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【審査委員席から】アリエ・ヴァルディさん

2012年11月23日|スタッフレポート

第2回、そして第4回から今回と、浜松コンクールの審査委員をするのはこれで6度目となる、アリエ・ヴァルディさん。著名国際コンクールで成功を収 め、世界で活躍する若手ピアニストを多数育て、また、ルービンシュタイン国際ピアノコンクールの審査委員長も務めていらっしゃいます。お話を伺いました。

─審査委員の中で、もっともこれまでの浜松コンクールをよくご存知かと思います。今回参加されてお感じになることはありますか?

現在、多くの国際ピアノコンクールでは、事前審査で参加者の数を大幅にカットしてしまいます。40名程度が平均ではないでしょうか。そんな中で、ショパンコンクールとこの浜松コンクールは、たくさんの参加者を受け入れる数少ないコンクールです。個人的には、多くの新しい才能にチャンスを与えることができるこ のようなコンクールが好きです。若いピアニストは事前審査では選に漏れる確率が高いからです。しかし、たくさんの参加者を受け入れることは、優れた組織がなくては実現しません。大人数に対しての連絡対応、金銭的なサポート、ピアノや練習室の確保は簡単なことではないからです。これが難しいために、今では多くのコンクールが参加者を減らす傾向にあります。浜松コンクールの特別な所は、やはりこのすばらしい組織運営。その綿密な仕事には、私たちがピアノの練習 をするのと同じくらいの労力が費やされているのではないかと思います。短い睡眠時間で、スタッフがみんながんばっていることを知っています。日本人ならで はの完璧主義のひとつの現れなのではないかと思います。この機会に、皆さんの一生懸命な姿勢に対して、感謝を申し上げたいと思います。

コンクールそのものの存在については、賛否両論いろいろあります。私自身も、正直言うとそんなに賛成ではありません。それでもこれを実施しなくてはならな いのは、若いピアニストを公正に評価してチャンスを与える方法に、代替案がないからです。コンクールについてひとつの良いところは、人に出会えることです。ピアニストは通常孤独な人間です。ですが、コンテスタント同士や、審査員との交流を通して、互いに知り合えることは素敵なことです。私が初めて日本の コンクールで審査をしたのはずいぶん昔で、そこでは園田高弘さんや安川加壽子さんなどが審査委員を務めていました。私は最年少でした。今は、審査委員の中 でほとんど最年長ですね。でも、自分ではそうは感じていませんけれど。私の絶対年齢は常に37歳ですから! とにかく、年齢、国籍のさまざまな審査委員た ちがうまく組み合わさってこそ、審査に多角的な視点を持つことができると思っています。 20121122018sr.jpg

─今回は審査委員長をはじめ、審査委員の顔ぶれも少々変わりました。これによって、選ばれるコンテスタントの傾向、もしくは年齢層に変化は出るのでしょうか?

とても興味深い質問です。私が審査委員長をするルービンシュタインもそうですが、ショパン、ヴァン・クライバーンなど、多くのコンクールは18歳以下に応募資格を与えていません。下限の年齢層を設けなかったのは、浜松コンクールが先駆けです。これまでの浜松コンクールはこうして若者にドアを開いてきました。過去の入賞者で、当時16歳だったヴガヴリリュクやイム・ドンヒョク……彼らは偶然その後ハノーファーで私の生徒になりましたが、このように若くても出来上がったピアニストにチャンスを与えるのはすばらしいことです。しかし審査委員にとっては、そのことで審査がより難しくなる。若いピアニストはどうしても不利な状況にあります。彼らは10年経ってようやく26歳になるわけですから、年上のピアニストと比較するときには、ボーナスを与えて審査をし、押し上げてあげないといけません。だからといって当然ジュニア・コンクールではありませんから、才能があって輝いている、そしてその時点で聴衆を充分に魅了することができる人を探さなくてはいけません。下限の年齢制限のあるコンクールで、こうした“Spark(きらめく才能)”を紹介できないことは、とても残念だと思います。浜松コンクールは、若いピアニストを受け入れるという新しいアイデアを提示したコンクールです。

─もうひとつコンクールの評価について気になるのは、ユニークで個性があるということと正統的ということのバランスです。ヴァルディさんはどのようにお考えですか?

それはまた百万ドルの難しい質問ですね。自分の心に従っていればいい、と言いたいところですが、音楽はそこまで簡単ではありません。やはり様式感を踏まえる必要がありますし、作曲家の意志を自分のエゴで消すことがあってはいけません。ですが作曲家はある意味、演奏家に、ステージではエゴによる“トリップ”をするよう命令を下しています。演奏家がそれをできなくては、音楽が魅惑的になるはずはありません。しかし同時に、作曲家に仕える心も忘れてはならない。……だから難しいのです。

 

高坂はる香

 

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