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2018.12.22 Official Report

【公式】 第2位 牛田智大さん インタビュー

「良い出会いと良い経験のあった、幸せなコンクールでした」




ー結果についてはどう受け止めていますか。

 予想していたよりもずっといい、すごく嬉しい結果をいただきました。この機会を生かし、またここから勉強していけたらいいなと思います。

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ー今回コンクールを受ける中で、ご自分の中に何か変化はあったでしょうか。 

 コンクールに向けて時間をかけて作品を勉強したことで、成長できたと思える部分がありました。その曲を噛み砕いて理解する中、初めて見えてくる作品の魅力というものもありました。演奏も大きく変わったと思います。



ー今後のコンサート活動の演奏も変わっていくのでしょうか。

 根本的なものは変わらないと思いますが、これからはより突き詰めて、完成度の高い音楽を目指していきたいと思います。



ー2次の演奏後にお話を聞いた時、昔からのファンの方々を、本物の音楽家のファンにしてあげないといけないと話していらしたことが印象的でした。今回は、その一歩が踏み出せた形でしょうか。

 はい、ここが一つのスタートラインになったかなと思います。ファンのみなさんにも、普段の演奏会とは違った姿を見て、楽しんでいただけたのではないかと思います。


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ー・・・ちなみに、結果について悔しさというのはあるのでしょうか?

 とくにありませんね。もともと予選のどこかで落ちるだろうと思って受けていたので、ファイナルまで来てびっくりしたというのが正直なところです。僕は、まだ勉強する時間もたくさん必要ですから、そのための時間も十分にとれて、良い評価もいただけたという意味で、2位は今の僕にとって最高の結果だったと思います。

 チャクムルさんはすばらしいピアニストで、実は僕、始まる前から彼のプログラムを楽しみにしていたんです。3次予選でシューベルトを弾く人がいるんだ、彼が残ってくれたらいいなと思って応援していました。自分も弾いてみたいと思うようなプログラムでしたね。彼と同じファイナリストになれて嬉しかったです。

 

ーすでにたくさんの演奏活動をされている中、コンクールを受けるといったときの周囲の反応はどうでしたか?

 もともと、周りの方々からは、そろそろコンクールに挑戦してみてはという雰囲気を感じていました。コンクールは、勉強になる場所ですからね。

 直接的なきっかけは、4月の初め、当時モスクワで師事していたオフチニコフ先生に、何かコンクールを受けても良いんじゃないか、どれでも好きなものに挑戦してみなさいと言われたことでした。調べてみたところ、浜松がちょうど良い時期にあり、コンクールを初めて受けるなら特別な場所である浜松からという気持ちもあったので、応募を決めました。ただ、申し込みの締め切りまで5日しかなかったので、準備が本当に大変でしたね...しかもちょうど1週間後にラフマニノフのピアノ協奏曲3番を弾く演奏会も控えていて。

 音源をインターネットでアップロードするにも、モスクワにいたのでネット環境が悪くて苦労しました。飛行機で移動しなくてはならない日だったのですが、空港についてもアップロードが終わらなくてパソコンを開いたまま険しい顔で空港をウロウロしていたからか、セキュリティチェックで目をつけられて、荷物を全部ひっくり返されました(笑)。飛行機に乗る30分前に、なんとか無事アップロードできました。

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ーものすごく平和な作業をしていただけなのに、目をつけられたんですね...。しかしそのお話を聞くと、よくぞご無事にファイナルまで。

 予備審査を通ったと聞いた時は、驚きました。もともと11月に入っていた演奏会の演目を変更させていただくなど、このコンクールを受けるためにたくさんの方にご迷惑をかけたので、こういう結果が得られて本当によかったです。



ー今勉強しているのは、日本とモスクワですか?

