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本選演目の聴きどころ

2009年11月21日|トピックス

本選では、課題曲として指定された30曲の中からコンテスタントが任意で選択したピアノ協奏曲を演奏する。今回のファイナリスト6名が選んだ楽曲は、以下の3曲となった。その楽曲解説と聴きどころをご紹介する。

真嶋雄大さん 音楽評論家 真嶋雄大


S.ラフマニノフ(1873 ~ 1943) 
ピアノ協奏曲第2 番ハ短調 Op.18
 ラフマニノフのみならず、全ピアノ協奏曲の中でももっとも人気の高い作品のひとつである。
 1897 年、ラフマニノフは完成から2 年を経過した交響曲第1番の初演にようやく漕ぎつけたが、指揮者の無理解もあって結果は大失敗。精神的にもショックを受けたラフマニノフは、ついに心身膠着状態に陥り、創作活動に対する意欲をまったく失ってしまう。それを治癒したのがモスクワのダーリ博士だった。彼の催眠療法は見事にラフマニノフを復活させ、イギリス王立交響楽協会と約束していたピアノ協奏曲第2番をついに完成させたのである。それは盟友シャリアピンと旅行していたイタリアの小村でのことで、つまり地中海沿岸の明るい太陽の下で、ラフマニノフは世紀末ロシアの抒情を思い描いたのであった。
 ラフマニノフ特有の哀愁と濃厚なロシア的情緒、また作品が内包する美しい旋律とほとばしる情熱、そしてこぼれるようなロマンをいかに適切に表現できるかにかかる。

 

L.ベートーヴェン(1770 ~ 1827) 
ピアノ協奏曲 第5 番 変ホ長調 Op.73「 皇帝」
没後に発見された14 歳のときのチェンバロ協奏曲WoO4やロンドWoO6、ヴァイオリン協奏曲を編曲したニ長調Op.61を除いて5 曲ある、ベートーヴェンのピアノ協奏曲最後の作品である。1809年頃に作曲されたことになっているが、ちょうどナポレオン率いるフランス軍のウィーン占領と時を重ねている。
 『皇帝』というタイトルはベートーヴェンによるものではなく、作品の持つ堂々とした風格や華麗でピアニスティックな独奏ピアノ、そして輝かしいオーケストレーションなどから自然にそう呼ばれたようである。特定の皇帝を指すものでもない。第1 楽章冒頭をピアノのカデンツァで開始する点や、通常楽章の終わりに置かれて演奏者の即興に任せられるカデンツァを封印している点など、新しい方向性が試みられている。
 独特の構築観に根差した造形やダイナミズム、その上でのふくよかな情感表現、そして何よりベートーヴェンを演奏する責任が問われる。

 

S.ラフマニノフ(1873 ~ 1943) 
パガニーニの主題による狂詩曲 イ短調 Op.43
ピアノと管弦楽のために、ラフマニノフはピアノ協奏曲を4 曲と、この『パガニーニの主題による狂詩曲』を残した。タイトルこそ狂詩曲ではあるが、その実は変奏曲形式を採ったピアノ協奏曲である。
 1934 年7月から8月にかけ、スイスのルツェルン湖畔の別荘で作曲され、ラフマニノフのピアノ、ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団で初演された。この作品は、パガニーニが作曲した『無伴奏ヴァイオリンのための24のカプリース』の〈第24曲イ短調〉を主題に、序奏と24回の変奏、そしてコーダで構成されている。
 名ピアニストでもあったラフマニノフらしく、極めてピアニスティックなピアノ技法と色彩豊かなオーケストレーションによって雄渾な情景が構築されており、甘美なメロディーと芳醇な叙情が湛えられた壮大な作品である。
 協奏曲第2番と同じく、特有のロマンをどう創出するか、また各変奏の性格をしっかり理解した上での描写が聴きどころ。

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