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第2次予選初日

2009年11月14日|トピックス

 今日から第2次予選。昨夜の発表のどよめきが起こったホール・ロビーも落ち着きを取り戻し、1次予選通過者の演奏を聴き逃すまいと、朝10時半からのスタートにもかかわらず、たくさんの人が会場に足を運んだ。関心の高さの現われか、客席を見渡すと、ほぼ埋まっていることに驚く。

 最初に登場したのは、フランソワ・デュモンさん(フランス/24才)。昨夜結果を聞いて、その翌朝の演奏というハンデをものともせず、精力的な演奏を聞かせてくれた。委嘱作品の白昼夢を披露するトップバッターでもあるのだが、最初に弾いたのがその白昼夢。初めて耳にする聴衆も緊張している様子がうかがえた。

 2番目に演奏したのは、アレッサンドロ・タヴェルナさん(イタリア/26才)。今回2つ用意された委嘱作品の「ピアノのための無常の鐘」を弾く予定の出場者の中で、第1次予選を通過したのはタヴェルナさんただ一人。従って、この演奏を聴き逃すと聴くことが出来ないことを既に知っているのだろう、さらに客席が埋まった感がある。演奏するピアニストへのアドバイスとして、「手袋等の使用を厭うべきではない」とあるだけに、強烈な響きをも連想するが、果たして聴いてみるとその美しい響きに驚かされた。タヴェルナさんただ一人の演奏ながら、十分に表現されていたと思う。

 さすが2次予選に来た出場者だけのことはあるという演奏が続く中、3番目に今回3人1次を通過した日本人のひとり、野木成也さんが登場した。緊張して弾いていたのだろう、次のショパンの練習曲 ハ長調に移った時はピアノを弾く後ろ姿がリラックスして見えた。

 4番目に弾いたイワン・ルージンさん(ロシア/27才)は、1次においても持っている実力を見せつける素晴らしい演奏をしたが、今日の演奏でも4つの作品を上手くまとめ上げ、聴衆を魅了した。どうしたら、聴衆に喜んでもらえるか、計算づくでの演奏だったと思う。


16 フランソワ・デュモンさん(フランス/24才)
-昨晩結果が判って、今朝の演奏というのはどんな感じなんですか。
 コンクールで弾く全曲を事前に練習しておくので、そんなにあわてることはないのですが、2次に行くことが判っての練習ではないので、メンタルの面で判っている場合とは、ちょっと違うと思います。ですから、次に進むんだという強い気持ちで練習しなくてはいけないですね。
-3次予選は2次とはまた全く趣向が違って、面白そうですね。
そう思ってくれるとうれしいです、それが狙いですから。

 

81 アレッサンドロ・タヴェルナさん(イタリア/26才)
-権代作品の弾くのは、タヴェルナさんだけですね。
 この作品にはすごく興味があります。技術的な面が要求されますので、テクニカルパートが重要だと思います。(楽譜を示しながら)最初のところは、拍子が減っていくんですよ。fffffやffffといった記号も出てきますしね。最初の5つのフォルティシモが鐘の音「アタリ(衝撃音)」を喚起します。

 

62 野木成也さん(日本/20才)
-1次予選通過おめでとうございます。
 3番目に呼ばれたので、驚いています。
-白昼夢の演奏はいかがでしたか?
 ちょっと緊張しました、覚えているか不安だったので。
 (楽譜を示しながら)ここに曲の説明があるのですが、日本語の方がよりわかりやすく書かれていて、「前世の記憶と来世の予見をも含んだ様々なヴィジョンの音楽的表現」というところも日本語の方が頭に入りやすかった。とても美しくて、好きですね。
-ショパンを弾く時、緊張が溶けてリラックスしているように見えましたが...。
 ショパンの曲そのものがロマンティックでリラックス出来るんです。
-現在はパリにお住まいですね?
 はい、日本で生まれて、小さい時中国に行き、今は家族とパリに住んでいます。

 

69 イワン・ルージンさん(ロシア/27才)
-演奏はいかがでした? 
 自分の演奏には満足しています。
-前の出場者たちは最初に委嘱作品を演奏しましたが、ルージンさんは間に挟みましたね。
 2次の演奏曲目では、ブラームスの6つの小品とラフマニノフの絵画的練習曲 ロ短調という、2つのメインの間に白昼夢を入れました。そうすることで、二つをつなげるという効果があったと思います。
-白昼夢はいかがでした?
 特別の作品ですね、現代音楽は弾きますけれど、ここまで新しいのは初めてです(笑)。

