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【公式レビュー】第1次予選 1日目前半

2012年11月10日|スタッフレポート

さわやかな晴天に恵まれた土曜日の午後。アクトシティ中ホールの客席はほとんど埋まっていて第1次予選初日とは思えないにぎわいだ。

第1次予選では、以下の課題曲を各人20分以内で演奏する。

(1)バッハ:平均律クラヴィーア曲集より1曲
(2)ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトのソナタより第1楽章または第1楽章を含む複数
     の楽章
(3)メンデルスゾーン、ショパン、シューマン、リスト、ブラームスの作品から1曲

今回はどのような雰囲気のコンクールになるのか……期待と緊張が入り混じったような空気がホールを包む。

そんな中、コンクールのトップを飾る1番目の奏者、ステファノ・グアラッショさん(イタリア/23歳)がステージに登場した。やわらかく優しげなハイドンに始まり、続くバッハで覚醒したようなキラリとした音を披露。そしてリストのハンガリー狂詩曲第6番では、個性的なリズムの揺れとともに、おとぎ話が語られているかのような楽しい演奏を聴かせた。心なしか、会場の緊張も解けて明るくなったよう。

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  続くキム・ドヨンさん(韓国/20歳)は、バッハに加え、ハイドンのソナタHob.XVI:49、ハンガリー狂詩曲第9番を演奏。ばねのように体を使って奏でる、しなやかであたたかい音が印象的だった。

  シャム チントア・アリストさん(中国/16歳)は、バッハ平均律第1巻ハ長調、シューベルトの即興曲Op.90-3、リストの「詩的で宗教的な調べ」より「葬送」という、課題曲既定の範囲内で、存分個性を示すようなプログラムを選択。折り目正しいバッハに始まり、続くドラマティックな2作品は、心地よい抑揚とともに安定した表現を聴かせてくれた。

  日本人最初のコンテスタント、阪田知樹さん(日本/18歳)もバッハからスタート。平均律第1巻嬰ハ長調では、ハッキリと粒立ちの良い音がホールに響く。続くベートーヴェンのソナタ熱情は、硬派に、それでいて熱い抑揚をもった演奏。リストのハンガリー狂詩曲第11番では、また鐘のような音に音色を変え、華やぎある音楽を奏でた。その豊かな音と表現に、最後の音が消えるか消えないかのうちに客席から盛大な拍手が起こった。

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休憩をはさんで登場したのは、菊地美涼さん(日本/23歳)。バッハの平均律第2巻変ホ長調、モーツァルトのソナタ第13番、リストのリゴレット・パラフレーズを演奏。とくにモーツァルトのソナタは愛らしい表現が印象的。全体に音がキラキラとしていて、美しくまとまりのある演奏だった。

  エレーナ・コレノワさん(ロシア/30歳)は、大人っぽいパンツスタイルでステージへ。さらさらとしたバッハでスタート。ベートーヴェンのソナタ第2番は柔らかいタッチで描き、リストのメフィスト・ワルツ第1番で最後を飾った。途中少々乱れるところもありながら、最後まで自分の音楽を続けた。

 ロジャー・ロンジエ ツゥイさん(オーストラリア/24歳)は、スムーズなバッハから、一転シャープな印象を与えるベートーヴェンのソナタ第18番へ。最後はショパンのバラード第2番を、ペダルを多めに使って音を混ぜ合わせるやわらかな表現で描いた。

 イ・シヒョンさん(韓国/21歳)さんは、黒いドレスにシルバーのベルトと靴を合わせた姿で登場。バッハ、ベートーヴェンはなめらかに音をつなげて表現。ラストに演奏したリスト「巡礼の年 第2年への追加 ヴェネツィアとナポリ」より「タランテラ」では、小柄な体から豊かな音を出し、優れた技術を披露した。初日だったこともあり少々緊張してしまったと言っていたが、その演奏はしなやかさと若々しさを持つ溌剌としたものだった。

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◇演奏を終えて……

阪田知樹さん

─選曲はどのようにされましたか?

バッハの平均律は、気に入っているロマン派の作品に十分な時間をとれるように、短いけれど自分の個性が出せるような作品を選びました。また、ベートーヴェンの熱情ソナタは、パウル=バドゥラ・スコダ先生のもとで長く勉強した作品だったので、その勉強の一つの成果として浜松コンクールの舞台で演奏したいと思って。たくさん演奏される作品であることによるむずかしさもあったかもしれませんが、挑戦することができて良かったです。ロマン派の作品については、僕はロマン派で一番好きな作曲家を尋ねられたら即答できるほどにリストがとても好きなので、それ以外を弾くつもりはありませんでした。そのなかでどれを選ぶか思案して、あまり演奏される機会は少ないかもしれませんが、ハンガリー狂詩曲の第11番を選びました。大好きなピアニストの一人であるコルトーのすばらしい録音を通して知った作品なので、この曲を浜松の舞台で演奏できたのはとても嬉しかったです。

─リストのどんなところがお好きなのですか?

 リストの作品にしかありえない和声感、そして、ピアニストであったからこそ実現するとても効果的なピアノ書法がとても好きなのです。スコダ先生はよくご自身がリストのひ孫弟子だとおっしゃっていて、演奏もよくされています。先生から学んだことも多いです。僕にとってリストの存在があることは、ピアノを弾く意味の一つでもあります。

─演奏順が一日目でしたが、いかがでしたか?

 自分で引いたものなので仕方がないなと(笑)。おかげで次のステージまで4日間自由にしていられますし、せっかく浜松に来たのでおいしいものも食べたいですから、逆に良かったとポジティブに考えようと思います! 

─日本人としても最初の奏者でしたね。

……それはあんまり気にしてなかったですね。良くも悪くも周りが見えないタイプなので(笑)。コンクールですから、次のステージで演奏できるかどうかわかりませんし、とにかく今弾ける20分を楽しむということだけを考えて演奏しました。その時間が人に訴えかける何かでなくては意味がない、という気持ちで。

─浜松コンクールに参加することにした理由は?

 コンクールが日本で一番大きく有名であることももちろんですが、以前、浜松交響楽団と協奏曲を演奏する機会があって浜松を訪れたときに浜松の雰囲気がとても好きだと思ったのです。あんなに静かでいい街だったらもう一度行ってみたいと思い、応募しました。
 

高坂はる香

 

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