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第3次予選初日

2009年11月18日|トピックス

 第2次予選通過者の発表から1日置いて、17日から第3次予選が始まった。12名が3次予選に進んだわけだが、6名ずつ演奏し、2日間で12名の演奏が終了し、その結果18日に6名の決勝進出者が決まるという流れだ。

 演奏はリサイタル形式の演奏で1時間。1曲終わる毎に観客の拍手に応えて、ステージでお礼をすることになっている。そして、すべての演奏が終わったら、いったん舞台袖に戻り、もう一度観客のアンコールに応えてステージに立つという流れがあって、そのような形式的なところからもリサイタルというイメージを出場者が強く持てるように配慮されている。そうであれば、インタビューするこちらも演奏者にご挨拶に行く知り合いの者くらいのスタンスで行くのもいいかもしれないと思った。

 前半3人のうち、最初に演奏したのは、フランソワ・デュモンさん。2次予選以降、最初の演奏という位置が定着した格好だ。2次予選を通過した時から、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調「テンペスト」と、ムソルグスキーの展覧会の絵に賭ける意気込みは並々ならぬものがあった。その気持ちが空回りせず、うまく演奏に表れていたように思う。「テンペスト」の第3楽章の美しさが印象的。

 次に演奏したのは、アレッサンドロ・タヴェルナさん。浜松コンクールの挑戦も今回が2回目。客席にはタヴェルナさんのファンらしき人も多い。ベートーヴェンのエロイカ変奏曲 変ホ長調、メシアンの「幼子イエスにそそぐ20のまなざし」より喜びの精霊のまなざし、そしてプロコフィエフのピアノ・ソナタ 第8番 変ロ長調と、最初は異色の3曲と思ったが、聴いていくうちに違和感なくすんなりと3つの音楽が流れた。聴き入っている時に、演奏中止を促すベルの音。無念のリタイアとなったが、会場からは割れんばかりの拍手、タヴェルナさんの演奏を称えた。

 3番目の演奏は、野木成也さんだ。シチェドリンの2つのポリフォニックな小品、武満徹の雨の木 素描Ⅱ -オリヴィエ・メシアンの追憶-と、普段あまり耳にしない曲を楽しませてくれた。最後はデュモンさんも弾いた、ムソルグスキーの展覧会の絵。弾き始めた時から、デュモンさんとは違った世界が広がった、まさしく野木成也さんの「展覧会の絵」だ。私たちはたった数時間のうちに、2つの美術館めぐりをしたような気分になった。絵画もそうだが、ここまでレベルが高くなるとどちらが優れているというのではない、好みの問題ではなかろうか。

 

16 フランソワ・デュモンさん(フランス/24)
フランソワ・デュモンさん -ドビュッシーの前奏曲を挟んで、二つの大曲を強烈に印象づけたと思います。
 そうだったらいいんですが…。
-テンペストの第3楽章、すてきでした。
ありがとうございます。
-展覧会の絵は大変個性的で、デュモンさんに案内されて、美術館めぐりを楽しんだ気分です。
 ほんとに?それは嬉しいな。
-隣の席のご婦人が熱烈に拍手をしてましたよ。
 うれしいです。
-私も拍手いっぱいしましたよ。
 (笑)


81 アレッサンドロ・タヴェルナさん(イタリア/26才)
アレッサンドロ・タヴェルナさん -後もう少しだったのに、ベルが鳴っちゃいましたね。
(残念そうに)最後まで弾きたかったです。
-でも、大丈夫。ベルが鳴ったから、演奏が駄目ということではありませんから!それでも決勝に行った人もいますから、自信を持ってください。
 ありがとう。
-タヴェルナさんは、演奏の合間にいつもていねいに汗を拭いている姿が印象的です。
 (笑)


62 野木成也さん(日本/20才)
野木成也さん -野木さんも展覧会の絵を演奏されました。今日は2つの美術館めぐりをした気分になっています。それぞれ個性があふれていて、全く違う美術館でした(笑)。
今日は、リサイタルだと思って、審査とか気にしないで演奏したんです。
-その成果が出ましたね。すごい拍手だったではありませんか。アンコールも2度呼ばれましたしね。ブラボーの声も聞こえました!
 (笑)
〔3人とも笑顔のうちにインタビューが終了。〕
 