 


 アントワーニュ・デュ・グロレさん(フランス/25歳)は、2次予選に残った唯一のカワイピアノ使用者。ショパンの『木枯らし』、リストのパガニーニによる大練習曲は、どちらも力強く、男性的な演奏。日本人作曲家による新作は『白昼夢』を選択し、ペダルを使って音を混ぜながら色彩感のある表現。最後のシューマンの交響的練習曲は、リズミカルで軽やかな抑揚、ほどよいロマンティックさとともに弾き進め、後半にかけてドラマティックに伸びてゆく展開がよく表現されていた。

 アン・スジョンさん(韓国/22歳)は、よく似合う深緑のドレスで登場。『白昼夢』は静寂を聴かせながらピンとした音を随所に響かせる演奏。統制がとれていながらのびのびとしたシューマンの『ユモレスク』のあとに、すばらしいテクニックを発揮してのラフマニノフの絵画的練習曲作品33-6でスパイスを加える。ラストには、高音の美しさを充分に生かした『ラ・カンパネラ』を選曲して、聴衆をひきこんだ。

 アン・ジョンドさん(韓国/23歳)は、黒のドレスシャツで登場。『白昼夢』は、響きを長めに聴きながらの解釈で、高音にキレもあり、表情が豊か。続いて演奏したラヴェルの『夜のガスパール』は、とにかく弱音にものすごく注意を払っている様子が見てとれ、総じてやんわりとしたイメージのきれいな演奏だった。ショパンのエチュード『黒鍵』とスクリャービンのエチュード作品42-5は、一変パワフルな音を並べてまた違ったイメージを演出した。

 続いて、ハン・サンイルさん(韓国/25歳)。全体的にとにかく韓国勢が多いのだが、ここは3人連続しての演奏となった。そしてハンさんは詰襟のスタイルで登場と、韓国勢はみな衣装にもこだわりや個性があることが多いようだ。
 演奏は、ショパンのエチュード作品10-1よりスタート。少々ふわふわとした印象。続いてリストの超絶技巧練習曲第8番は、するどく、潔い音が印象的。ここまで、技術の多彩さを見せるプログラミングのようだ。最後のシューベルトの幻想曲『さすらい人』は、高音を丁寧に鳴らしながら、穏やかな表現で、音もなめらか。

 初日の最後に演奏となったのは、ジェームス・ジェウォン・ムーンさん(オーストラリア/23歳)。『白昼夢』は、いろいろな音色を使い分けながらの演奏。シューベルトの即興曲作品90-3は、音の一つ一つを大事に想いを込めて弾いているよう。シューベルトのピアノソナタ第4番は、自身のキャラクターを存分に生かした選曲で、頭を揺らしながら楽しそうに演奏する姿が印象的だ。ショパンのエチュード『革命』は、のびのびと。続く『幻想ポロネーズ』も、音の表情が多彩だ。しかし、この曲の途中でベルが鳴らされ、そして中村紘子審査委員長から残念そうに、時間切れの言葉が告げられる。なんとまだあと1曲、ラフマニノフの絵画的練習曲がまるまる残っている状態でのタイムオーバーだった。


アントワーニュ・デュ・グロレさん(フランス/25歳)
アントワーニュ・デュ・グロレさん ─2年前にロン・ティボーコンクールのステージで演奏を聴きましたが、あの時とだいぶ印象が違いましたよ。
そうですか? 2年でひょっとすると何かが変わったのかもしれません。この2年はコンクールを受けずにコンサート活動だけをしていました。正直言うと、今日はあんまり良いできではありませんでした。まったく満足していません…。でも人生いろいろありますから。昨日よく眠れなかったからかもしれません。でもここで演奏できたこと自体はとても嬉しかったです。
─『白昼夢』の演奏で一番気にかけたことは?
音楽の中にたくさんの色がある。そんなビジョンを表現することを心がけました。
─シューマンはどんなイメージで演奏されていたのですか?
とても情熱的で、シューマンの中でもっともパワフルな作品だと思っています。他の作品ほど狂気じみていなくて(笑)、構築されている。そしてより長い旅をする感じでしたね。
─ピアノはいかがですか?
信じられないくらいすばらしいです。
─2次ではカワイのピアノを選んでいるのはあなただけなんですよ。
ほんとですか!? ピアノ選びのとき、時間が短くてたくさん試し弾きをできなかったのですが、このピアノの音がとても好きになったので、決めたんです。

 

4 アン・スジョンさん(韓国/22歳)
─今のご気分は?
日本人作曲家作品のことを心配していたので、無事に終わってうれしいです。他の皆さんもナーバスだったんじゃないでしょうか。でも演奏はとても楽しみました。
─『白昼夢』を選ばれたのは?
とても美しくい作品だからです。アジア人の感覚でよりよく演奏できると思ったので選びました。
─昨日が結果で今日演奏というのは大変でした?
はい、そうですね。審査員の先生たちにとっても大変だったんじゃないかと思います。
─それにしても、ドレスが本当によく似合ってますね。
ありがとうございます! 韓国で、オーダーメイドで作ったドレスなんですよ!

