと。アルゲリッチが聴いていると思うと緊張すると言っていたコンテスタントがいたので、そういうこともないのかと試しに聞いてみると"どうして? 僕にとってはむしろナイスだよ"との返事。緊張とは無縁の男です)


文 ・ 高坂はる香






















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