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【公式レビュー】第2次予選 2日目前半

2012年11月17日|スタッフレポート

カラリとした晴天となった、第2次予選2日目。しかしその分空気も乾燥している。

余談だが、会場での咳も目立つ季節だ。咳が出てしまうのは仕方ないのだけれど、危ないなと思う方はぜひ手元にハンカチなどを用意しておいてほしい。これで口元をしっかり塞ぐだけで、音はだいぶ小さくなる。若者が緊張と戦っているコンクールという場、演奏中はもちろんだが、曲間も、できるだけ派手な咳というのは控えてあげたいものだ。
 

 さて、朝一番で登場したのは、アンナ・ツィブラエワさん(ロシア/22歳)。今日もパリッとしたまとめ髪にパンツスーツだ。リストの3つの演奏会用練習曲第2番「軽やかさ」から、メンデルスゾーンの「厳格なる変奏曲」と、安定した演奏で音楽に没頭させてくれる。ここで池辺作品を挟む。しなやかさをもった表現だ。続くショパンのポロネーズは、メロディを強調して、舞曲調というよりは歌い上げるようなドラマティックさを持たせた演奏。少し間をとって、ドビュッシーの「喜びの島」へ。これもまた、彼女特有の丸い音が骨太に音楽を描く。メランコリックで重い音が全体を貫いて印象づけた。客席からは大きな拍手が贈られた。

 ハン・ジウォンさん(韓国/25歳)は黒のスーツに黒いシャツ、グレーのタイというスタイルで登場。池辺作品から始め、鋭い音でメリハリをつけながら語りかけるように演奏する。続けてベルクのソナタは、実直さが垣間見られる表現する。ショパンのエチュード作品25-10から、最後にはフランクの「前奏曲、コラールとフーガ」で音楽の構築力、知性を発揮した。音楽の派手さに頼らずに勝負をするようなプログラムだった。

 薄ピンクのふんわりしたドレスに身を包んだ片田愛理さん(日本/20歳)も、池辺作品から始める。全身で表現する若々しくエモーショナルな演奏が、客席を目覚めさせる。そこからふたつのやわらかなエチュードへ。続くショパンの幻想曲は、日記のようにさまざまな心情が内に向かって語られるよう。それが後半になって切実な叫びに変わる。そしてこの日もっとも印象深かったのはショスタコーヴィチの「前奏曲とフーガ」だ。オルガンのような神秘的な響きが次々と降り注ぐ。ここまでの流れからすると意外性のあるとても良い選曲だ。天国に向かうように昇り詰めて、演奏を終えた。
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 イリヤ・ラシュコフスキーさん(ロシア/27歳)はショパンからスタート。バラード第2番で、ドラマティックに濃密な音楽を聴かせた後は、エチュード作品25-6へ。続くスクリャービンのエチュードはまさに得意とするものとばかりに、自然な哀愁とともに奏でる。間合いを置いて、池辺作品。内面に抱く葛藤を表現するような印象的な表現だ。またしばらく間合いを置いて演奏したラフマニノフのソナタ第2番は、すっかり手の内に入った作品という雰囲気。確信に満ちた抑揚とリズムの揺れに、聴く側もすっかり身をまかせていられる。哀しみと勇ましさを持つロマンティシズムに満ちていた。

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◇演奏を終えて……


 

ハン・ジウォンさん

─ステージはいかがでしたか?

 雰囲気にすごく緊張しました。

─選曲はどのようにしてされたのですか? 

 とても疲れるプログラムでした……。

─ベルクやフランクなど、お好きなのですか?

 実はそういうわけでもないんですけど……(笑)、キム・デジン先生と相談して決めたんです。

─先生からは何かアドバイスはありましたか?

 とにかくスケールを大きく、フォルテとピアノのダイナミックレンジの幅を大きくとって弾くようにと言われました。

 

 

イリヤ・ラシュコフスキーさん

─ステージは楽しめましたか?

はい。でもプログラムは本当に完璧な準備が必要です。今日は感情的に熱くなりすぎてしまったなと思っています。もうちょっとコントロールできるようでないといけなかったかなぁと。

─ラフマニノフのソナタ第2番を選ばれた理由は?

ラフマニノフはとても大好きな作曲家の一人なので。このソナタはもう、10年近く弾き続けている作品です。でも日本で演奏したのは初めてなんですよ。

─池辺晋一郎作品はいかがでしたか? どのようなイメージで演奏されたのでしょうか。

とても楽しかったです。もちろん完全に満足はしていないし、もう少しよく演奏できたなとは思いますが。僕にとっては、あの作品のタイトルがまさに僕が音楽を解釈したものを表していたので、その方向に沿った演奏をしました。

─すでに日本にファンもいらっしゃると思いますが、今回はなぜ浜松コンクールを?

いろいろ理由はありますが、このホールで演奏できただけでも嬉しかったです。コンクールに参加しなければここで演奏することもなかったので。

─ところで、1次予選の選曲はどのようにされたのですか?

シューベルトの即興曲はすごく美しい作品なのでとても演奏したかったですし、そもそもソナタを1楽章だけ弾くというのは嫌だったので……1曲全部弾く方がいいと思いました。あとショパンのポロネーズ第13番は、本当は違う作品を用意していたんです。ここに着いてから、違うもので申請していたことに気が付いて! 訂正したいと言ったのですがだめだったので、急いで準備して弾きました。でも、ポロネーズもすごく美しい曲なので弾けてうれしかったです。

高坂はる香
 

 

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