 

3 アン・ジョンドさん(韓国/23歳)
─演奏はどうでしたか?
まだわかりません、今演奏が終わったばっかりなので。まだナーバスで、脳みそが完全に止まってます(笑)。オーストリアから飛行機で移動してきたからだと思いますが、なんだか普通のコンクールのときよりもとくに疲れていて。まだ時差ぼけの影響があるみたい。
─昨日が結果ですぐに演奏だったせいもある?
いえ……単に僕の問題だと思います(笑)。
─『白昼夢』を選びましたね。
はい、幻想的な性格を、印象的に表現できるのではないかと思って選びました。
─演奏を聴いて、ピアニッシモの音にとても気を遣われているように感じました。
とくにラヴェルの作品ではそうかもしれませんね。ピアニッシモやピアニッシッシモが重要なところでたくさん出てきますから、この音を、より霞がかったように、幻想的に出すように注意しました。
─今モーツァルテウムで勉強しているんですよね?
はい、もう7年になります。とても居心地の良い街で、モーツァルトの生誕地でもあります。僕はモーツァルトがとても好きなのでこの学校で勉強して、良い演奏ができるようになりたいですね。
─さて、あなたのステージのスタイルは個性的ですね!
ジャケットを着ようと思ったんですけど、エチュードや、『白昼夢』も大変だし、ラヴェルでは手をクロスするところも出てくるので、動きやすいようにジャケットはやめました。
─サラサラヘアーにこのフリルが印象的ですよ。
ありがとうございます(笑)。髪は今ちょっと切る時間がないから伸びているだけですけどね。


25 ハン・サンイルさん(韓国/25歳)
ハン・サンイルさん ─今日の演奏はどうです?
自分ではわかりませんが、1次のほうがよく弾けたと思ってます。なぜか、うまく演奏できませんでした、練習室であんまり充分に練習できなかったのからかも。
─このプログラムはどのように組んだのですか?
プログラム自体はとても良く組めていたと思ってます。ロマン派の作品、ドビュッシー、日本人作品と、小品でそれぞれの違いが認識されて、最後にシューベルトのさすらい人がくるという。先生と相談して決めました。
─今は韓国で勉強されているんですね?
はい。でも以前、2年間ドイツで勉強していたことがあります。
─『白昼夢』を選んだのは?
シンプルな曲ですし、白昼夢というテーマが良いなと思ったからです。演奏をしながらも眠っているような感覚かなと……。

 

55 ジェームス・ジェウォン・ムーンさん(オーストラリア/23歳)
─演奏を終えて今のお気持ちは?
こんなに長いプログラムだったとは思わなくて。最後の作品まで弾きたかったです。計算してちょうど40分になるはずだったんですが……。審査に影響しないといいです。
─時間のことを除いてはどうですか?
とてもハッピーです。これまでの人生の中の本番で一番緊張しなかった! 100パーセントまったく緊張しなかったんですよ! コンクールに出ているという実感がなくて、なんだか夢みたいでしたよ。あ、デイドリーム(『白昼夢』)だったのかも(笑)。
─『白昼夢』を選ばれたのは?
両方見て、こちらが弾きたいと直感で思ったんです。
─今日も楽しそうに演奏されてましたね。とくにシューベルトのソナタは。
もしかしたら、めがねをかけてステージに出たのがよかったのかも。いつも練習のときはめがねなんですが、本番では汗ですべるので外していたんです。でも今日は、なんとなくめがねで出ようと思ったんですよね。とっても心地よかったです。
─でも、けっこう演奏中めがねを直してましたよね。
そう、落ちてきちゃってね(笑)。今日はちゃんと(先日ロビーの売店で本番後に購入した)この前のハンカチを持ってきました。もしかしたら、めがねとこれがラッキーアイテムなのかも。どこにでも持っていくことにしようかな!

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