 3次予選初日の前半が終了し、プレスルームで原稿を書いていると、周囲の練習室から漏れてくる音がコンチェルトの曲になっている。演奏を終えたコンテスタントが休む間もなく次の戦いの準備に取りかかっているということを実感する(ちなみに曲目はベートーヴェンの『皇帝』だったので、おそらくデュモンさんのピアノだったのだろう)。

 さて、この日の紅一点の奏者となったアン・スジョンさん(韓国/22歳)は、一日黒いスーツ姿がステージにあがり続ける中で、薄いパープルのさらさらとしたドレスで登場。本当によく似合っている。
 ラフマニノフの前奏曲を6曲、そしてリストのソナタを演奏。今日の彼女の演奏は、悲壮感や重さというより、ひたすらにキラキラと美しいという印象だった。技術の高さに裏打ちされたスピードの緩急のつけかたのうまさが際立っていた。


 1時間の休憩をあけて、続いては、ジェームス・ジェウォン・ムーンさん(オーストラリア/23歳)。シューマンのアラベスク作品18、バッハのトッカータBVW911、ハイドンのピアノソナタニ長調と、ラフマニノフの前奏曲作品23‐4、ピアノソナタ第2番と、さまざまな時代から多彩な作品を演奏。優しく、抑揚がきれいで感情表現も豊かな、聴いていて笑顔になるような演奏が特徴だ。ラフマニノフの前奏曲は直前のアンさんと同じ作品だっただけに、表現の違いがはっきり。ロマンティックな世界を創り出した。

 

 初日の最後となったのはチョ・ソンジンさん(韓国/15歳)。夜の演奏順より朝のほうがいい……と言っていた彼だが、一日の最後の奏者となった。モーツァルトのピアノソナタ第12番、ショパンのスケルツォ第2番と第4番、ラヴェルの『水の戯れ』、リストの『巡礼の年第2年イタリア』より『ダンテを読んで』を演奏。
 身体をうまく使い、力が無理なく豊かな音量を作り出しているといった、のびのびとした音。ラヴェルの『水の戯れ』はとくに印象的で、まるでオルゴールのような音色とハープのような音で、色が見えるようなさわやかな演奏だった。ブラボーと上がる声に深々とお辞儀で応える。この日唯一3度カーテンコールに呼び戻された。


4 アン・スジョンさん(韓国/22歳)
アン・スジョンさん ─今日はいかがでした?
次のステージにはオレンジのドレスを用意しているんですけど、今日はうまくいかなかったから……。
[今日は演奏に満足がいかない様子で言葉少ない彼女だったが、美しいドレスをおさめたいという写真撮影には笑顔で応じてくれた]

 

55 ジェームス・ジェウォン・ムーンさん(オーストラリア/23歳)
ジェームス・ジェウォン・ムーンさん ─今日のステージはいかがでした?
ちょっとがっかりしています。集中できなかったので。緊張はしなかったんですが、集中度が低かった。4時か5時くらいまで大丈夫だったんだけど、6時ごろになったら急に眠くなって、頭も痛くなってきて、ちょっと残念な一日でした。
─そうですか……でもステージでは笑顔でしたね。
はい、ステージではハッピーに見えるようにしたいと思っているので。
─ラフマニノフの前奏曲はアンさんと同じ曲目でしたが、表現がまったく違いました! 演奏中は何を考えていました?
今日はなんにも考えてませんでしたね。ほんとに、今日はなにも考えられませんでした。
─じゃあ次はメガネで演奏するかわからない?
うん、わからないよ(笑)。
─弾きながら直してましたもんね。
そう、メガネがずり落ちてくるのを感じたから(笑)。

 

10 チョ・ソンジンさん(韓国/15歳)
チョ・ソンジンさん ─今のご気分は?
ちょっと疲れてます。でも今はとても気分がいいですね。
─聴衆のとても良い反応は感じましたか? 3回呼び戻された人は今日初めてですよ。
みなさんにとても感謝していますし、本当にハッピーです。
─今日のプログラムはどのように選んだのですか?
音楽的なプログラムにしたくて。リストの『ダンテ』をメインにして、ショパンのスケルツォは好きな作品なので演奏しました。
─体の使い方がとてもうまいですね。もしかしてスポーツを何かやっているとか(笑?
なんにもやりません(笑)。
─では、ピアノ以外で何か趣味は?
映画を観ることです。とくに、日本のアニメ映画が好きですよ。『ハウルの動く城』はお気に入りです!

 

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