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【公式レビュー】第3次予選 2日目前半

2012年11月21日|スタッフレポート

10:00スタートの演奏を聴きに会場を訪れると、長い列が出来ていた。これは多分また隣のホールで催しがあるのだろうと思っていたら、第3次予選を聴きにいらっしゃった人の列だった。先日はしまじろうコンサートの観客動員数に圧倒されたが、浜コンもいよいよ佳境に入ったせいか、平日にも関わらず、大盛況だ。感謝。

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第3次予選2日目の最初の演奏は、イリヤ・ラシュコフスキーさん(ロシア/27歳)のモーツァルトのピアノ四重奏曲 第1番から始まった。この曲を聴くと 追いかけっこをしているイメージが湧いてきて、ラシュコフスキーさんの演奏を聴いていると、特にその思いが強い。蝶々か鳥たちの追いかけっこのようでもあ るし、子どもたちの他愛のない遊びのようでもある。確かに古典なのだが、新しさも感じた。
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次に演奏したリストの“「巡礼の年 イタリア」より ダンテを読んで―ソナタ風幻想曲”では、壮大なテーマにふさわしい華麗な演奏、メロディの聴かせどころでしっかりと聴衆の心をつかんだ。力強いエンディングにも迫力を感じた。

3 曲目、ムソルグスキーの「展覧会の絵」は、ある意味今日の会場のみなさんが待ち望んでいた曲かも知れない。朝早くから並んだお目当ての曲だったのではない か。その期待に応えて華やかに展覧会の幕が上がった。時には私たちに寄り添ってくれ、時には驚かす。縦横無尽の演奏にどんどん惹き込まれていく。第5プロ ムナードからキエフの大門に進むあたりの終結部は特に圧巻で、観客は彼の演奏のとりこになっていた。
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◇演奏を終えて……

―第3次予選の演奏を終えての感想をお聞かせください。

 第3次予選はとても楽しめました。100%満足できたとは言えないけれど、リストとムソルグスキーは今までに何度もコンサートで演奏したことがあるので、安心して演奏することが出来ました。

―モーツァルトの室内楽はいかがでしたか?

 モーツァルトの演奏もとても楽しかったです。そして、そのおかげでその次からのソロの演奏を気持ちよく続けることが出来ました。今日は18日(日)の合わせより、より深くコミュニケーションが取れて、とてもいい演奏が出来たと思います。 
―とても素晴らしい演奏だったと思います。

 そうですか、リストを弾いている時、いびきが聞こえたんですが(笑)。寝ていたのではないのかもしれませんが、息をする音が聞こえてきました。

―ほんとですか? でも素晴らしい演奏でした。

 携帯が鳴ったのも聞こえました(笑)。

※演奏していてもいろいろ聞こえるようです。気をつけたいものです。



 

キム・ジュンさん(韓国/29歳)は、ピアノ四重奏からスタート。感情をたっぷり込めた、肉付きの良いピアノで弦楽をひっぱってゆく。元気で勢いのあるモーツァルトだ。

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そこからガラリと雰囲気を変えたリサイタルプログラムは、プロコフィエフのソナタ第7番とリストのロ短調ソナタという大曲揃い。静かで強い意志を持ったプロコフィエフは、冒頭の鋭く力のある音から、第2楽章の、音に憂いを混ぜ、語りかけるような表現に移る。終楽章ではかわるがわるさまざまなキャラクターが登場する魔法の国の物語のように、緻密にフレーズを描きわけた。

続くリストのロ短調ソナタ。ピアノという楽器の魅力を見せつけるようなこの作品を、持ち前の豊かな音を活かして伸びやかに演奏する。後半にさしかかると、ますます重い音を登場させる。まるで大海原に出航する大きな船が思い浮かぶようなシーンもあった。若さと成熟、現実と非現実、モダンと伝説というさまざまな要素が絡み合うような、スケールの大きな演奏だった。
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◇演奏を終えて……

─ふたつの大きなソナタを選ばれましたね。選曲はどのようにされたのですか?

 僕の選択は間違いだったかもしれません(笑)。弾いてみたら大変だったので、びっくりしています。時間も思っていたよりすごくかかりました。モーツァルトが21分、プロコフィエフが19分、リストは30分だと思っていたんですけど……。3次では、聴衆や審査委員に僕の演奏の強い印象を残したいと思いました。リストのソナタも、プロコフィエフの7番のソナタも大好きな作品なので、この2曲でそんな印象を与えたかったのです。

─キムさん、演奏中は雰囲気がだいぶ変わりますね。

そうですか? 集中していたからかもしれません。室内楽をステージで演奏するのは初めてでしたし、コンクールのために新しく勉強した作品だったので、その21分間のモーツァルトで力を使い切ってしまって。バックステージでたくさん水を飲んで、リラックスして、集中を取り戻してソロのステージに戻りました。今はもう終わって安心しているから、その時とは違う雰囲気かもしれませんね。

─リハーサルの時間は充分でしたか?

