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【公式レビュー】第1次予選 5日目後半

2012年11月15日|スタッフレポート

とうとう第1次予選の演奏がすべて終わった!73名のコンテスタントが無事に演奏を終えられたことが何より嬉しい。このレポートが公開されるころには結果が出ているだろうが、結果はさておき、すべてのコンテスタントの労をねぎらいたい。

 

  セルゲイ・コンスタンティノフさん(モルドバ/21歳)のバッハ、平均律 第2巻 変ロ長調は清々しく、初々しくさえあった。モーツァルトのソナタ 第18番は聴いていて楽しくなる。ハ長調の明るく、軽快な感じがよく表現できている。速く弾くパッセージも澄みきっていた。ショパンの スケルツォ 第4番は、曲調が変わるところからのもの悲しさは、たっぷりと豊かな演奏で聴かせてくれた。演奏を終えて、余韻を味わうことなくステージを去ったのは、後でインタビューしてみて、彼がシャイな人だとわかって納得した。

  チュウ・ハオさん(中国/26歳)は、前回(第7回)も出場している、すでに安定した実力の持ち主だ。演奏はプログラム通りではなく、シューマンのアベッグ変奏曲から始まった。華やかさを前面に押し出したかたちだ。確か、アベッグ変奏曲を演奏したのは彼だけだったはず。チュウさんのチャレンジ精神を評価したい。次に弾いたバッハとモーツァルトと対照的に組み合わせた狙いはよかったと思う。演奏を終えて、観客の拍手にうなずきながらステージを去ったのは、単に演奏に満足したからだけではなく、2度目の挑戦への覚悟の表れだったと確信している。

  ソ・ヒョンミンさん(韓国/22歳)のまず演奏スタイルを褒めてあげたい。姿勢がよく、無理な力が手に伝わっていない。きれいな姿勢から格調高いバッハの平均律 第1巻嬰へ短調が生み出されていた。ベートーヴェンのソナタの中でも馴染み深い第6番では、両手が滑らかに鍵盤を滑る。他のソナタも聴いてみたくなる立派なベートーヴェン弾きだ。ショパンのバラード 第4番も、ことのほか美しかった。韓国人ピアニスト特有の歌い上げるレガートを効かせた演奏に観客もうっとりして聴いていた。しっとりと始まる曲だが、終結部は技巧的で、素晴らしい演奏だった。

  鈴木 美紗さん(日本/30歳)にとって、最後の浜コン挑戦となる。あずき色のドレス、実は後で見たらとてもきれいな紫に近い色だとわかった。彼女のレパトアが素晴らしい!
まずバッハの平均律 第1巻 嬰ヘ長調。この曲を弾いたのは鈴木さんだけだった。それからベートーヴェンのソナタ 第11番、これも弾いたのは彼女だけだった。聴いてみるとすばらしい、名曲だ。目利きの才能も兼ね備えている。そして、第1予選で弾いたのは二人だけというショパンのスケルツォ 第2番は、メリハリのついた鮮やかで華やいだ演奏だった。

  加藤大樹さん(日本/22歳)は満を持して、2回目の挑戦。バッハの平均律 第2巻 ト長調は滑り出しがスムーズだった。ベートーヴェンのソナタ 第18番は、弾きこなされているような安定感があって、軽快だった。最後に持ってきた曲は、リストのメフィスト・ワルツ 第1番。最初から最後まで気が抜けない難曲で、ドラマチックな演奏が要求される曲ということを知り抜いての演奏だろうということが伝わる。最後の10数秒ほどのクライマックスが息をのむ美しさで、こちらも息を止めて聴いた。
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  桑原 志織さん(日本/17歳)の弾いたバッハの平均律 第2巻 ハ長調は、落ち着きのあるバッハらしい旋律を感じ取れる曲だが、その持ち味を上手く活かして弾いてくれた。ベートーヴェンのソナタ「熱情」は、右手が弾くお馴染みのメロディを、左手の連打で盛り上げて胸の高鳴りを想像させた。リストの半音階的大ギャロップは、美しいギャロップ。楽しくてワクワクする高揚感を味わえた。遊園地に行った時の気持ちと似ている。これだけの完成度だ、自信をもってこれからの演奏活動を頑張ってほしい。

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  パヴェル・ライケルスさん(ロシア/30歳)も30歳ということで、この浜コン挑戦が最後となる。自分の納得する演奏が出来たのではないか。そう思わせたのは、荘厳な響きを醸し出したバッハの平均律 第2巻 ホ長調。シューベルトは迫りくる何かにおびえる情景が浮かんだのだが、その緊張感に惹き込まれて最後まで楽しめた。シューベルトがかなり聴きごたえのある曲だったが、ライケルスさんは、さらに大曲を用意していたのだ。まさかリストの半音階的大ギャロップを続けて2回聴くことになろうとは、滅多にないチャンス。しかも、男性vs女性、17歳vs30歳、での聴き比べというのは、千載一遇のチャンスと言っても過言ではない。軽々と飛び跳ねて、そこは男性の持ち味だと思った。
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◇演奏を終えて……

セルゲイ・コンスタンティノフさん

 

―演奏を終えての感想をお聞かせください。

 満足していません。今日は思い通りにいきませんでした。気持ちをうまくコントロール出来たらよかったのですが、そうはいきませんでした。

―モーツァルトを選んだ理由は?

 モーツァルトが好きなんです。有名なソナタではありませんが、この曲は人々を幸せにする曲だと思います。 

―そして最後はショパンでしたね。

 スケルツォ 第4番は美しい曲です。実は、この曲は審査委員でもあるディーナ・ヨッフェ先生の得意とする曲なのですよ。

―だったら今日はヨッフェ先生にアピールできましたね。

 そうだといいのですが(笑)。

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鈴木 美紗さん

―演奏を終えての感想をお聞かせください。

 心臓が飛び出るかと思いました(笑)。3曲それぞれにインターバルを入れたので、だんだん落ち着いてきました。観客が集中して聴いてくれるので、気にならなくなりました。

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―ところで、調べてみて気づいたのですが、鈴木さんの弾いたバッハを演奏したのは、鈴木さんだけだったのです。

 はい、気づいていました。この曲は昔から弾いている曲。実はこの曲を弾いたことで上手くいったコンクールがありまして、それで弾くことにしました。

―さらに言えばですね、ベートーヴェンのソナタ 第11番を弾いたのも鈴木さん、あなただけだったんですよ(笑)!

 そうみたいですね、11番っていい曲なのに、なんでみんな弾かないんだろうという思いと、私だけの曲にしたいという気持ちもありますね(笑)。

―さらに言っていいですか(笑)。ショパンのスケルツォ 第2番、これは二人しか弾いていないんです。

 もう一人も女性の方でしたよね?私はバッハとベートーヴェンがちょっと軽めだったので、2番にしたのです。

*選曲のセンスに非凡な才能を感じる鈴木さんでした。

最後に:第2次予選へと進まれた、チュウ・ハオさん、ソ・ヒョンミンさん、おめでとうございます。

 

角田珠実

 

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