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【公式レビュー】第1次予選 3日目前半

2012年11月13日|スタッフレポート

第1次予選もようやく中日。平日ということで土日ほどのにぎわいはないが、それでも客席はたくさんの聴衆で埋まっている。双眼鏡でステージを見守る人、ポケットスコアを広げながら聴き入る人などさまざまだ。

 さて、この日最初に登場したのは、アルチョム・ヤシンスキーさん(ウクライナ/24歳)。バッハはとつとつとつぶやくように始まり、徐々に音が伸びてくる。シューベルトのソナタ第17番は、自然と沸き立つような緩急と抑揚。シューマンのトッカータは、明るいけれど哀愁が漂い、これもまたどこまでも自然だ。リンゴン鳴り響く音がとても魅力的で、聴衆を一緒にのせて音楽を創る人だと感じた。

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  エリザヴェータ・イワノワさん(ロシア/25歳)は、ブルーの美しいドレスでステージに現れた。がっしりとしたタッチで奏でられるバッハから、ベートーヴェンのソナタ第16番へ。自然に体を使って、1曲の中で実にいろいろな音を出す。メリハリのはっきりした生きたベートーヴェンだ。そして、少し間をとってショパンのスケルツォ第2番。余白を聴かせる演奏で、優しいけれど静かな力強さがある。男らしさすら感じる感動的なショパンだった。また、ひとときコンクールであることを忘れる時間だった。
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  グリーンのドレスで現れたイン・ソヒャンさん(韓国/20歳)。静かで落ち着いたバッハ平均律第1巻嬰ハ短調から始め、ベートーヴェンのソナタ第15番「田園」。牧歌的な響きをもつこの作品を、語りかけるようなやわらかい音で表現。英雄ポロネーズはとうとうと流れるようなテンポで演奏し、力強く閉じた。

 地元浜松出身、2度目の浜松コンクール参加で注目を集める犬飼新之介さんは、ハイドンのホ短調のソナタからバッハの平均律第1巻嬰ト短調へと音楽をつなぐ。時折キラリとした音を織り交ぜながら、穏やかに落ち着いた音楽を届けてくれた。そしてリストのハンガリー狂詩曲第12番で、一気にパッションが注入される。キレのあるタッチが気持ちよい。情熱的にリストの世界を描いた。

 休憩をはさんで登場したのは、アレクセイ・ペトロフさん(29歳/ロシア)。幸福感に満ちたふくよかなバッハ。曲間で気持ちを落ち着けるように手を胸の前で握って、ベートーヴェンのソナタ「悲愴」へ。ひとつひとつの音を丁寧に紡いでいる。最後にはリストのハンガリー狂詩曲第13番。オリエンタルな香り漂う冒頭から、高音のメロディを低音のベールでつつみこむような独特の表現もあり、細かな音のコントロール力を見せた。きっと優しい青年なのだろうな……と思わせる、人柄がにじみ出るような温かい音楽だった。
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 安部まりあさん(日本/23歳)は、清く美しく、はっきりとしたバッハの平均律第1巻ト長調からスタート。続くハイドンのソナタは、弱音のきらめきを綺麗に響かせながら、心地よいリズムをきざむエレガントな演奏だ。静寂も聴かせてくれる。最後に演奏されたショパンのスケルツォ第4番はのびやかで、特に音楽の静かな部分をとても美しく聴かせてくれた。

  アンナ・ウライエワさん(ウクライナ/27歳)は、輪郭のかっちりと見えるようなハイドンのソナタから始める。バッハではそのカチリとしたタッチが、際立つ装飾音に活かされる。リストのペトラルカのソネットは重みのある音と独特のリズム感で、しっとりと表現した。

  峯麻衣子さん(日本/27歳)は、黒い素敵なドレスで登場。バッハ、モーツァルトと、芯のしっかりとした、パッと華やぎのある音で奏でる。ショパンのバラード第4番は水面に浮かぶ木葉を彷彿とさせる、穏やかで美しくまとまりのある演奏。ショパンへの想いが伝わる音楽を聴かせてくれた。



◇演奏を終えて……
 

犬飼新之介さん

─ステージはいかがでしたか?

どうでしょうか。コンクールなので、わからないですね……(笑)。

 

─徐々に盛り上がっていくプログラミングでしたが、短調づくしでしたね!

あぁ、確かにそうですね! ハイドンのソナタは、彼のその他の快活なソナタとは違う、少しメランコリックなホ短調のソナタを選びました。20分で収まるように課題曲の中から選ぶのは難しかったです。

─前回に引き続き2度目の参加ですが。

 そうですね、地元のコンクールはいつも緊張します……。

─演奏を終えてどんな気分ですか?

結果はどうなるかわかりませんが、次のラウンドの準備をしようと思います。それから、ちょっとお風呂屋さんに行きたいなと思います。地元なので、どこに何があるかわかっていますので(笑)。
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峯麻衣子さん

─第1次予選の演奏を終えて、今どんな気持ちですか?

いろいろ思うところはありましたが、なんとか終わりました。日本で演奏するのはかなり久しぶりだったので、弾く前はすごく緊張しましたが、ステージに出たら楽しもうという気持ちでいられたのでよかったです。普段ドイツにいるので、久しぶりに日本に戻ってこられました。

─どのように選曲されましたか?

ショパンのバラード第4番が絶対に弾きたくて、そこから残った時間に合わせて考えていきまし た。ショパンにはベートーヴェンよりモーツァルトが合うだろうと思い、イ短調のソナタは長く弾き続けている作品だったので選びました。バッハはこのコン クールのために新しく勉強したものです。
 

─ショパンのバラード第4番には特別な思い入れが?

とても難しい曲なので、なかなか満足いくように弾くことはできませんが……。まだ私は若いですが、作品が持つ人生観に、自分の経験を重ねて感じるところがあるのです。ドラマティックなこの作品をどうしても演奏したいと思って選びました。

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─ヨーロッパで弾くときとの違いは感じましたか?

まず、あちらではこんなに響くホールはほとんどないのでそこが大きな違いでした。それと、日本のお客さまからは、とっても真剣に聴いてくれている感じが伝わってきます。ヨーロッパの聴衆も真剣ですけど、わりとリラックスした感じで聴いているところがあるので(笑)。

─素敵なドレスですね!

ユリの花の模様なんです。日本のドレスは質がよくて値段も手ごろなので、いつも日本で買っています。
 

高坂はる香

 

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