
2006年11月18日 | 第6回コンクール トピックス
2日目に入った第2次予選、土曜日ということもあって、朝から観客が詰めかけ、2/3以上の客席が埋まっていた。「今日はずっと聴ける」と言っている声も聞こえた。
午前は3人が演奏した。
ジア・ランさん(中国)は、大曲のクライスレリアーナから始め、まろやかな音で、勢い良くすばやいパッセージも聴かせた。リストの超絶技巧練習曲第10番では、テーマの歌わせ方も哀愁を帯びていた。フィナーレはすっとばす勢いの早さ。
エフゲニー・チェレパノフさん(ロシア)は、パガニーニによる大練習曲第1番を最初に演奏。左手だけの細かいパッセージの中にテーマを浮き立たせた。バルトークの練習曲op.18-2では、エッジの鋭いタッチ、幻想的な様相も見せた。徳山美奈子さんの新曲では、冒頭で張りのあるきれいな音の粒を振りまく。全身を使って和音を連打した。ここで一人から拍手が出て、そちらに向かって会釈。リストのソナタロ短調では、冒頭細心の注意を払っての弱音でGe(ソ)の音を刻み、続けて華やいだ芯太い音が広がる。高音でのの上下行など、細かいパッセージもきれい。強靭な打鍵と安定したテクニック、そしてスケールの大きさ。難易度の高いパッセージもこなし、弦も良く鳴らした。
シェン・ウェンユーさん(中国)は、全体的に左手が良く響いていて、とくにショパンの練習曲ハ長調op.10-1などが印象に残った。モーツァルト/リストの「ドン・ジョヴァンニの回想」ではトリルのクレッシェンド、デクレッシェンドも美しくきめた。渾身の力を込めて和音を弾いて、フィナーレを大きく盛り上げた。
午後の1番は、イタリアのアレッサンドロ・タヴェルナさん。週末の午後ということで、ずいぶんと客席も埋まってきた。日本人作曲家の作品「ムジカ・ナラ~ピアノのために~」を、ゆっくりとしたテンポで弾きはじめ、自らもところどころ歌いながら、とても魅力的に演奏した。高音の美しさが際立つ演奏。ショパンのエチュード作品10-1は、さらりとした演奏でありながら、音の美しさで充分聴きどころを作った。
ワン・シーランさん(中国)は、ピンク色のドレスで登場。全体に、リズム感のよさが音の力強さに拍車をかけ、効果的に響く。リストの演奏で聴かせたロマンティックな抑揚は、16歳のものとは思えない。1曲ごとにドラマが描かれ、充分な表現力を発揮。
セルゲイ・クズネツォフさん(ロシア)は、「様々な距離II」からスタート。複雑なこの現代曲を自分のものにして、感情の起伏と緊張感を見事に表現する。リストではよくまわる指で、安定した技術の高さを見せる。音がきれい。ショパンのソナタ第3番は、暖かい春の訪れを感じさせる音で紡がれる。過度に華美でない、凛々しいショパンといった印象を受けた。
夜の部は前日と同じく2人が演奏した。午後よりも観客は若干少なくなっているものの、2/3程度は埋まっていた。
ジュン・アサイさん(アメリカ)は、ショパンのソナタ第2番で始めた。スケール大きく弦を鳴らす。低弦も良く鳴らして、高音の抜けも良かった。ふんわりとした音色、弾かれたような激しさも聴かせる。第3楽章の「葬送行進曲」はソフトペダルを使ってひそやかな音で奏でられた。静かなパッセージもしっかりと歌って聴かせる。ラヴェルの「スカルボ」は冒頭、素早い連打のppで、不気味さを十分に出した。奔放に飛び回る小悪魔が迫力たっぷりに描かれた。リストのパガニーニによる大練習曲第3番「鐘」では、スタッカートでの高音の飛びもきれい。最後はたたみかけるようなオクターブの連続など、連なる鐘の響きを会場いっぱいに広げた。
サーニャ・ビジャクさん(クロアチア)は、最初に徳山美奈子さんの「ムジカ・ナラ・ピアノのために・」を演奏。冒頭の低弦も、お腹の底に響くような迫力で鳴らした。アクセントもはっきりとつけ、ダイナミックに展開していく。踊っているかのように体を揺らしながら弾いていて、とても楽しそうだった。重心を下げて体の下の方から音を出しているようだ。響きのある音をたっぷり聴かせてくれた。
