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2018.12.07 Official Report

【公式】第6位 安並貴史さん インタビュー

「生徒のレッスンをして、コンクールはある世界の一部のことでしかないんだと我に返って、安心しました」




ー結果発表から一夜明けて、入賞者として今どのようなお気持ちですか?

 これでもう終わってしまうんだという気持ちです。この6人の中に入ることができたのは、僕にとって驚きでした。3次の結果のときに、僕か!と思って、そのときから驚いていました。
結果については、逆に安心したところがあります。自分の中で演奏に納得がいっていなかったので。一つ勉強になりました。

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ー1次の演奏からブラームスが大好きなことが伝わってきましたが、本選ではオーケストラとの共演が初めてというなか、ブラームスの2番という大曲を選ばれました。初めての協奏曲としては大変な曲のようにも思えますが、そのあたりは迷うこともなかったのでしょうか? 先生も賛成されて?

 僕、プログラムを組むときに、先に理想が来てしまうようなところがあって...。こうなったら、今弾きたいブラームスを最後に置きたいという思いがあり、自然とこういった選択になりました。
今は大学院で二人の先生方に師事していますが、コンクール直前はあまりレッスンがなかったので、今回はほとんど一人でコンクールの準備をしていた形でした。




ーコンクールの準備は、孤独に積み上げていく作業だったのですね。プログラムもそういう曲目でしたし。

 そうですね。本当にそういう感じでした。そのうえ、このあと半月、大きな演奏活動がいくつか控えていて。コンクールは終わりましたが、しばらく気を張っていないといけません。




ーカワイのピアノを演奏されました。どこが気に入って選びましたか?

 ピアノ選びのとき、メーカーを見ずにパッと弾いて選んだのです。結構、早く決まりました。


ーえっ、どうやてメーカーを見ないで弾くんですか?

 鍵盤の上に書いてあるのがわかっているから、下を向いてピアノのところに歩いて行って、こうやって(目を閉じて)弾くということを、3つのピアノでやりました。弾いた感じでなんとなくメーカーがわかったりもするのですが、とにかくフラットな感覚で弾いて選ぼうと思いました。今回のプログラムのことを考えたとき、他のピアノのキラキラしたハスキーな音よりも、カワイの丸い音が合っていると思って選びました。全ステージ通して弾きやすかったです。
 とはいえ、本当は楽器を問わず、なんでも自分でまぁるい音を出せるようでなくてはいけないんですが...。

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ーかつてはブラームスやバルトークの研究を、そして現在は大学院の博士課程でドホナーニの研究をされているそうですね。深く研究した作曲家とそれ以外で、やはり曲との距離に違いは感じるのでしょうか。

 それは大きく違うと思います。演奏経験は論文を書くことにあまり反映しませんが、論文を書くことは、演奏にすごく反映すると思います。曲への思い入れは、研究しているかどうかで違いはありません。でも実際の演奏は、研究した作品のほうが細部まで磨かれるのは確実だと思います。
まだ博士課程の1年目なので、論文執筆に向けての作業も基礎的な段階です。テーマとしては、ドホナーニのソロのピアノ作品について、分類や整理を行う予定です。




ーもともとドホナーニとの出会いは?

 ブラームスとバルトークの研究をする中、深掘りしていったら、両方の生涯の中で同じ人物が登場したのですが、それがドホナーニでした。どんな人なのかを調べたら、当時の音楽界でとても重要な人物だということがわかって興味を持ったことがきっかけです。



ーところで、島村楽器の音楽教室の講師など、教えるお仕事もしながらコンクールに挑戦されているということで、「蜜蜂と遠雷」の高島明石と重なると注目されていたそうですね。

 そうなんです。確かに、こういう活動をしている人たちの中では、特異な存在かもしれません。キャラクターがうまく重なったのかな。


ーコンクール中も、本選の前にレッスンのお仕事があったそうですね。

 はい、でも逆にリフレッシュになりました。僕は実家に滞在してコンクールを受けていたので、本当はリラックスして過ごせるはずなのに、浜松に一人で滞在しているような緊張感がずっとありました。
 そんな中、生徒たちのほとんどは僕がコンクールを受けていることを知って応援してくれていたのですが、2割くらいはそんなことを全然知らなくて。そういう人たちと会うと、ああ、コンクールはある世界のほんの一部のことでしかないんだよなと、ハッと我に返るみたいなところがありました(笑)。


ー一周回って予想外のところから安心がやってきましたね。とはいえ、コンクール中は自分のことだけで大変なのに、生徒さんのレッスンもしていたんですね。

 そうですね。ある程度は長期の休みを取ることができたのですが、限界があって。2週まではいいけど、3週連続はだめだということで。


ーそれでよりによって、本選直前という結構なタイミングでレッスンのお仕事が。

 はい、でもその辺のスケジュール管理も実力のうちですよね...。とはいえ、できる中での最善のスケジュールだったと思います。

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ーこれまで、ピアニスト人生に影響を与えた出来事や恩師の言葉などはありますか?

 それは間違いなく、今大学院で師事している石井克典先生の言葉です。
 僕は博士課程に進む前、先生方からそのまま勉強を続けることを勧められる中、一度社会に出るという選択をしました。石井先生はそんな僕にも理解を示してくださって、「君は我々が博士課程を勧める中で社会に出ていくけれど、この後は、自分の力で我々を振り向かせられるような、そういう人生を送りなさい」とおっしゃったのです。あの言葉があったから、今の自分がいると思います。


ーもともとピアノの道を決意したのはいつ頃ですか?

 中学校はもう芸術科のある学校で、周りに同じような友達がいましたから、その頃にはピアノの道を自覚していたと思います。小学生の頃は自覚というほどではなかったと思いますが、卒業のときに「ピアニストになりたい」と書いていたので、すでに心にはあったようです。


ーコンクール中、ご自身について何か新しい発見はありましたか?

 そうですね、意外と注目されると嬉しいんだなということがわかりました(笑)。そういうのは緊張するだろうと思っていたのですが、鈍感力というか、そういう面があるんだなと。自分ではもうちょっと神経質な性格だと思っていたんですけどね。


ーところで音楽と関係ありませんが、結果発表のときにいつもコートに袖を通さずおしゃれに肩にかけていたのが印象的で。ファッションにこだわりがあるのですか?

 いえいえ、ただのクセです。全然、おしゃれじゃないです! ただ、普段からあまりカジュアルなものは着たことがないですね。学校に行くとか、普通に出かけるとか、春も秋も夏でも、基本いつもスーツなので。夏にその格好はおかしいと思うんですが、必ず長袖のシャツにジャケットです。なので、服のこだわりは、本当に何もないですね!


ーめちゃくちゃこだわってるじゃないですか!

 いやぁ、それはファッションというか、鎧的なものです。夏にその格好で、暑いのは嫌なんですけど、着ちゃいますね。自分でも理由がよくわかりません(笑)。

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ーでは最後に、今後ピアニストとして活動していく中で大切にしていきたいことは?

 それぞれの作品に対する、敬意と愛情です。楽譜を深く読み込み、作曲家と作品を崇めるということを、気持ちだけではなく、練習や本番など実際の行動で示していくことを大切にしていきたいです。


(文・高坂はる香)

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