• 第7回コンクール概要
  • トピックス
  • スタッフレポート

本選初日

2009年11月22日|トピックス

 本選が始まった。6人の出場者にとって、これが最後の演奏だ。悔いの残らないよう、思い切り楽しんで演奏してもらいたいが、それは本人たちが一番よくわかっているはず。私たちはそっと見守るだけだ。初日は3人のファイナリストの演奏を堪能した。

 最初の演奏は、フランソワ・デュモンさん(フランス/24才)。第2次予選以降ずっとトップバッターという大役を担ってきたが、それも今日で最後。演奏したのは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲 第5番「皇帝」、ファイナリスト3人がこの曲を弾くことになっている。演奏を聴いていると、楽譜に忠実であろうとすることが感じられ、古典派の音楽をよく理解で来ている演奏に感じられた。室内楽なので、本来ならもう少し小さなオーケストラでもいいかもしれないが、デュモンさんはそこもちゃんと計算に入れて演奏しているように見えた。音の一粒一粒がよく揃っていて、品のいい「皇帝」に仕上がっていた。ベートーヴェンに寄り添った、いい演奏だった。

 2番目の演奏は、アン・スジョンさん(韓国/22才)だ。晴れの本選のために用意したオレンジのドレスがとても似合っていた。演奏したのは、ラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番、この曲も演奏するファイナリストが二人いる。スジョンさんはその一人。ピアノから始まるが、出だしから「この鐘は私が鳴らす」という彼女の決意のようなものが表れていて、演奏に期待が持てた。案の定、ややもすればオーケストラにかき消されがちなピアノの音がちゃんと存在感を持って聴こえてくる。劇的な第1楽章が終わって、2楽章になるとロマン派音楽を得意とする彼女の真骨頂、うっとりと観客席が聞き惚れた。

 

16 フランソワ・デュモンさん(フランス/24才)
フランソワ・デュモンさん  ベートーヴェンの作品は多く弾いてきましたが、5番に関して言えば、ある程度オーケストラより大きな音をピアノで出すのは不可能なので、いかに豊かに弾くか、音のあたたかさを何とか表現しようとしました。そして、作曲家が何を意図していたかを考えながら演奏しました。オーケストラには満足しましたし、マエストロも素晴らしかった。私の演奏をよく聴いてくれていると思いました。
コンクールにはたくさんのレパトワが必要、同じ作品ばかり弾いているなら、アーティストとは言えないと思います。すべての音楽を愛さなくてはいけない。

04 アン・スジョンさん(韓国/22才)
アン・スジョンさん  リハーサルは2回したのですが、1回目よりも2回目、そして本番が一番よく出来たと思います。本番に備えて、リハーサルでは自分の演奏が大ホールでどのように響くか、確認しましたし、演奏ではオーケストラの音をよく聴くようにして演奏したつもりです。浜松コンクールは世界でも権威あるコンクールの一つ、私にとっても意味のあるコンクールです。

 


 初日最後の演奏者となったのは、チョ・ソンジンさん(韓国/15歳)。第3次結果発表後の記者会見で中村審査委員長もおっしゃっていたとおり、彼が優勝すれば、2000年に16歳で優勝したガヴリリュクを越えて、最年少の優勝者となる。会場の期待も大きいのか、心なしか拍手が大きい。
 この日2回目となるベートーヴェンの『皇帝』だ。冒頭から、よく伸びる音でピアノが鳴っている。音にきらめきがあるので、オーケストラにかき消されることなく、ホールの端までしっかり音が響いてくる。抜群の安定感と歌心で、どうしても月並みな言い方になってしまうが、15歳とは思えない。聴かせどころでしっかりと聴かせることのできる技術と表現力に圧倒された。モダンでロマンティックなベートーヴェンであった。

 終演後にはすぐに、大ホールのロビーで一般公開の記者会見がおこなわれた。臨席したのは、中村紘子審査委員長と、今回浜松コンクールの審査委員として初めて名を連ねた、シュー・ツォン氏、ドミニク・メルレ氏、キム・デジン氏、若林顕氏。シュー・ツォン氏は、第1回で3位に入賞したときに比べての今回審査委員席に座った感想を聞かれ、「より心地よく、緊張も少ない。私のキャリアはこのコンクールから始まったので、浜松は私にとって特別な街」と語った。また、ドミニク・メルレ氏は、「コンテスタントはとてもレベルが高い。私たちはステージから遠いところにいるにもかかわらず、とても近くに心を感じる。マスタークラスではそれをより感じる機会があり、大変豊かなひと時を過ごしている」と、昨日、一昨日とおこなったマスタークラスの感想も交えながらコンクールの感想についてコメントした。キム・デジン氏は、韓流ドラマの流行に続きピアノの韓流がきたのではとの中村氏のコメントに応えて、「このコンクールでは韓国に限らず若いアジアのピアニストがすばらしい活躍をしている。良いコンテスタントであるだけではなく、良いピアニストにもなってくれることを願っている」と、コンクールの結果から先への期待を語った。また、初めて国際コンクールの審査委員を務めたという若林顕氏は、「各国からのいろいろなアプローチをいろいろな角度から見ることができて非常に有意義。すばらしい先生方とともに審査をすることができて光栄」と語った。


10 チョ・ソンジンさん(韓国/15歳)
チョ・ソンジンさん  今ようやく少しリラックスしてきました。ロシアものなどよりもドイツものが好きということもあり、今回は『皇帝』を選びました。これまでにオーケストラとの共演経験は10回ほどあって、『皇帝』を演奏するのは3回目です。堂々とした皇帝のイメージを頭に描きながら演奏しました。これまでに聴いた『皇帝』で僕の理想に近い演奏は、バレンボイムのピアノによるものです。彼のベートーヴェンの曲の解釈がどれも好きなのですが、とくに、その硬くない解釈が好きです。

  • 一覧へ戻る

主催

  • 浜松市
  • 浜松市文化振興財団

特別協賛

  • ANA
  • 遠鉄グループ
  • JR東海
  • KAWAI
  • Roland Foudation
  • 三立製菓株式会社
  • YAMAHA
〒430-7790 静岡県浜松市中区板屋町111-1 公益財団法人浜松市文化振興財団内  TEL:053-451-1148  FAX:053-451-1123
MAIL : info@hipic.jp URL : http://www.hipic.jp
Copyright (c) Hamamatsu International Piano Competition.
All rights reserved.
Powerd By Ultraworks