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【本選結果発表】

2012年11月25日|スタッフレポート

表彰式と結果発表は、本選が行われた大ホールで、満員の観衆が見守る中行われた。予定の時刻からそれほど遅れることなく、表彰式は開始された。


まずは鈴木康友市長より、コンテスタントへの賛辞、また、「音楽文化都市交流宣言」の結ばれている札幌市から札幌での演奏機会が与えられることをはじめ、国内外における数々の演奏機会が用意されていることが伝えられた。

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20121124009sr.jpg 続いて海老澤敏運営委員長からは、このようなメッセージが述べられた。

「コンテスタントの方々には演奏順のくじ引きの時にお話ししたことですが、ここでもお伝えしたいと思います。コンクール、つまり、コンペティションというのは競い合いです。しかし、僕はコンクールと言う言葉のほうが好きです。コンクールという言葉には、競い合うという意味意外に、「一緒に走る」という意味もあるからです。
  なぜ若い方々がこの場に共に集まり、演奏をしてくれるのか。それは、作曲家が残した素敵な作品を弾き合う、そして聴いて楽しんでもらい、それを未来の世代に受け継いでいくためなのです。今回こうして入賞者は決まりましたが、ここまで残ることのなかったたくさんの参加者がいるからこそ、この場が成り立ち、さまざまな作曲家の作品を後世に残していくことができる。私はコンクールをそう捉えています」


 
また、結果発表に先立ち、海老彰子審査委員長から講評があった。

「申し上げたいお礼はたくさんあります。今回は、3次予選に室内楽が入り、年齢制限が2歳高くなって30歳までが受けられるようになりました。みなさん、ハイレベルな演奏を聴かせてくれました。2週間本当に良く頑張られました。
  今、私の手元には審査の結果があります。しかし音楽というのは瞬間芸術ですので、今同じことをやったら違う結果になるかもしれません。もしかしたら、1次に通らずすでに国に帰っている方の中にも、才能のある方がいらっしゃるかもしれません。そんな方々、ここにいるみなさん、そして審査委員の私たち自身みんなにとって、今からがまたスタートです。これからも音楽のため、音楽を支えるもののために頑張っていきましょう。最後に、ヤマハ、カワイ、スタインウェイ、長い期間にわたってすばらしいピアノをご準備下さったみなさんにも、感謝申し上げます」
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続く審査結果は、以下の順で発表された。

日本人作品賞 内匠慧さん
奨励賞 アシュレイ・フィリップさん
室内楽賞 佐藤卓史さん
聴衆賞 イリヤ・ラシュコフスキーさん
第6位 内匠慧さん
第5位 キム・ジュンさん
第4位 アンナ・ツィブラエワさん
第3位 佐藤卓史さん
第2位 中桐望さん
第1位 イリヤ・ラシュコフスキーさん

6人の中でももっとも緊張した面持ちで結果を待っているように見えたラシュコフスキーさんは、第2位が発表された瞬間に自らの第1位を確信すると、安心した表情で大きなため息をついた。
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全ての入賞者がそれぞれにすばらしく、どの順位にも大きな価値がある。しかし、演奏活動を行いながら数々の国際コンクールに挑戦し続けてきたラシュコフスキーさんにとって、今やメジャーな国際コンクールのひとつである浜松コンクールで、2位でも3位でもなく「優勝」を手にしたことには、一つの大きな価値があったのではないだろうか。

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審査員が祝福の言葉をかけ、入賞者が互いに健闘を称える中、表彰式は幕を閉じた。
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続いて、記者会見が行われた。登壇したのは受賞者7名と、鈴木康友市長、海老澤敏運営委員長、海老彰子審査委員長、アリエ・ヴァルディ副審査委員長、植田克己副審査委員長。記者からの質問への返答も含め、いくつかのコメントをご紹介しよう。
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アシュレイ・フィリップさん(奨励賞)

「信じられないほどにすばらしいコンクールを、本当に楽しみました。もちろん、奨励賞をいただけたこともとても嬉しいです。審査員のみなさん、スタッフの方々などみんな本当に友好的で、すばらしい人々、友達に会うことができました。また、たくさんの優れた演奏を聴くこともできました。みなさんに感謝を申し上げたいと思います」
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内匠慧さん(第6位、日本人作品最優秀演奏賞)