今日は40分、昨日50分あったので充分でした。プロのすばらしい演奏家と共演できてうれしかったです。

─ここまでのコンクールを振り返って、どのような印象を持っていますか?

 1次のステージはとても緊張していました。浜松コンクールは世界でもとても重要で大きなコンクールですし、他のコンテスタントの顔ぶれには、僕が知っているほとんどプロのようなピアニストもいたので。でも、ホールがすばらしく、コンクールの組織も完璧だったので、集中することができました。2次は、1次よりリラックスできていました。とくに、最後にリストの「ヴェネツィアとナポリ」を弾いていた時は、作品全体を楽しむことができました。3次はモーツァルトで力を使い果たしてしまって、その後プロコフィエフとリストの大きなソナタを演奏することが大丈夫か心配になりました。いくつかのミスはありましたが、一番大切なのは、聴衆や審査員に深い印象を残すことです。今日はみなさんに強い印象を残すことができたのではないかと思っています。

─本選で演奏する曲目はどのように選ばれましたか?

 ブラームスの協奏曲第1番を選びました。これも、とても大きくて重い作品です。実はチャイコフスキーとブラームスで迷ったのですが、ブラームスのほうが自分に合うと思いました。今僕はドイツで勉強していますし、ドイツ音楽の精神を理解できていると思うからです。そして、とにかくこの作品が好きです。これまで、ブラームスのピアノ協奏曲はオーケストラと演奏したことがありません。ぜひ本選で演奏したいです。



 

實川風さん(日本/22歳)のレパトワを見てみると、一つのテーマが出来上がっていることに気付く。最初にスクリャービンの幻想曲を弾いて、次がプロコフィエフの「つかの間の幻影」、チャイコフスキーの瞑想曲、シューマンの幻想曲と、ソロで演奏するものにはつかみどころのない、かたち無きものでまとめられている。それらの自分の思いを全部表現した後、モーツァルトへ行こうとしているようだ。

重厚な響きでスクリャービンを演奏、いったん立ち上がって拍手に応えたのは気分を変えるためにもよかった。プロコフィエフは、ちょっとつかみどころのないメロディが軽快に続き、その最後の音が止むまでずっと待ち続け、完全に音が止まってからチャイコフスキーの瞑想曲が緩やかに進むが、美しくて何とも切ない曲だ。すごくゆっくりのテンポで仕上げた。ソロ曲最後のシューマンは1音1音を確認しながらの演奏が出来ていたようだ。自分の表現したいものを出し切れたのではないか。
モーツァルトは、2人目の「2番」。特に第3楽章がモーツァルトらしい音で惹きつけられた。

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◇演奏を終えて……

―演奏を終えての感想をお聞かせください。

 ホッとしています。リサイタル形式だったので、自分のタイミングで、リラックスして始めることが出来ました。緊張しないぞと思っていたのに、案の定緊張してしまいましたが、1曲目を終わるころからほぐれてきて、最後の室内楽は楽しく演奏することが出来ました。短い期間の中で次から次へと違った曲を演奏するなどということは、あまりないことですから。弾く前はそう思っていないのですが、いざ弾いてみると大変!という思いです。

―プログラムを見て気づいたのですが、ソロの曲はすべて幻想とか幻影とか瞑想とかがついて、一つのテーマが出来上がっていますね。

 メインにシューマンの幻想曲を弾こうと決めたのが最初で、それからそういう曲でまとめてみようと思いました。そして、演奏順序はロシアから時間をさかのぼって、最後にモーツァルトというわけです。 

―昨日、内匠さんのモーツァルトを聴きに来られていましたね(笑)。自分の演奏前に他の人の演奏を聴けないという人もいますが……。

 同じ曲を弾くので、ピアノがどのくらいの大きさで響くのか確かめたかったのです。2人目だったので、その点で助かりました。

―コンクール期間中、他のコンテスタントの演奏を聴きに来ている實川さんをよく見かけました。一番聴いてくださっているかもしれません!

 普段から、演奏を聴いてみたいと思う人の演奏は聴くようにしています。

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角田珠実(ラシュコフスキー/實川)
高坂はる香(キム)

 

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