ジア・ランさん
疲れたけれど、演奏に集中できましたし、とても嬉しいです。緊張しましたので、エチュードから始めるよりは、大曲だけれど、クライスレリアーナからと思って始めました。徳山さんの新曲は好きです。早いところや、とてもエキサイティングなところなど、さまざまな局面、雰囲気を描くようにしました。
エフゲニー・チェレパノフさん
とても疲れています。1次とはちがって、50分ですし。徳山さんの曲の後で、観客が拍手してくれようとして、とても嬉しかったです。この曲が大好きですし、ファンタジーを沢山表現しようと思いました。村上春樹の本を読み、現代日本人の感じ方を知ろうとしました。日本のスタイルを表現したかったし、そうできたと思います。今回のプログラムの練習期間は半年だったので、今回は自分のベストの演奏の一つだったと思います。ピアノも良くて、感謝しています。
シェン・ウェンユーさん
疲れました。ステージでは、興奮しました。リストの「ドン・ジョヴァンニの回想」は難しいですが、良い曲なので選びました。振り返ってみて、演奏は良かったと思います。徳山さんの新曲はとてもすばらしい作品ですね。この曲が終わったらところで、誰か拍手していましたし。
アレッサンドロ・タヴェルナさん
「ちょっと疲れました。少し大変な作品だったので。「ムジカ・ナラ」は、きっとすばらしいであろう奈良という都市の様子を想像しながら、表現していくよう努力しました。みなさんにその感情が伝わっていたらと思います。演奏には満足していますが、審査員がどう考えているかは・・・結果を待ちます。」
イム・ヒョソンさん
「今までで一番良く弾けたうちに入ると思うので、今日の演奏には満足してます!プログラムにたくさんのエチュードが並びましたが、まずショパンのエチュードが好きなので選び、それからラフマニノフもやっぱり好きなエチュードを選んでいったら、偶然、調が関連してつないでいけるような感じになったので、それらをうまく並べて一曲の大きな作品になるようにプログラミングしました。ショパンのエチュードは2年前まで良く弾いていたのですが、あまり自分にあっていないと思って、実は一時期弾くのをやめていたんです。でもこの2年で自分の音楽性にも変化があったのか、よりよく弾けるようになった気がしたので再び弾くことにして・・・結果、今までよりずっとよく演奏できました。」
セルゲイ・クズネツォフさん
「もっとよくできたかな、とは思っています。自分がしたいと思っていたことを、実現できた部分もあるし、うまく持っていけなかった部分もあるし。それでも、聴いていたみなさんにとって何か興味深いものであったらいいと思います。自分のできる限りのことはしたので、結果を待つのみです。日本人作曲家作品で北爪氏のものを選んだ理由は、僕にとってこちらの作品がより興味深かったから。もうひとつの作品はすでに詳細にわたって作られていたのに対して、こちらの作品は、自分でファンタジーを描くのに、より自由度が高かったからです。」
ジュン・アサイさん
とても良い気持ちです。2次予選で演奏できて嬉しかったです。演奏中は他のことを考えず、集中し、お客様にも聴いていただけるよう努力しました。曲との間に時間を取ったのは、曲同士がとても違っていて、続けて弾くのは大変ですし、そうしないと、どれも同じようになりそうだったからです。それに聴く側もその方が良いかと思いました。徳山さんの曲を弾いて、「ナラニ、イッテミタクナリマシタ!」
サーニャ・ビシャクさん
とっても疲れています。コンクールはコンサートとは違って、小さな規模でのステージが連続しますから、とても難しいです。集中できるように努力しましたが、ときどき集中力が落ちたところもあります。徳山さんの作品はとても楽しい曲ですね。ジャズのようなところもあるし、違った曲奏を演奏していくのがとても楽しかったわ。弾きながら踊っていましたか? そうかもしれないです、ストレスを振り払うかのようにね(笑)。
[協力:ショパン]