「ファイナリストの中では最下位、という結果ではありますが、4回も大きな舞台で演奏させてもらったことに大変感激しています。日本人作品の最優秀演奏賞をいただけたのはかなり意外でしたが、これを励みに今後も頑張りたいと思います。コンクールのひとつの目的は賞をとることにあると思いますが、もうひとつの目的は、その後それを糧に音楽界で自分の力を発揮していくことにあると思います。今回の経験を糧に、今後もより真剣に音楽に取り組んでいきたいと思います」
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キム・ジュンさん(第5位)

「浜松で過ごしている毎日をとても楽しんでいます。出場者のレベルがとても高いので、コンクールで演奏することはとても大変でした。しかし、すばらしい組織のおかげで快適に過ごすことができました。どうもありがとうございました」

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アンナ・ツィブラエワさん(第4位)

「この浜松という場所に来て、本選で演奏できたということが、私にとってはとても重要です。今こうしてみなさんの前に座って記者会見に参加していること、そしてなによりみなさんのために演奏できることが嬉しいです。すばらしい経験となりました。ファイナリストのみなさん、おめでとうございます。私は、自分の国であるロシアに誇りを持っています。ロシアの仲間が優勝したことはとても嬉しいです。おめでとう!」

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佐藤卓史さん(第3位、室内楽賞)

「すばらしい賞をいただけて光栄に思います。これまで、さまざまなコンクールに挑戦して、うまくいかなかったこともあれば、ラッキーだったこともありました。悲しい瞬間もたくさんありますが、いつも嬉しいのは、才能を持った仲間に会えることです。今回もすばらしい演奏を聴くことができました。僕は音楽が本当に好きでずっとピアノを演奏してきましたから、音楽ファンとして純粋に感動できる音楽に触れられたことはとても嬉しいです。自分の演奏に関しては、良いところも悪いところもあったと思います。これからもこの経験を励みに頑張っていきたいと思います」
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中桐望さん(第2位)

「今日までこのコンクールを支えてくださった方々に、感謝してもしきれません。私たちは、ただピアノに集中していればよいというなんと恵まれた環境にあったのだろうと、今改めて実感しています。私は今25歳ですが、これまでずっと日本で勉強してきました。クラシックは西洋の音楽で、留学して勉強することが必要だといわれますし、自分自身、今後留学して勉強したいという思いもありますが、まずは今まで日本で勉強してきたことが評価されたことを嬉しく思います。2位という賞を嬉しく思うと同時に、私にはもったいないほど責任のある結果だと感じています。ここまで育てて下さった先生方に感謝しています。まだまだ勉強しなくてはならない部分があるのはよくわかっています。
でも、今回このコンクールですばらしい経験をさせてもらったこと、一生勉強だと海老先生がおっしゃっていたことを忘れず、これからも良い演奏家になれるよう頑張っていきます。長い目で応援してくださるとうれしいです」

 
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イリヤ・ラシュコフスキーさん(第1位、聴衆賞)

「まだちょっと夢を見ているような気分です。審査員のみなさん、聴衆のみなさん、そして僕に信頼を寄せてくれたみなさん、本当にありがとうございました。今、嬉しさを噛みしめています。日本にはこれまで何回も来ていますし、僕にとっては特別な国です。浜松コンクールという場で優勝できたことを本当に嬉しく思います」

   

海老彰子審査委員長

「それぞれの演奏に対してのコメントを述べたいと思います。

内匠さん、感受性の繊細な方で、すばらしい演奏をしてくれたと思いました。コンチェルトの時に少々音が硬かったのは、リラックスできていなかったのかなと感じました。

キムさん、とてもパワフルな音でみんなを引っ張ってくれました。心を明るくしてくれる、エネルギッシュなすばらしい演奏でした。そのエネルギッシュさに加えて、今日のブラームスでは作品の深さや暗さのほうをもう少し考えてもらえたらよかったと思いました。

ツィブラエワさん、1次から本選まで、コスチュームもひとつで通されていましたが、それが演奏にも表れるように、コンスタントにご自分のレベルを保たれていました。今日のシューマンの演奏はすばらしかったです。

佐藤さん、室内楽でも他のアーティストの音をよく聴かれて、みんなと一緒になって音楽を楽しむ姿勢がよく見てとれました。ソリストとしてだけではない音楽の作り方をよく理解していらっしゃると感じました。今日のショパンは、ちょっとあがっていらしたのか、もっとできるのではないかと感じるものでした。それでも、いい演奏で楽しませていただきました。

