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【公式レビュー】第1次予選 2日目前半

2012年11月11日|スタッフレポート

第1次予選2日目の演奏は10:30から始まった。5日間ある第1次予選のうち、10:30スタートは2日間のみ。朝早く体調をベストに持っていくことは大変だと思うが、そのハンデを乗り越えて第一奏者のシエさんが登場した。


シエ・ジンチュエンさん(中国/17歳)。ピンヒールでの登場に、少し背伸びをしたい年頃にある意思表示を感じた。演奏の端々に、強く音楽への好奇心を感じたバッハからのベートーヴェンは、ダイナミックだった。17歳という若さの成せる演奏、これから弾き込んで立派なレパトワになる。グノー/リストの“「ファウスト」よりワルツ”は、パッセージが滑らかで、そこからのエンディングに迫力があった。

ウォン・ジョンホさん(韓国/24歳)。この日最初のピアノチェンジの後、淡々とバッハを弾き始め、その心地よいテンポとバッハらしい音に惹き込まれていった。次のモーツァルトでは、何度も椅子の位置を調整して時間を取った。そのしぐさがモーツァルトを弾く前の覚悟のように見えた。次々と生まれる音は、金平糖がコロコロと転がるような軽やかさをイメージさせてくれた。3曲目のショパン「英雄」は、イントロから主題メロディに入る時、もう少し“ため”があってもいいかもしれないと思ったが、演奏テクニックは十分に伝わってきた。前回覇者のチョ・ソンジンが、第1次予選で同じく「英雄」を弾いたことを思い出しながら聴いていた。

アダム・コシミェヤさん(ポーランド/26歳)は、プログラムでは2番目になっていたバッハから演奏、音がホールいっぱいに響いてあたかも教会で聴いているようだった。次のベートーヴェンでは、風格のある、勢いのいい演奏。強弱のメリハリを効かせたリズミカルな演奏にこちらもノセられる。そしてシューマンのトッカータ。昨日に引き続きこの曲を聴いて、あらためて難曲だと思う。しかしそれだけのことはある魅力的な曲、コシミェヤさんの演奏でその魅力が伝わってきた。ちゃんと確たる音楽観、自分の世界を持った人だ。

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伏木 唯さん(日本/21歳)は、少し色を抑えた赤むらさきのドレスで登場、ラメが光って雰囲気を盛り上げる。演奏までに時間をたっぷりとったのは、気持ちを一点に集中させていたのだろうか。テンポ、気持ちゆっくり目のバッハから前のコンテスタントと同じソナタ 第32番 第1楽章が連続して演奏された。演奏者が違うとニュアンスが違う、そういうところを楽しんで聴くことが出来た。3番目のリストを聴いて、伏木さんに合う曲だという印象を持った。情感たっぷりと歌い上げ、右手の創り出す高音部が美しいと思った。

ホアン・シンウェイさん(台湾/24歳)は背中の開いたセクシーな黒のドレスで、ステージが華やいだ。バッハが終わってのベートーヴェン。ソナタ 第31番は情感があり、一つ一つの音をていねいに弾いてくれたので、音も澄んでいて安心して聴くことが出来た。ショパンでは技巧的テクニックを披露する時と心得て、身体全体の力を結集して強い音を情熱的に創り出していた。

オシプ・ニキフォロフさん(ロシア/18歳)のハイドンは音が濁らず、清々しい音がホールに響き渡った。まだ会場がざわついている時にバッハの演奏をスタートしてしまったせいか、聴く側の準備が整っていないように見受けたが、ハイドンで会場の空気をつかむことが出来た。さあ、ここからブラームスのパガニーニの主題による変奏曲へと入る。めくるめくバリエーションの波が聴く側に押し寄せてきて、ふとニキフォロフさんの表情をうかがうと、楽しんでいる様子だったので、会場に一体感が生まれたことを感じ取っているのだと思われた。演奏する姿を見ていると、自信に満ちていて、それも頷ける。彼はそれに見合うだけのテクニックを持ち合わせているから。
 
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佐野主聞さん(日本/26歳)は、バッハの平均律 第1巻 変ロ短調、ハイドンのソナタニ長調と、共にシンプルな曲調だったせいか、聴く側の感情へのゆさぶりは控えめだったが、ショパンのノクターンで静謐な世界を作り出してくれた。会場もその音に聴き入っていたようだった。曲の意図するところを大切にしていることが伝わってくるような演奏だった。

2日目前半最後を飾ってくれたのは、リ・ハンチェンさん(台湾/28歳)。ロイヤルブルーのドレスで登場、黒いピアノによく似合う。厳かなバッハ。音の響き具合がよく、耳に染み入ってくる。ハイドンはソナタ ハ長調を全曲弾いたが、そのこだわりに芯の強さを感じた。ショパンはスケルツォ第3番と、レパトワの組み立てにセンスが光る。スケルツォの諧謔的な面白みには品格がなくてはならない、その期待に応えて後半部分は全力を注いだ演奏となった。
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◇演奏を終えて……

アダム・コシミェヤさん

―演奏を終えての感想はいかがですか?

100%満足ということは誰もあり得ないと思うので、満足する出来だったと思います。

―プログラム通りベートーヴェンから行くのかなと思いましたが…。

私 としてはバッハを先にと決めていたのですが、申請した時間違えてしまいました。プログラムといえば、多様性に富んだところを見せたいと思いまして、第1次 審査では敢えてショパンは入れませんでした。入れてしまうと少なくとも10分はかかるので、第1次予選20分の枠に納まりきれません。それでシューマンの トッカータを持ってきてテクニカル的にも音楽的にも魅せたいと思ったのです。ショパンは第2次予選、第3次予選で弾けたら弾こうと思います。

―浜コンの印象はいかがですか?

 ピアノ選びにもう少し時間が取れたらなあと思っています。10分間の中で決めなくてはならなかったので、普段から弾きなれているスタインウェイを選びましたが、ヤマハやカワイのピアノも素晴らしいので、ちょっと試してみたい気はあります。

―今日、演奏が終わってお辞儀をして帰る時、ステージの後ろの方向に行かれてましたね(笑)。
 帰ろうとしたら、どっちか判らなくなっちゃって(笑)。会場の皆さんからも笑われちゃいました><。

*おちゃめなコシミェヤさんでした!


リ・ハンチェンさん

―第1次審査を終えて今、どのような気持ちですか?

 演奏直後は何も考えられませんでしたが、少し経った今はすごくいい気分です。美しいホールで演奏を楽しみました。失敗もしたけれど、何事も経験だと思っています。

―バッハ、ハイドン、ショパンという組み立てでしたね。

  20分しかないのですが、その中で音楽性とテクニックを出したいと思いました。それと、私はソナタを弾く時、第1楽章だけ弾くというのが嫌なのです。弾くのなら全部弾きたい、だから今日はハイドンのソナタ ハ長調を全部弾きました。ショパンは大好きなので、レパトワもたくさんあります。

―他のコンテスタントの演奏はもう聴きましたか?

 まだ誰も聴いていません。たぶん聴くとしたら今日の後半を聴くことになると思います。ニューヨークから来たのですが、時差ボケがひどくて、夜になると眠いんです(笑)。
 

角田珠実

 

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