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【公式レビュー】第3次予選 2日目後半

2012年11月21日|スタッフレポート

第3次予選の演奏も残すところあと3人、今夜には本選進出者6人が決まる。どの演奏も素晴らしい、たぶん発表が予定の時間よりズレ込むのではないか。そんなことを思いながらレポートを書いている。

 

中桐 望さん(日本/25歳)は、スクリャービンのピアノ・ソナタ第3番から始まった。第1楽章の美しいメロディ、第2楽章でたっぷりの音が弾んで、第3楽章の情緒豊かな演奏からの第4楽章、これで最後まで集中して演奏できる自信がついたと、聴いていて感じられる演奏だった。

1曲目の後はお礼をしただけで、2曲目に入った。シューベルトの「楽興の時」の後、曲を続けようとすると拍手が起こるが、そのままラヴェルの「夜のガスパール」に入る。ここで卓越した音楽表現のみならず、テクニックも余すところなく披露、集中して弾いているのがよくわかる。
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そして、モーツァルト。「夜のガスパール」の後、お客さまにいい気持ちで帰っていただきたいからモーツァルトを最後に持ってきたというおもてなしの心が観客に届いた。最後のブラヴォーという声は一番のご褒美だったに違いない。

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◇演奏を終えて……

―第3次予選を終えての感想をお願いします。

 第3次予選はリサイタル形式でということなので、一番リラックスして本当にリサイタルだと思って、変な気負いとか、ミスしたなどは考えずに、自分の持っている世界や音楽に対する愛情を表現したいと、集中して演奏出来たと思います。

―シューベルトの後、中桐さんは続けて弾こうとしたようですが、拍手がありましたね。

 あそこは続けて演奏したかったのです。でもあの拍手でリラックスできました。

―夜のガスパールはいかがでした?

 それぞれのキャラクターを描き切って満足しています。3つ続けて弾かないと意味がないと思っているので、集中して、それぞれの世界を表現できたと思います。

―最後に弾いたモーツァルトはいかがでしたか?

 私は一人で舞台に立つより、他の人たちと演奏するのが大好きなんです。室内楽が出来たことが一番の幸せです。「音楽やってきてよかった」と思えるステージでした(笑)。

―モーツァルト終了直後に、ブラヴォーの声をいただきましたね。

 とてもうれしかったです。全部の演奏に対していただけたのだと思っています。


 

 佐藤卓史さん(日本/29歳)は、モーツァルトのピアノ四重奏第2番から演奏。美しくバランスの良い音の共演。ときに二重唱のようにピアノとヴァイオリンが寄り添い、そこへヴィオラ、チェロが加わってくる様はとてもロマンティックだ。3楽章などは、優雅に愛らしいモーツァルトの世界を表現。共演者と握手をして、演奏を終えた。

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 そしてリサイタルは、コルンゴルトの「4つの小さな楽しいワルツ」から。もはやコンクールというより、聴衆に新たな作品の魅力を伝えるリサイタル状態! 透明に輝く、エレガントで美しい音を随所に響かせながらワルツが展開してゆく。第4曲で華やかな盛り上がりを見せて音楽を閉じた。

 続いて、リストのロ短調ソナタ。冒頭から期待を越える深い音。地獄絵図、精神の葛藤、そして救われていく過程……めくるめく音楽でそれらが描かれ、天国から鳴り響くような美しい音に思わず目がうるむ。最後の一音が終わると強い余韻に誰も拍手ができず、静寂がしばらくホールを包んだ。“お腹いっぱい”の70分間だった。

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◇演奏を終えて……

─今日のステージはいかがでしたか? 

うまくいったところも、いかなかったところもありますね。室内楽はとても楽しみました。すばらしい奏者の方々と共演できてうれしかったです。コルンゴルトの作品はあまり知られていませんが、私も最近知って弾き始めました。大変チャーミングな曲なので、浜松のみなさんや世界のみなさんに紹介することができたらと思って演奏しました。あの曲は、彼が14歳の時に書いた作品で、1曲ずつガールフレンド……ひとりひとり違う子なんですが、彼女たちに捧げた曲です。おしゃれな作品で、それぞれの女の子がどういう性格だったのかを考えながら演奏しました。

─リストのソナタは、深みのあるすばらしい演奏でした。

リストは長年弾き続けていますが、今回はひとつのストーリーが見えるようにと、全体の構成やテンポを見直しました。そして、一息で語り進むということを考えながら演奏しました。



ソ・ヒョンミンさん(韓国/22歳)もモーツァルトのピアノ四重奏第2番から。1番が多い中、最後はめずらしく2番が続いた。弦楽と一体化しつつ、モーツァルトにぴったりの音を鳴らす、とてもまとまりのある演奏。時折際立つ端整なピアノが、また美しく心地よい。
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そしてエレガントな世界から一転、バルトークのソナタへ。粒のそろった重厚な和音が、力強く音楽を刻んでゆく。ここでは無骨さすら感じさせる音を聴かせ、また新しい引き出しがあることを示した。

そしてシューマンの交響的練習曲へ。豊かで角の取れた音が温かく音楽を構成する。ここでもやはり端整なピアノがシューマンのシンフォニックな世界を、はっきりとした輪郭で示す。安定感と情熱の両方を持ち、ゆったりと楽しむことのできる演奏だった。
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◇演奏を終えて……

─室内楽はいかがでしたか?

とても楽しみました。リハーサルは、あと30分あったらもっと嬉しかったですが、充分です。

─第2番を選んだ方は少数派でした。ヒョンミンさんはどうして選ばれましたか?

1番、2番とも素晴らしい作品ですし、どちらも演奏したことはありましたが、個人的に2番が好きなので。夏にちょうど音楽祭で2番を演奏したばかりだったこともあります。

─バルトークのソナタも印象的でした。

これはたった数ヵ月前に勉強し始めた、僕にとっては新しいレパートリーです。実は、バルトークは昔嫌いだったんです。エマニュエル・アックス先生に薦められて勉強し始めました。最初は先生に「本当に嫌いなんですけど!」と言ったくらい(笑)。あの、リズムとか、終わり方とか、あと現代音楽的なところがあまり好きじゃなくて。でも、君はこれを勉強するべきだと強く勧められて始めたら、結局とても好きになってしまいました。

─シューマンもダイナミックな演奏でした。

これもとても好きな作品です。交響的というくらいですから、いろいろな楽器を思い浮かべて音楽を創り、オーケストラの音を再現しようと演奏しました。

─コンクール1次から3次までを振り返っての感想は?

1次予選の時点では、ここまで来ることができるとは思っていませんでした。1次はとても短い演奏時間でしたし、2次も、自分としては最高の演奏ができなかったと思っていたので。でも幸運にも通過でき、3次でこうしてすばらしい共演者と室内楽を演奏することもできて、またバルトークとシューマンを演奏することができたので、今はとてもハッピーです。

 

角田珠実(中桐)
高坂はる香(佐藤/ソ・ヒョンミン)

 

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