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【公式レビュー】第2次予選 2日目後半

2012年11月17日|スタッフレポート

第2次予選2日目後半のラインナップを見てほしい、以下のとおり。ロシア(ウクライナ)組と韓国組、ベテラン組と若手組、そんなことを考えながら聴くのも楽しい団体戦のような様相も呈しているが、このうちの誰が第3次予選に進むかという個人戦であることは間違いない。
 
ドミートリ・オニチチェンコさん(ウクライナ/29歳)の演奏は、どれも「いっぱい、いっぱい」じゃないところが聴いていて安心できる。プログラムにある順番では、少し流れに無理があると思ったらやはり変えてきた。最初は池辺晋一郎の「《ゆさぶれ 青い梢を》 ピアノのために」から始まる。2曲目はクールダウンするかのようにショスタコーヴィッチの前奏曲 ニ短調、そして2つのリストへと続く。リストの1曲は超絶技巧練習曲 第12番「雪かき」だったが、これは池辺の「風」とリストの「雪」を対比してのことか?そうだとしたら、何とも心憎い!最後はスペイン狂詩曲。ノスタルジックな異国情緒があり、微妙なニュアンスを出すときに身体でリズムを取りながら曲に集中していた。
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ユ・スルギさん(韓国/22歳)は、リゲティの練習曲 第13番「悪魔の階段」からスタートした。駆け上がっていくような抑えきれない高揚感に圧倒される。鍵盤から指を離しても続く音を大事に、その音に集中するユさん。少しずつ表情を変えながら違和感なく曲がラヴェル、池辺へと移っていく。それぞれの曲を楽章に見立ててもおかしくなく、40分で1曲を弾いたようなまとまり、レパトワの組み立ての完成度が非常に高い。池辺作品への入りは特にスムーズで、第3楽章かと思えたほどである。最後のシューマンの交響的練習曲で静かな終焉を迎えた。祈りをささげるような荘厳さがあった。最初から最後までエネルギッシュな演奏、ポニーテールの揺れる姿が印象に残った。

ジェラルド・アイモンチェさん(ロシア/21歳)の「英雄」は、品のいい何とも滑らかな弱音で始まった。「おや、この英雄はかなり謙虚だぞ」と思わせる。何度かあるグリッサンドは、階段ではなく、スロープ。ショパンの描く英雄はこういう人かもしれない。続くショパンの練習曲 ホ短調、スケルツォ 第4番は、アイモンチェさんが第1次予選を終えてのインタビューで話していた新しい挑戦だ。やさしいタッチから生まれる旋律が切なかったエチュード、転じて軽快なスケルツォ 第4番。軽い冗談を言いながら過ごす楽しい午後のひとときは、ちょっと笑いもあったりする。ラフマニノフはたっぷりと表現し、池辺作品はやさしいゆさぶり。気持ちのいい揺れ、しかしやさしい音の中に充分強弱はついている。
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キム・ジュンさん(韓国/29歳)が一番いい演奏順と考えたのは、ショパンの練習曲 イ短調、リゲティの練習曲 第4番「ファンファーレ」、ラヴェルの「鏡」より 道化師の朝の歌、そして次に池辺作品を入れて、最後はリストの「ヴェネツィアとナポリ」という流れだが、大賛成。リゲティは右手の美しい音を聴いていると継ぎ目が全くない。対照的に左手は激しく鍵盤を鳴らす。ラヴェルはリズミカルで、テンポも正確だった。最後のリストは、ヴェネツィアの水面輝く運河やナポリの火山もイメージ出来る。この曲自体の持つ表現力を上手く利用して、観客までも旅立たせてくれた。


◇演奏を終えて……

ユ・スルギさん

―お疲れ様でした、演奏はいかがでした?

 人前で初めての演奏だったので、ラヴェルが難しかったです。池辺作品は気持ちよく弾けました。弾いている時、なぜか気持ちよかったです。2曲弾き終えてホッとしたのかも。多分、ラヴェルを弾き終わったので、安心出来たんだと思います(笑)。でも昨日は池辺作品をどう弾こうかとナーバスになっていたんです。それで誰の演奏も聴かないようにしました。もし聴いたらプレッシャーになると思ったので……。

―シューマンを最後に持ってきましたね。

 交響的練習曲は、最初ゆっくり始まります。そこの部分と池辺作品の違いを際立たせたかったのです。そして、今日のオーディエンスも、私に集中してくれてとても素晴らしかったです。

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―それは、あなたの演奏が素晴らしかったからです。

 そうだとしたら、こんなうれしいことはありません。


 
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キム・ジュンさん

―プログラムと演奏順が違いますね。

 あの方が気持ちよく弾けますから、僕のための順番です(笑)。リストの後では体力的に何も弾けません!1次はとても緊張しましたが、2次ではホールや聴衆にも慣れてきたせいか、1次よりも集中できたと思います。

―リストの「ヴェネツィアとナポリ」は、壮大な曲でしたね。

 2次では課題曲がいろいろあり、フリーに選べるのは1曲だけ。それで、どれにしようかなと考え、この曲に決めました。最後に爆発をイメージするような表現があって、そこが聴かせどころです。

角田珠実

 

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