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【公式レビュー】第2次予選 1日目前半

2012年11月15日|スタッフレポート

昨日第1次予選の通過者が発表されたばかりだというのに、第2次予選は容赦なく始まる。

第1次予選の失敗を引きずってはいられない。平日の午前中にもかかわらず多くの方が駆けつけて、定刻通り15日前半の演奏がスタートした。

 

  阪田知樹さん(日本/18歳)は、期せずして池辺 晋一郎の第2次予選課題曲の【ゆさぶれ 青い梢を ピアノのために】を観客に最初に披露することになった。誰一人聴いたことのない曲だから、客席の関心も非常に高かった。演奏を終えて、しばしじっとしたまま最後の音との別れを惜しんだ。その後ショパンへと私たちを誘ったが、この流れはとても自然で、一つのまとまりのように感じたほどである。今回演奏された5曲の中で敢えて注目するのはベルクのピアノ・ソナタ ロ短調。ベルクが池辺作品とリストのスペイン狂詩曲の橋渡し的役割を担って、5曲全体のまとまりが出来た。彼のセンスがうかがえる。

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  アンナ・ドミトレンコさん(アメリカ/20歳)の池辺作品も、やはり最初に演奏した。人が違えば、ピアノが違えばこうも違う。「こういう解釈でいいのよね?」という問いかけが放たれている。少しジャズのテイストも感じられ、それも悪くない。彼女の魅力はそれぞれの演奏の強いメッセージ性だ。「彼女だったら、どう弾くだろう?」と知りたくなってしまう。その強い興味の前には、たとえミスタッチがあってもあまり気にならない。次に弾いたリストでも、シューマン、ラフマニノフでも楽しませてくれた。特にラフマニノフのコレルリの主題による変奏曲は、深い音の織りなすバリエーションに惹き込まれた。彼女のルーツを考えれば、ラフマニノフは外せないレパトワかもしれない。

  内匠 慧さん(日本/20歳)は、前の二人が池辺作品を最初に弾いたのに対し、リストの「忘れられたロマンス」からスタート、ゆっくりと音を味わいながらの演奏には速いパッセージを弾くのとは違った難しさがある。その後もショパン/リスト、ショパン、リゲティの作品が続く。そして、それからの池辺作品。透明な高音に宇宙を連想させるところがあって、面白く聴いた。彼は彼のスタイルを守り通そうとしている、そのはっきりとした意思表示が終わりの音に現れていた。キッパリ。最後に弾いた曲は、ラフマニノフのコレルリの主題による変奏曲。前の演奏者に続いてこの曲が演奏された。内匠さんとしては、変奏曲は第1次予選で弾いたパガニーニの主題による変奏曲に続き、2度目の変奏曲となったが、素朴に響き渡る音が彼らしさを表していた。彼らしさと言えば、演奏後の最敬礼はまさに彼らしく、微笑ましい。

  アシュレイ・フリップさん(イギリス/23歳)の、どことなく漂うほんわかムードにこれまで第2次予選初日という緊張感が次第にほどけて、会場は癒されていく。プログラムの順番では最後から2番目だった池辺作品を最初に持ってきた。クラシック音楽としての響きがあり、いい意味で「初めて弾いています」という緊張感はなかった。その後、ドビュッシーの練習曲 第9番「反復音のための」、ラフマニノフの前奏曲と小品をこなし、最後にブラームスの4つの小品で閉めた。全体的に曲の性格を考え、観客が飽きないような工夫がなされていた。4つそれぞれに表情のあるブラームス。弾いている本人がその違いを楽しんでくれていたのがこちらにも伝わって、“おすそ分け”をもらったよう。



◇演奏を終えて……

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アンナ・ドミトレンコさん


―演奏の終えての感想をお聞かせください。

 (やりきった感のある表情で)とてもよかったと思います。


―どのように演奏順を決めたのか教えてください。

 新しい作品から始まるのがいいと思って、池辺作品から始めました。二つのバリエーションがあるので、続けて弾くことを避けて、間にシューマンの3つの幻想的小曲を挟みました。ラフマニノフはとても重要な曲なので、これは最後に弾くことしか考えられえませんでした。



 

内匠 慧さん

―演奏を終えての感想を教えてください。

  1、2曲目のリストとショパン/リストはうまくいったと思うのですが、3、4曲目のショパンとリゲティが駄目でした(笑)。実はリゲティと池辺作品の対比 をつけたいと考えていたのですけれど。そうして、現代曲でうまく聴かせたかった。ショパンのエチュードが良くなかった時、鍵盤を拭くなり、間合いを取れば よかったかなと思います(笑)。

―コレルリの主題による変奏曲はどうでした?

 実はこっちの方が不安だったのです。というのは、ちゃんとしたステージで、人前で弾くのは初めてだったので。最後の方はちょっと力みすぎたかも知れませんが、悪くなかったと思います。

―池辺作品の終結部は、よかったと思います。

 (嬉しそうに)本当ですか?
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アシュレイ・フリップさん

―演奏を終えての感想をお聞かせください。

 ピアノを弾くことは音を創りだすこと、ピアノは幸せをもたらしてくれます。第2次予選について言えば、練習曲を1曲ないし2曲入れるといった縛りがあるので、あまり気持ちよくといったわけにはいきません。40分しかないし、練習曲を含むので、小品を弾かざるを得ない。普通のコンサートだったら、3、4曲大曲を用意しなくてはならないが、今回は、大曲はブラームスの4つの小品だけになりました。

―小品はお好きではないのですか?

 大曲を弾く方が気持ちいいです(笑)。
 

―池辺作品はいかがでしたか?

 とてもいい!美しい作品です。イメージがたくさん湧いてきて、ぜひ池辺先生に一度会ってみたいですね。11月18日(日)に、池辺晋一郎氏による日本人作曲作品講座があるので、のぞいてみようと思っています。

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角田珠実

 

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