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審査委員によるマスタークラス 1日目

2012年11月22日|スタッフレポート

 審査委員として、世界の著名な演奏家、教育者であるピアニストが揃う浜松国際ピアノコンクール。本選オーケストラリハーサルのためにとられる空き 日には、毎回恒例で、そんな審査委員勢によるマスタークラスが行われる。受講生は惜しくも本選に進むことのできなかったセミファイナリストたち。すでに魅 力的な音楽を持っている彼らだが、各講師のアドバイスで演奏がさらに磨かれてゆく。


 午後の最初は、これまでに幾度も浜松コンクール審査委員を務めているアリエ・ヴァルディ氏によるマスタークラス。教え子には、リ・ユンディ、ガヴリリュク、イム・ドンヒョク、ソン・ヨルムなど数々の優れたピアニストがいる。

  この回の生徒は阪田知樹さん。作品はベートーヴェンのピアノソナタ「熱情」第1楽章だ。冒頭に、阪田さんのコンクール中の演奏について「彼の熟した演奏に 感銘をうけました。彼のようにドビュッシーの練習曲を弾ける若い人はなかなかいません。弾いてもらう前からすでに脱帽しているとお伝えしておきましょう」 と話し、レッスンをスタートした。

 冒頭のひとつのフレーズから、曲想について、またニュアンスのつけかたについてさまざまな話が展開す る。さらに、ベートーヴェンが音符の長さを細かく指定したことを指摘し、それをしっかりと守ることの大切さについても伝えた。ひとつの音についても、“野 獣のように”“かみつくように”“オーケストレーションするとしたらどんな音になるか考えて”などと、数々の表現でイメージが説明される。ウィットに富んだトークと共に進む楽しいレッスンだ。

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 最後あと6分となったところで、「それでは時間がないので楽しいことをしましょう。私のゲームにあなたがのってくれるなら」とヴァルディ氏。おもむろに ラヴェルのピアノ協奏曲ト調オーケストラパート終盤の演奏を始めた。阪田さんがソロパートを演奏し、2台ピアノによる共演。ヴァルディ氏からの、粋で素敵 な計らいで最初のクラスが閉じられた。


 

続くアンドレイ・ピサレフ審査委員によるマスタークラスの受講生は、オシプ・ニキフォロフさん。レッスンはロシア語で進められた。曲目は、まず始めがメンデルスゾーンのロンド・カプリチオーソ。

「とてもよく弾けていますが、将来のことを考えるともっと精密さが必要でしょう。鍵盤の表面ではなく、奥深くを押さえることを意識してください。ちょっと指が走ったり、抑揚がつけきれていなかったりするところもあります。余計な動きがないように心掛けて練習しましょう」

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続くハイドンのピアノソナタ第1楽章についてもこんな感想が。

「コンクール中も思いましたが、細かい音符はとても良く聴こえて音楽の動きはとても良いけれど、長い音に響きと伸びが足りない。解釈はとてもおもしろいし、演奏に心もこもっていますが、形がはっきりしていないのです。やはり手の動きを見てゆく必要があります」

正確な演奏をするための、細かな技術的なアドバイス、そして、適切なフレージングやアクセント、テンポ感の統一などについて細かく伝えられた。



 

 最後は、エヴァ・ポブウォツカ審査委員によるマスタークラス。ポーランドの名ピアニストである彼女が指導したのは、ロマン・マルチノフさんのショパン「舟歌」。まず始めに、演奏に対して一言。

「あなたは音楽をとても真剣に具体化して弾いています。でも、ときどき楽譜に書かれていることを見落としています。そして舟歌には、もう少し夢を見るような表現が入ったほうがよいでしょう」

  ポブウォツカ先生からのアドバイスに、マルチノフさんが「ここはこのように弾きたいのです」と主張を返すこともあった。もっとレガートに、あなたはできる はずなのにどうして! という幾度にもわたる指摘に、「先生がやってみせてくださいませんか?」とリクエストする場面も! それをさらにつっこまれたりし ながら、掛け合いがおもしろいレッスンだ。

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 もう1曲の課題となったベルクのソナタについては、とてもすばらしい演奏だったというコメントとともに、楽譜をしっかり見て、いくつかのニュアンスを「客観的に」聴いて表現するようにというアドバイスがあった。

「あなたには、こう弾きたいということがとてもはっきりしているのでしょう。でも、弾くのが楽しくて自分の音をよく聴けていないように思われるときがありま す。演奏家は、常に前と違った新しいものを求めなくてはいけない。明日も今日のように弾こうと思うのが一番いけません」

 ポブウォツカ先生は今日が誕生日ということで、最後にマルチノフさんがハッピーバースデーをピアノで弾くというサプライズも。三者三様の興味深いレッスンで、マスタークラス初日が終わった。

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高坂はる香

 

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