中桐さんは、以前にも海外のコンクールや芸大の演奏会で聴かせていただいたことがありました。今日のブラームスは音楽を深いところまで理解されていてよかったと思います。これからますます伸びて行かれることを楽しみにしています。

ラシュコフスキーさんは今フランスに住んでいます。以前、サンソン・フランソワ夫人のジョゼット……昨年2月に80歳で亡くなられた、フランス音楽界の有名な女性だったのですが、ずいぶん前に彼女からラシュコフスキーというすごく良いピアニストがいると聞いたことがありました。そして今回初めて聴かせていただいたのですが、演奏が最後まで光っていました。優勝すると、人生には責任も増えて大変になりますが、今後もプレッシャーに負けずに成長してくださるだろうと信じています。

そして、フリップさん。彼は自ら作曲した作品も出版し、ラジオでも演奏されている、室内楽の演奏経験も豊富な優れたピアニストですので、彼のこともしっかりご紹介しておきたいと思います」

 

植田克己副審査委員長

「私たちが審査委員席で聴いていたことは何だったのか。さまざまな作品を演奏するうえでどんな想いを述べるかということに加え、ピアノというすばらしい楽器を使って、みなさんが音楽の世界にどのように立ち向かっていくかを聴き分けたと思っています。少なくとも私自身はそうでありたいと思っていました。音楽のすばらしさをどのように人に伝えるか、音楽にどのように自らを捧げてゆくか。そういったことに、ますます精進していってほしいと思います。受賞者だけでなく、予選で選に漏れた方、DVD審査で通ることができなかった方の中にも良いピアニストはいました。みなさんまだお若いのでこれからもいろいろな経験をされ、どんどん進んでいかれることに期待しています

また、それぞれの入賞者についてですが、タッチ、相性、緊張などさまざまな要素があって、選んだ楽器が、自分の感受性、表現する力とマッチするのが難しかったのかなという演奏もありました。しかしそれを次のステージでは克服し、成長していくところを見せてくれました。

選んだ楽器に自分が何を託し、何を引き出すかをもっと考えられる芸術家に育っていってほしいと思います。ピアニストはほとんどの場合、楽器を持ち運ぶことができません。与えられた楽器、空間、音響を加味して、自分のクリエイティブな姿勢を発揮する演奏家になっていただきたいと思います」

 

アリエ・ヴァルディ副審査委員長

「まずはフリップさん。彼が2次で弾いたブラームスは、重く心に触れるものでした。3次のバッハは、オリジナルにない部分を即興演奏で付け加えたすばらしいものでした。このバッハとブラームスは、今回のコンクールにおける彼の演奏のハイライトだったと思います。6位に入賞しませんでしたが、本選に残るか残らないかの本当に僅差の違いでした。あなたは才能のあるピアニストです。

そして、イリヤ。私は彼の演奏をさまざまなコンクールで何度も聴いています。いつでも彼の能力は常にすばらしいものでしたが、今回は特に、日本との相性が良かったのだと思います。聴衆からも強い支持を感じたのではないでしょうか。昨日ほどの演奏になると、コンクールというより、プロコフィエフを勝ち取ったと言えると思います。このコンチェルトの演奏は完璧で、最高の山場だったと思います。

そして、中桐さん。コンクールにおいて証明しなくてはならないのは、誰が最も音楽が好きな人間かということです。たとえばシューベルトを弾く時には、私よりもシューベルトを愛しているということを証明してくれなくてはなりません。語りではなく、もちろん音楽で証明しなくてはならない。演奏や音の温かさが信じられないほどすばらしく、あなたはその愛をみなさんに証明したと思います。

タカシ、私は彼のことはよく知っているし、どれだけよく弾けるピアニストかも知っています。私は彼が能力をフルに発揮できなければ落胆しますし、発揮してくれれば本当に嬉しく思います。彼の室内楽の演奏は最高で、私はもう涙が出そうになってしまいました。音楽への愛が示される演奏で、本当に魅力的で美しかったです」


時間の都合ですべてのコメントをゆっくり話してもらうことはできなかったが、各審査委員がいかに真剣に、またそれぞれの意見を持ってピアニスト達を見ていたかがよくわかった記者会見だった。
 

高坂はる香

 

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