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【公式レビュー】第1次予選 4日目後半

2012年11月14日|スタッフレポート

プログラムを膝の上に開いて演奏を聴きながら、次のステージではなにを弾くのかな?とふと目が行くときがある。第1次予選では特にそうだ。この音で○○を聴いてみたいと思うとか、どんな選曲センスの人なのだろうと思うとか、理由はさまざま。この純粋な次も聴いてみたいという気持ちが、コンクールの音楽を楽しむうえではけっこう重要なポイントだ。今日もそんなワクワク感とともに、客席に座った。


 務川慧悟さん(日本/19歳)は、バッハの平均律第2巻嬰ハ短調からスタート。哀しげな音が徐々に力をつけてゆく。続いて選んでいたのはベートーヴェンのテンペスト。静かな音楽をゆっくり独特の弱音で奏でることで、音楽のコントラストが際立つ。リストのハンガリー狂詩曲第6番は、思い切りの良い打鍵と大胆なテンポのコントロールで、個性的な表現。最後は疾走するように音楽が駆け抜けていった。

 ここは日本人が続く。中桐望さん(日本/25歳)は、上品な黒いドレスで登場。バッハに続いて演奏された潔く美しいシューベルトの即興曲は、とても良い演奏だった。リストのメフィスト・ワルツ第1番では、情景が浮かぶようなファンタジックな音楽を創る。全体に、はっきりとした鮮やかな音が凛々しい印象を与える、“カッコイイ”演奏!

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続いて登場したシュ・ガーフイさん(中国/21歳)は、美しい形のすみれ色のドレスがとても印象的。ハイドンのソナタを、細部までを描写するような繊細なタッチで演奏する。最後にはシューベルト=リストの魔王を置いて、聴衆を引きこむ。力強い音と、ドラマティックな表現力を示した。

 休憩をはさんで、この日最後の日本人コンテスタント、齊藤一也さん(日本/22歳)が演奏。バッハをガツリと重い音で始める。続いてベートーヴェンのソナタ第6番を3楽章すべて演奏。こちらも重めのタッチで、それでいて流れるような若々しさのある音楽だ。最後は、エネルギーみなぎる音で奏でるシューマンのトッカータで閉じる。どれも豊かに鳴る音が印象的な演奏だった。

 アレクセイ・タルタコフスキーさん(アメリカ/23歳)は、冒頭からものすごく注意深く響きを確かめながら演奏を進める。弱音の出し方に相当なこだわりがありそうだ。透き通るようなバッハの平均律第1巻ロ短調に続き、ベートーヴェンは最晩年の32番のソナタを選択。強い主張、そして少々エキセントリックなものすら感じるおもしろい演奏に引きこまれた。そして、たっぷりと間合いをとってからショパンのスケルツォ第3番へ。ピアノを存分に鳴らし、ドラマティックな展開を見せる。その冷静そうな外見のイメージとのギャップがすごい。
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この日最後の演奏者、ルカ・オクロスツヴァリゼさん(グルジア/21歳)もバッハから始める。ベートーヴェンのソナタ「悲愴」は第2楽章までを比較的淡々と弾き進め、後半で時折さしこまれる感情的な表現を光らせる。リストのハンガリー狂詩曲第2番は、シニカルでユーモアあるスパイスとともに、また印象的な音を出してくる。ラストのカデンツァは、ラフマニノフのものを原型としたアレンジバージョンだったとのこと。勢いとともに音楽を盛り上げ、会場からはブラヴォーの声もあがった。



◇演奏を終えて……

シュ・ガーフイさん

─1次の演奏を終えてどんな気分ですか?

終わってようやく少しリラックスできました。今演奏を終えたばかりなのでちょっと興奮していますが(笑)。今夜は良く寝て、明日からまた次のステージの準備をしようと思います。もちろん、次も演奏できるなら……の話ですが。

─日本の聴衆の雰囲気はいかがでしたか?

とても優しいですね。音楽が好きだという気持ちが伝わってきました。たくさんの方が聴きに来ていたのは、もちろん有名なコンクールだからということもあるでしょうが、そんなみなさんの気持ちがあるからなのだろうなと。

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─選曲はどのようにされましたか? 特に、シューベルトの「魔王」は印象的でした。

これはとても好きな作品なんです。シューベルトがゲーテの詩を子どものころに読んで作曲した歌曲がもとで、このリストのピアノ編曲版は、詩がピアノで奏でられるとても印象的な作品です。気に入っている作品をこの舞台で演奏できて嬉しかったです。

─日本の印象派いかがですか?

日本は初めてなのですが、すばらしいですね。人がすごく優しい! それにとても礼儀正しくて。コンクールも素晴らしい組織で、私たちが良いコンディションで弾けるように世話をしてくださいます。日本に来られてとてもハッピーです。

─きれいな色のドレスですが、プログラムに合わせて選んだのですか?

色は特に考えていませんけど(笑)。ドレスは4着持ってきていますが、確かに、このドレスはクラシカルな形だから、古典派のハイドンなどを弾くステージに合うかなとは思いました。でも、基本的には着やすいものを選んでいます。

─それにしても、すごくスリムですが音はとても豊かでしたね。身体づくりのためになにか運動をしているのですか?

特別何もしていません! ときどき泳ぐだけですが、毎日やっているとかでは全然ないですよ。

 

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ルカ・オクロスツヴァリゼさん

─ステージはいかがでしたか?

とても怖かったですね。ピ アノを試す時間もほんの少しだったので、ホールでどのように鳴るのか想像がつかないままステージに上がったので弾いてみてこういう音がするんだとちょっと びっくりして。神様が見ていてくれたら、次に通過できるかもしれませんね! でも、聴衆のみなさんがとても温かかったので本当にありがたかったです。今、 とにかく暑くてちょっと頭がうまく働いていませんが(笑)。

─リストのハンガリー狂詩曲、最後のカデンツァの盛り上がりはすごかったですね。

 あれは、ラフマニノフのカデンツァを原型に、少し長すぎるので自分で少々アレンジしたものですよ。

─曲はどのように選びましたか?

 全部大好きな作品です。まずは良い音楽を届けたいという気持ち、コンクールはその次という考えでいました。

─浜松コンクールを受けることにした理由は?

 これは世界でトップ10に入る重要なコンクールです。優れたピアニストはみんな通過するべきコンクールだと思うので、とても参加したいと思いました。

 
高坂はる香

 

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