 はい、いろいろな先生に習っているので、一つの拠点はありません。先生がいらっしゃる所に行ってレッスンを受ける感じです。

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ーところで、牛田さんの演奏には、ラフマニノフでもそのほかの作品でも、牛田さんならではの歌い回しというのがありますよね。ああいった歌心は、どこで育まれたのでしょうか。

 どこででしょうかね・・・。小学生の頃、たくさんショパンを勉強したのですが、そこで学んだものが結構大きいかもしれません。もちろん作曲家によってスタイルは違いますが、ショパンを弾く中で培ったものの応用で、いろいろな作品を演奏している部分があります。だからといってショパンが得意なわけではないんですけど(笑)。

 ショパンって本当に難しくて、ある意味で一番苦手な作曲家の一人です。作品の中にいろいろな感情があり、全ての音に深い意味も込められています。それを全て理解して演奏するには、体力も気力も必要なので、時間をかけて勉強したいレパートリーです。・・・本当に、体力と元気があるときに勉強したい作曲家ですね。



ーまたそんな、若者らしからぬ発言を(笑)。

 僕はこれまでロシアもののレパートリーを多く勉強してきました。それで感じるのは、ラフマニノフなどのロシアものの多くは人間の本能に近く、自然に弾ける部分があるということです。それに比べると、ショパンはより複雑で、難しいですね。



ーそんなショパンを子供の頃練習している中、あの歌心が芽生えていったということですか? もしくは、師事していた先生の影響とか?

 小学校時代、いろいろなマスタークラスを受けて学んだ部分もあります。あとはショパンの協奏曲を勉強する中、偉大な演奏家が弾いているのと比べて自分には何が足りないのだろうと考え、そこから学んだことはありますね。

 普通に弾いたら、ショパンってショパンらしくならないじゃないですか。ショパン的な音楽にするにはどうしたらいいのかをすごく考えたのです。その過程が今も役立っているのだと思います。

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ー今回はヤマハのピアノを選んでいました。どのような楽器でしたか?

 完璧なコントロール性を持ったピアノだと思いました。ピアノによって、フォルティシモ、ピアニシモ、どちらかが優れているというピアノもある中、今回のピアノはすごくバランスが取れていました。また、例えば思っている以上の良い音が出るピアノというのもあって、それもまたすばらしいのですが、今回のピアノは考えていた通りの音が100パーセント出て、鏡のように自分のタッチを反映する忠実なピアノでした。レパートリーが幅広く、ロシアものも多かったので、精緻なコントロール性を持ったピアノに助けられました。



ー今回は、中村紘子さんにゆかりのある作品を集めたということでした。本選でラフマニノフの協奏曲を弾く牛田さんの姿を眺めながら考えていたのですが・・・これが中村紘子さんの生前に実現していたら確かにすばらしかったけれど、結果的に今回紘子さんは、審査委員長とか音楽界の重鎮という立場から離れ、本当の意味で自由を手に入れた状態で、純粋に牛田さんの演奏を楽しむことができたのではないかと。

 そうだったらいいです・・・。このアクトシティで中村紘子先生に聴いていただく最後となってしまった演奏会を、僕は途中で倒れて全部弾ききれなかったのですが、そのときのレパートリーも演奏し、リベンジすることができたと思います。中村先生のことを回想しながら、初めて浜松で協奏曲を弾くことを成し遂げられたのも、大きかったです。



ーその演奏中に倒れてしまったコンサートというのは、もう3年近く前、浜松国際ピアノアカデミーの第20回記念シリーズの公演でしたよね。そのときのお話って、何か聞いちゃいけないのかなって思っていたのですが・・・

 大丈夫です、むしろ聞いてください! あの時倒れて、僕はどこか具合が悪いのではないかと思われているところもあるようですが、原因はもうはっきりしていて、カフェインによるものだったんです。

 それまで自分で全然気づかず、普段から紅茶を飲んでいたのですが、あのときは寝不足で、本番の前に濃い紅茶を飲んでステージに出たら、体調が悪くなってしまったのです。みなさんにご心配をかけて、健康診断も受けるように言われて今も受け続けているのですが・・・、原因がわかってカフェインを控えるようになったので大丈夫です。僕は元気ですよ!

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ー最後に、コンクールの経験を振り返ってどう感じていますか?

 すごく貴重な学びを得ることができました。生で聴いてみたいと思っていたピアニストを聴くこともできて嬉しかったですし。例えばヒョクくんは、ずっと同じモスクワのオフチニコフ先生門下で、先生からお話だけ聞いていたのですが、今回は初めて会うことできて嬉しかったです。・・・彼はモスクワで僕を何回か見かけたことがあるっていっていましたけど(笑)。

 良い出会いと良い経験のあった、幸せなコンクールでした。ここをスタートラインにまた勉強して、音楽とキャリアを膨らませていけたらいいなと思います。



(文・高坂はる香)

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