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【公式レビュー】第1次予選 5日目前半

2012年11月15日|スタッフレポート

いよいよ第1次予選も5日目、最終日を迎えた。今日まで自分の演奏順を待つのは精神的にもなかなか疲れることだったに違いない。そして、夜には次のステージに進む24名が発表される。そのため、早めの10時半からスタートした。


 トゥオマス・クーフクネンさん(フィンランド/25歳)は、朝一番に落ち着いたバッハからスタート。古典派ソナタにはベートーヴェンの「告別」を選び、時折強めの濃淡をつけながらしずしずと弾き進める。最後に演奏したショパンの舟歌は、たっぷりの水が運河を流れてゆくような、穏やかな抑揚の演奏。

 続いて、佐藤卓史さん(日本/29歳)が登場。正しく美しい音が、心をすっきりとさせてくれるバッハ。そしてベートーヴェンのソナタ第32番は、冒頭から力強く人生への戦いを挑むよう。葛藤、内なる怒り、そして時折すっと天から差し込む束の間の光、いろいろな情景が目に浮かぶ。1楽章だけだなんて、続きも聴きたい!という、ある意味での欲求不満さえ残すような演奏だった。そしてショパンの舟歌が続く。感情をあからさまにしすぎず、ひそやかに熱い想いを綴るような音楽が、最後に昇華して音楽を閉じた。

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 ユ・ヒョンジさん(韓国/25歳)は、黒のブラウスにパンツのスタイル。音をなめらかに混ぜ合わせる水彩画のようなバッハで始め、ハイドンは愛らしい音を響かせながら演奏。そして最後には、リストのメフィスト・ワルツ第1番で個性を出す。懸命に最後まで落ち着きを保とうとしつつ、力強く演奏を終えた。

 ニコライ・メドヴェージェフさん(ロシア/26歳)は、鍵盤を覗き込むような姿勢で、丁寧に硬質なバッハを奏でる。続くベートーヴェンのソナタ第7番は、冒頭からリズムに独特のニュアンスをつける。力強い和音が気持ち良い。そして、シューマンのトッカータは、ただ疾走してゆくのではなく、問いかけ、応える一人二役を演じているような音楽が楽しい。リズミカルな会話の交わされる小説を読んでいるような演奏だった。

休憩をはさんで、井村理子さん(日本/29歳)が登場。ショートカットに黒いドレスがさわやか。冒頭から、がっしりと音をつかむバッハで強い印象を残す。そこからベートーヴェンのソナタ第30番をふんわりした音で始めることで、音の多彩さを効果的に示した。2楽章までを演奏した後は、シューマンのノヴェレッテOp.21-2を、なめらかに、大切に響かせながら語るように奏でた。

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真っ赤なドレスに身を包んで現れたズェン・ジュンジュエ・ルーシーさん(中国/19歳)は、バッハの平均律第2巻嬰ヘ短調から始め、続くモーツァルトのソナタ第10番で持ち味のみずみずしい音を発揮する。そしてリストのリゴレット・パラフレーズではなめらかな音楽を紡いだ。輝きのあるエレガントな音を持っている人だ。

 アジア系の女性が3人続く。最後は阿見真依子さん(日本/25歳)。シルバーのドレスにボレロを羽織ったふんわりスタイル。一方バッハの音はパリッと潔い。ベートーヴェンのソナタ第18番は、とても繊細な表現。芯の強さも感じさせる。ショパンのバラード第1番は、音楽への思い入れがひしひしと伝わる演奏で、叙情性たっぷりに歌い上げた。



◇演奏を終えて……

ニコライ・メドヴェージェフさん

─演奏中はどんな気分でしたか?

 どの曲もすごく緊張しました。その緊張は、すごく大きい時も、小さい時もあるけれど、とにかく常に緊張していました(笑)。重要なコンクールの、大きなホールで、ヤマハのピアノを弾く、ということは、やはり大変でした。

─ピアノはいかがでしたか?

 とても弾きやすかったのでヤマハのピアノを選びました。モスクワのヤマハでCFXを弾いたこともあったので。

─プログラムはどのように選びましたか?

 わかんないですねぇ。なんとなく浮かんだアイデアをもとに、3つの作品のセットを考えました。

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─シューマンのトッカータは楽しい演奏でしたよ。

 僕にとってはただひたすら緊張するものでしたけどね……。ところどころ思っているより雑になってしまったような気がするし。

─浜松コンクールを受けることにした理由は?

 前から受けてみたいコンクールだったので、DVD審査に応募しました。絶対通るはずないと思っていたので、通ってびっくりしました。

─……なぜ絶対無理だなんて思ったのですか!?

 わかんないですねぇ。なんとなく絶対に無理だと思ったんです(笑)。他の人の録音を聴いていませんからわからないですけど。

─5日目まで演奏順を待つのはどうでしたか?

 とっても緊張しましたよ。一日ごとにどんどん緊張が大きくなっていきました。2日目か3日目に演奏したかったです。



阿見真依子さん


─演奏を終えてどんな気分ですか?

最初はとても緊張してしまって、自分でもあがっているのを感じたのですが、会場の空気も良く、ホールの雰囲気が自分の音楽に集中させてくれたので助かりました。

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─選曲はどのようにされましたか? 

ショパンを中心に選びました。最初は別のショパンの作品を考えていたのですが、やはりドラマティックな作品のほうがいいだろうと、先生とも相談してバラード第1番を選びました。

─先生……というと、海老先生、植田先生のお名前があったことにどうしても目がいってしまいましたが!

  植田先生からは、楽しみなさい、どれだけあがってもこれだけはやるんだということをちゃんとやってきなさい、と言われました。今回コンクールを受けること にしたのは、2年前に海老先生が審査委員長をされることが決まった時に、こういうコンクールがあるから受けてみたらと教えてくださったのがきっかけです。

─5日目まで演奏順を待つのはどうでしたか?

長 かったです。最初は5日目で良かったと思いましたが。東京に帰ろうかとも考えましたが、結局は浜松にいて落ち着けたのでよかったです。最初の方は他人事の ように落ち着いて過ごせていたのですが(笑)、昨日あたりからまたざわざわ緊張してきてしまって。他の方の演奏を聴いていても、落ち着きませんでした。

─他のコンテスタントの演奏も聴かれたのですね。

結構聴きました! 演奏から刺激をもらえたらいいなと思ったので。
 

高坂はる香

 

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