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第2次予選2日目

2009年11月15日|トピックス

 第2次予選、中日。土曜日というだけあって、会場には多くの聴衆が詰めかけている。この日は全員が日本人作曲家の作品として『白昼夢』を選択しており、その対比が興味深い見所となった。

 最初は、2次に進出したコンテスタントで最年少となったチョ・ソンジンさん(韓国/15歳)。『白昼夢』は、緊張を控えたやわらかな表現。続くショパンのエチュード作品10-1、リストの超絶技巧練習曲第10番で高い技術力を発揮した。シューマンの幻想小曲集は、それぞれに色の違う作品群を弾きわけ、前に出ては消えてゆく抑揚が美しい。

 続く、クシシュトフ・トシャコフスキさん(ポーランド/22歳)は、ショパンのエチュード作品25-10とバラード4番を軽やかで控えめな表現で演奏。とくにバラード4番は、ヒステリックな気配は皆無のやわらかい音楽だった。『白昼夢』は、一転、張り詰めた音が鋭い色彩を挿しこむ演奏。ラストのメフィスト・ワルツは独特のリズム感とペダリングが印象的だった。
 いきなり、ふたりの『白昼夢』の表現があまりに異なり、興味深い。

 さて、次はジュリアードで学ぶ18歳、イエ・シーチンさん(中国/18歳)。『白昼夢』はしっかりとした音で紡ぎ、続くリストの超絶技巧練習曲第12番でも同様の音色を感じる。ショパンの前奏曲作品28-13~24は速めのテンポで流れるような演奏だ。

 お昼の休憩を挟んだ後の午後になると、会場はほとんどいっぱいの状態に。週末ということで、浜松市内はもちろん各地からコンクールを楽しみに人々が足を運んでいることがよくわかる。

 ドミトリ・オニシチェンコさん(ウクライナ/26歳)は、『白昼夢』より始める。ショパンのノクターン第13番は、個性的で詩的で、まるで男性が詩の朗読をしているのを聴いているかのような、ずっしりとして男性的な表現がとても印象的だった。同じくショパンの『木枯らし』とマズルカ第13番も演奏されたが、どちらもフォルテの独特の音がとても魅力的だった。

 

10 チョ・ソンジンさん(韓国/15才)
チョ・ソンジンさん ─演奏を終えて今の気持ちは?
とてもいい気分です。ホールの環境もすばらしくて。
─朝一番でしたね。
夜よりも朝のほうがずっといいので、よかったですよ!
─『白昼夢』は何を表現することを考えていました?
眠りの中でない夢ということで、普通の世界ではなく、幻想的な世界を思い浮かべました。
─シューマンは素敵な演奏でしたね?
夜空など、いろいろな画を思い浮かべながら演奏しました。シューマンはちょっとクレイジーだったんですよね。でも、どれも美しい作品で、お気に入りです。
─ところで、毎日何時間練習しているんですか?
いつもは3、4時間ですね。コンクール中の今は6時間です。これ以上たくさん練習したら疲れちゃいますから。
─浜松滞在は楽しんでいますか?
日本食はほとんど食べましたよ。この前はうなぎを食べました。とっても美味しかった! 韓国でもとても人気の食材ですが、浜松で食べるほうがずっとおいしいです!

 


85 クシシュトフ・トシャコフスキさん(ポーランド/22才)
─演奏はいかがでしたか?
ステージに出る前、ちょっと緊張していました。実は少し前に小指を怪我して、まだ痛みがあったので。でも、アドレナリンが出ていたみたいでまったく痛みを感じませんでした(笑)。コンクールでは確かに審査はされていますが、聴いてくださっているみなさんのために演奏するというのが自分のスタンスですから、ステージを終えてとても嬉しいです。
─あなたの演奏をショパンコンクールで聴いたんですよ。お顔にとても見覚えがあって。
覚えていてくれたんですか! でも、顔(笑)?
─ショパンを毎ステージで取り入れていますね。
はい、最低1曲は入れることにしています。僕はポーランド人ですから。僕自身もショパンは大好きですし、日本のみなさんはショパンが好きだと聴いていますから、みなさんのためにも選んだんです。
─『白昼夢』を選ばれたのは?
とても主観的な世界を表現できそうで、面白いと思ったからです。異なる音と色のパレット、スケール、ダイナミックさを表現することができるものだと思いました。
─この曲の演奏中は何を思い浮かべていたんですか?
それはちょっと、秘密だね(笑)。どの作品を演奏するときも、実は自分の過去の人生に起きたさまざまなことや、これから起きてほしいさまざまなことを思い浮かべながら演奏しているんです。何かを概念化して、みなさんにそれが見えるように演奏している。なので、みなさんに何が見えるのか、そのイマジネーションにお任せしたいと思います。
─次のプログラムも興味深いですよね。
半分はポーランドの作曲家を演奏したいと思って、ショパン、シマノフスキ、ルストワフスキを、残りが展覧会の絵というプログラムです。
─ところで日本は初めてですか?
はい、とても楽しんでますよ。2日前、浜松の教会にも行きました。
─ポーランドのワジェンキ公園と同じショパン像は見ました?
もちろん、毎日下に眺めているよ! ポーランドと同じだね。ここに僕の場所があるみたいな気分で安心します。


