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本選最終日

2009年11月22日|トピックス

 本選の最終日、心なしかみんなソワソワしている。審査委員の集合写真を撮るカメラマンはたった今正装に着替えて出て行った。みんなが本選最後に向けて動き出したという感じだ。こちらもおのずと気が引き締まる。

 今日は、ホ・ジェウォンさん、エルマール・ガサノフさん、キム・ヒョンジョンの順に演奏したが、どの演奏も素晴らしく、それぞれの演奏のたびに「優勝はこの人だろう」と確信し、結局最後はどの人がなってもおかしくないという結論に至る、甲乙つけがたい演奏ばかりだった。

 最終日最初の演奏はホ・ジェウォンさん(韓国/22才)。最初のピアノによる鐘の音が徐々に響き渡る。私たちはそのピアノの音だけの世界から徐々にラフマニノフのコンチェルトの世界へ誘われるのだが、心地よい滑り出しからいつの間にかどっぷりとジェウォンさんの世界へと入り込んでいることに気づく。力強いところは力強く、歌い上げるところはたっぷりと歌い、線の細いジェウォンさんがあんなにも力強いタッチで弾くことに驚きを覚えながら、男性的なコンチェルトにやはりこうであって欲しいと思わずにはいられなかった。一方で、第2楽章は切ないくらいにロマンティックで、各楽章の特長をよく出していた。

 

29 ホ・ジェウォンさん(韓国/22才)
ホ・ジェウォンさん 実はこのラフマニノフのピアノ・コンチェルト第2番を、公けの場でオーケストラとやるのは初めてなんです。もともとコンクール前に準備出来ていなくて、まさかファイナルまで来ようとは思ってもみませんでした。無事に終わりが近づいた時、弾きながら自分でも涙が出そうになりました。楽譜を覚えているかどうか、心配なほどだったのです。自信がないままコンクールに臨むことになりました。他の曲も考えましたが、新しいレパトワを開拓するつもりでこの曲を選びました。3次予選の後すぐのリハーサルでは緊張していたのですが、指揮者の方が「君なら出来る」と励ましてくれました。オーケストラの音がすでに完成されていて、私は合わせるだけ。指揮者が最初からリードしてくれ、オーケストラが素晴らしく、楽な気持ちで弾くことが出来ました。

 

 2人目の演奏者は、エルマール・ガサノフさん(ロシア/26歳)。ラフマニノフの『パガニーニの主題による狂詩曲』を選んだ。他に同じプログラムのいない、ただ一人のコンテスタントであり、演奏時間も20分強と、他の作品に比べて約半分くらいの長さしかない。しかしガサノフさんは、この短い時間で聴衆に強烈なインパクトを与えた。リズミカルで緊張感を持たせる表現が抜群の彼にはぴったりのプログラムだったようだ。よく弾きこまれていて、オーケストラの音を聴いている。過度にロマンティックでも押し付けがましくもない表現が心地よく、遊び心のある部分もあり、またちょっと狂気じみたアクセントや哀愁も含んで、いろいろな顔を見せてくれる20分間だった。
 ブラボーの大拍手とともに、3回ステージに呼び戻された。

 ついに、本選最後の演奏だ。キム・ヒョンジョンさん(韓国/18歳)が、本選3回目の『皇帝』を演奏した。少々緊張しているのか、それでも持ち前ののびのびとした音は健在だ。美しくロマンティックながら、控えめで堅実な面のある、ほど良く品のあるベートーヴェン。後半に行くに従いよりのびのびとしてきた印象だ。彼女自身は演奏前に「自分は女性だけど皇帝に見えるように演奏したい」と語っていたが、腕をしなやかに動かしながら軽やかに奏されるエンペラーからは、彼女は、芯の強さとはかなさを兼ね備えた、若くして王位を与えられた女帝のように見えた。

 これで、若者たちが全力を尽くした15日間、コンクールの全演奏が終了した。

 

20 エルマール・ガサノフさん(ロシア/26歳)
エルマール・ガサノフさん 「演奏中は、とくに何かイメージを持っていたというよりは、感情をすべて表現できるようにと思って演奏しているだけです。2次、3次よりはよく弾けたと思います。もっとできたとは思うことはもちろんありますが。尊敬しているピアニストはギレリスです。彼はただのピアニストではなく、とてもシリアスな音楽家なのです。今日は演奏前には肉ではなく、スパゲティを食べましたよ!」

 

36 キム・ヒョンジョンさん(韓国/18歳)
キム・ヒョンジョンさん 「皇帝は、男性ならばもっとたくましく演奏できたかもしれないとも思いますし、私は女性なので限度がありましたが、力強く演奏できたのではないかと思います。オーケストラとこの曲を演奏するのは始めてでしたが、大友先生もとても良くしてくださり、リハーサルでもはげましてくださって感謝しています。3週間日本にいたので、早く韓国に帰って、飼っている犬に会いたいし、友達にも会いたいです。でもなにより、キムチが食べたいです(笑)」

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