
2006年11月25日 | 第6回コンクール トピックス
ついに、本選の初日となった。開場時間が近づくにつれ、市民ロビーにだんだんと人が増えてくる。当日券は既に売り切れ。それでも、自由席はもちろん、指定席のチケットを持っている人までもが長い列を作って開場を待っている様子からは、大きな期待感が伝わってくる。
満員の会場へ、ついに1人目のコンテスタントが登場した。ワン・チュンさん(中国/16歳)は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番でこの大舞台に挑む。緊張した空気を漂わせながら登場し、はじまりの音を丁寧に鳴らす。ゆっくりとしたスピードで、オーケストラとあわせて弾き進められていった。特に後半では、すばらしく回る指の実力を発揮し、鮮やかな技術をみせる。一音一音丁寧に緊張感を持って弾きすすめる、誠実な姿が印象的だった。
続いて、アレクセイ・ゴルラッチさん(ウクライナ/18歳)が、ゆったりと、落ち着いた表情で登場。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を演奏した。オーケストラと合わせてもソロのときと変わらず、音の清涼感があるのでよく際立つ。オーケストラの音にもよく聴き入り、落ち着いて確実に、そして何より本人が心地よさそうな表情を浮かべてあわせていく。しっかりとベートーヴェンの世界に入り込み、感情のこもった力強い打鍵が印象的に響いた。
初日の最後を飾ったのは、キム・テヒョンさん(韓国/21歳)のラフマニノフ、ピアノ協奏曲第3番。全体に、穏やかに、澄んだ音でピアノが鳴る。過剰でない、ナチュラルな表情付けが心地よく、それでもオーケストラの中で、特に高音がよく抜けて、音の扱いのうまさを見せた。おだやかに、心の安らぐラフマニノフだった。
ワン・チュンさん(中国/16歳)
「今日は、自分の演奏ができたので、満足しています。(記者会見でこれが新しいレパートリーだと言ったことについて)この2日間かなり練習して、だいぶ技術的に高めたと思いますので、うまくいったと思います。勝ち負けよりも自分の芸術性を高めることを目的としてこの2日間よくがんばりました。今回このコンクールに参加し、期間も長かったので、精神的にも、体力的にもとても鍛えられました。今後も勉強を続け、音楽性や芸術性を高めていきたいと思います。」
アレクセイ・ゴルラッチさん(ウクライナ/18歳)
「緊張は、あまりしていませんでした。もしかしたら、ラフマニノフなどの作品に対抗してベートーヴェンの協奏曲を選ぶのはあまり得策ではないかもしれませんが、僕はベートーヴェンの作品が好きで、特にこの曲は想いの深いものなので選びました。浜松のような大きなコンクールでは、聴衆も聴くことのプロで音楽を理解する人が多い。本当に音楽を集中して聴いてくれる。それにこのホールはとてもすばらしく、ピアノ音楽には最高ですね。今何をしたいかと聞かれても、まだわからないけど・・・、アカデミーから聴きに来てくれていた友達に会いたいですね。」
キム・テヒョンさん(韓国/21歳)
「コンクールからたくさんのことを得ました。前よりも強い人間になったと思いますし、オケと演奏するチャンスだけでなく、ステージでの集中の高め方、自分の演奏の組み立てをコントロールするやり方などを学びました。今日演奏したコンチェルトは、ラフマニノフが苦しみの中にいたときに作られた曲です。2楽章は特に、そうしたメッセージが強い。そういった、彼がどれだけの悲しみの中にいたのかを表現するように演奏しました。」