92 イエ・シーチンさん(中国/18才)
イエ・シーチンさん ─ショパンのプレリュードがきれいでしたね。
当初は他のものを演奏しようとしていたんですけど、先生に勧められてこの夏にこちらを演奏することに変更しました。ショパンが大好きなので、何か入れたいと先生に相談したら、そうしなさいって。
─『白昼夢』の演奏はいかがでしたか?
すべてのことが楽譜に書かれていたので、私はそれに従って演奏するだけ。そうするうちに何かを感じ始める。そうすると自分の音楽になるのだと思います。なので、とても注意深く楽譜を読みました。本当にいろいろなことが書かれていたので。
─イルカのピアスがかわいいですね! 
はい、これがちょっとしたラッキーアイテムなんです。イルカが好きで。いつもステージでは何かこういうものを身に付けているんです。

 


63 ドミトリ・オニシチェンコさん(ウクライナ/26才)
ドミトリ・オニシチェンコさん ─ショパンがとても印象的でしたよ。
今回のプログラムはとても好きで、演奏機会のよくある作品を中心に選びました。マズルカはとくに僕の人生でずっとレパートリーとなってきた曲です。とにかく感情豊かに、人間的に演奏しようということは考えましたね。
─『白昼夢』を選んだのは?
この作品のほうが僕の性分に近いと思ったんです、少し詩的で。白昼夢というイメージを反映できるような音作りをできる限りするようにしました。

 

 第2次予選二日目の後半は、土曜日の午後だけあって、客席はほぼ満席状態だった。漏れ聞こえてくる会話から、2度目、3度目の来場者が多く、コンクールを最後まで見守ろうとしていただいている様子がうかがえた。

 5番目に演奏したシルヴァン・ネグルシュさん(ルーマニア/25才)は、シューベルトのピアノ・ソナタ 第14番 イ短調、白昼夢のほかに、ショパンの練習曲 ハ短調「革命」、スクリャービンの練習曲 嬰ニ短調「悲愴」を演奏したが、弾きこなしている感じの安定感があった。

 チャン・ソンさん(韓国/23才)は得意なショパンのエチュードを存分に聴かせるねらいか、親しみやすい6曲を用意し、白昼夢、スクリャービンの練習曲 嬰ニ短調「悲愴」とリストのスペイン狂詩曲で、スパイスを効かせた。ネグルシュさんに続いて、また一味違ったスクリャービンの「悲愴」を聴くことが出来た。

 加藤大樹さん(日本/19才)は、最後に演奏した死の舞踏を始め、それぞれに個性のある曲をうまくまとめ、全体で一つの世界が出来上がったような感さえある。音が若々しく活き活きとしており、加藤さんが演奏を楽しんでいるのが、聴いている私たちに伝わってくるようだった。

 ファティマット・マルダノワさん(ロシア/26才)は、最初に演奏した白昼夢に気迫がこもっていて、あの細い身体から力強くさえ感じる演奏がどうやって生まれるのか、集中力のなせる業かと、ふと思った。その集中は最後に演奏したブラームスのピアノ・ソナタ第2番嬰ヘ短調まで途切れることはなかったように思う。

 

61 シルヴァン・ネグルシュさん(ルーマニア/25才)
シルヴァン・ネグルシュさん -演奏を終えての感想はいかがですか?
 照明も素晴らしいいいホール、いい聴衆の中で、演奏出来て、まるでリサイタルを開いているような感じで弾けました。
-白昼夢はいかがでしたか?
いろいろな色があって、面白い。覚えるのは大変でしたが、練習を楽しむことが出来ました。
-ネグルシュさんがピアノを始めたきっかけは何だったのですか?
 ピアノを始めたのは7才の時でした。親が私の音楽性に気づいて、音楽教室に連れて行ったのが最初です。

 

7 チャン・ソンさん(韓国/23才)
チャン・ソンさん -ショパン、美しかったです。
 ありがとうございます。ショパンが好きで、その中でエチュードが好きです。練習曲といっても、フィンガーテクニックのための練習曲で終わらない音楽性、音を感じます。
-音について、心がけていることはありますか。
 音はいつも活き活きとした音が出せるよう、心がけています。多くのピアニストの人間性、環境などが違うわけですが、それらが味となってよい音、悪い音を作るのではないでしょうか。80才の教授がいらっしゃるのですが、教授の音はとても深いです。
<長い髪が印象的なチャンさんです。>

 

32 加藤大樹さん(日本/19才)
加藤大樹さん -2次予選の演奏を終えての感想はいかがですか?
 楽しんで演奏するというのが念頭にあって、それで楽しめたというのがよかったと思います。
―演奏曲目の組み立ては加藤さんがされたのですか?
 2位予選は自分が選んだそのままです。エチュードは限られた作曲家の中からではありますが、プログラムはまず弾きたい曲が頭にあって、それを中心に据えました。今回はそれがリストの死の舞踏です。
―白昼夢を中に持ってきましたね。
 1つのリサイタルとして考えた場合、流れがいいかどうかを考えます。多くの方が最初に白昼夢を弾いて、その次に自分の用意したものを弾くという流れでした。それでプログラムがきれいに流れるならいいのですが、僕の場合、プログラムの中に組み込みたいと思ったんです。

 

51 ファティマット・マルダノワさん(ロシア/26才)
ファティマット・マルダノワさん -演奏を終えた感想を聞かせてください。
 キリがないことではありますが、もう少し出来たはずと思ってしまいます。今日、私は審査員、コンクールを意識するのではなく、大事なのは聴きに来てくれる人たちのために弾くことだと思って弾きました。
-第2次予選の演奏曲目の組み立てはどのように考えたのですか?
 白昼夢は日本の音楽で、正直言って私には馴染みのないものです。慣れていないので、最初に集中して弾きました。その後に練習曲を持っていって、最後に一番大変なブラームスを持ってきました。
-現在モスクワ音楽院の大学院ですか?
 そうです、最後の年です。

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