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【公式レビュー】第2次予選 1日目後半

2012年11月16日|スタッフレポート

練習曲で技術的なものが評価されるうえ、ロマン派、近現代作品の表現力が試される2次予選のステージ。選曲に現れるコンテスタントの“趣味”もより濃厚になってくる。弾く方は大変だろうが、聴く方にとっては楽しいステージだ。

 

  膝上丈のワンピースが若々しいシュ・シンチュエンさん(中国/17歳)は、ショパンのエチュード10-4からスタート。シューマンの「子どもの情景」は、17歳の若さでありながら、成熟した視点を通した“子どもの心情”をしっとりと表現。池辺作品も自分のものとして、ドラマティックに多彩な音で聴かせた。続けて、池辺作品の鮮烈なパートが凝縮されたようなショスタコーヴィチのソナタ第1番。迫りくるような力強さ。この作品も、しっかりと自分のものとして表現している。

 オシプ・ニキフォロフさん(ロシア/18歳)は、池辺作品から始めた。音楽にスパイスを加える、鍵盤をひっかくような鋭いタッチが随所に生きる。センセーショナルな夢の世界が描かれる。メンデルスゾーンのロンド・カプリチョーソは、彼のひとつの魅力である極限までやわらかくした優しい音で始め、一転するフォルテの音がまた大きなインパクトを生む。そして、昂ぶりを抑えたショパンのエチュード10-2、ファンタジーと切迫感が交互に湧き上がるようなラヴェル「夜のガスパール」を演奏。意外性とともに奏でられる音楽に、不思議な魅力がある。
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 佐野主聞さん(日本/26歳)は、ショパンのエチュード10-1から続けてラフマニノフの絵画的練習曲へ。2曲を温かく穏やかな演奏でまとめる。続くショパンのノクターン第17番は、ゆったりとしたテンポ感を堂々と強調して、自分の世界をつくる。この後にで挟んだ池辺作品は、やさしさを持った“ゆさぶり”で新鮮な解釈。ドビュッシーの「映像第1集」より「水に映る影」も、その温かい音色を存分にアピールする選曲だ。概して独特のゆったりめのスピードで演奏する彼だが、それはあの消え入りそうなほどの弱音をしっかりと届けるために必要なテンポ感なのかもしれないと感じる。

 この日最後の奏者となったロマン・マルチノフさん(ロシア/20歳)は、前ステージ同様、だいぶ手前のほうでふわりとお辞儀をしてからピアノに向かう。冒頭から、メロディを硬質な音でところどころ強調しつつ、独特の解釈によるショパンの舟歌を奏でた。彼の中のショパンとはどんなイメージなのか尋ねてみたくなる演奏だ。続くベルクのソナタではそんな硬質な音を存分に活かす。そして、再び演奏したショパンがまた衝撃的。残響を保ちながらの、まるで幻影のようなエチュード10-2。同上の質問が再び頭に浮かぶ。しかし続くスクリャービンは一変パッキリとした音を鳴らして、エキセントリックな勇ましさ。最後に演奏された池辺作品が、またショッキング。“青い梢”が狂おしいまでの葛藤で揺さぶられているかのようだった。この現代作品の演奏がとても大変だったとご本人は終演後に話していた。
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◇演奏を終えて……

佐野主聞さん

─1次と比べて、2次のステージはいかがでしたか?

1次よりは緊張せずに舞台を楽しめたと思います。1次の演奏は日曜日だったので、客席が満席で、こちらに向かう大勢の耳と心に負けまいと境目で戦っているようなところがあったのですが、今日は気にせず集中して弾けました。ちょっとやってしまったなというところもたくさんありましたが、自分の良いところは出せたのではないかと思います。でも、次はないと思いますけど……。銭湯でお風呂に浸かって、全部洗い流したいです(笑)。

コンクール自体、これまであまり受けたことがなく、国際コンクールは初めての挑戦です。始まるまでの精神的な準備、体力面の準備がもっと必要だと痛感しました。

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─生の音を聴いていると、やりたいことがあって、それを念頭に置いて音楽を構成されているのかなという感じが伝わってきました。例えば一般的な演奏よりはゆっくりめのテンポも、聴かせたい音を表現するためなのかなと。

 最近、学校を卒業してから1年半は誰のレッスンも受けずに、すばらしい演奏を聴いたときにそれを自分のものに吸収していくという感じできています。実は僕、テンポ感、フレーズ感が良くないと言われることもあるのですが、それは、ついついひとつの音に命をかけてしまうことが理由なんです。例えばノクターン作品62-1などは、8分音符ごとに和声が変わっていきますが、この和声の交わり、音と音の交わりをもっと聴かせたいと思うと、僕はよくある演奏のようなテンポでは弾けないんです。

─ところで今日は眼鏡でしたね。

はい、今日起きたら目が赤くなっていてコンタクトが入らなさそうだったので……眼鏡はずり落ちそうで怖かったのですが、大丈夫でした。汗を何回も拭かなくてはならず大変でしたが!

高坂はる香
 
 

 

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