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第1次予選4日目

2009年11月12日|トピックス

 ようやく折り返し点を過ぎ、残すところあと2日となった第1次予選。これまでの浜コンであれば審査員や関係者にはそろそろ疲れが出てくるころだが、今回は午後開始のスケジュールのため、調律師さんたち、ステージマネージャーさん、事務局のスタッフさん、そして休憩中にふらりとロビーに現われた副審査委員長のパレチニ先生……誰もが口をそろえて、だいぶ楽だと言う。しかし、明日、1次最終日は午前中からのスタートだ。
 あいにくの雨模様の中、第4日目はスタートした。

 この日のトップは、クシシュトフ・トシャコフスキさん(ポーランド/22歳)。登場した顔立ちを見て、2005年にショパンコンクールの舞台で演奏を聴いたことを思い出した。演奏よりも、名前よりも、まるで70年代の映画俳優のようなその顔立ちがもっとも記憶に残っていた……。
 さて、ショパン音楽大学で学ぶ彼の演奏だが、ハイドンのソナタは、まるでスキーでコブを乗り越えているようにリズミカルに体を揺らしながら音をコントロールする堅実な演奏。そして最後はショパンのノクターン第3番。肘を高めに置いて音の表情付けをする、押し付けがましくないロマンティックさ。ラストの音の響きの最後の最後まで大切にして演奏を終える姿にとても好感が持てる。

 続いて、高木竜馬さん(日本/16歳)。強く太い音のバッハ、続いてベートーヴェンでは、しっかり音をつないで、丁寧に弾きすすめる。最後は、まろやかな音で紡ぐ『英雄ポロネーズ』。リズミカルな部分に個性が光る演奏だった。

 休憩をはさんで、2ブロック目に登場したのは、マルガリータ・ムジィチェンコさん(ロシア/24歳)。黒くきらきらしたシックなドレスで登場した彼女は、バッハ、ベートーヴェンのソナタ32番、チャイコフスキー=プレトニョフの『くるみ割り人形』より『アンダンテ・マエストーソ』を、すべてとてもなめらかなタッチで演奏した。

 続いて、イエ・シーチンさん(中国/18歳)。軽快でロマンティックなバッハではじめる。ロマン派の作品にはリストのハンガリー狂詩曲第6番を演奏。潔くさっぱりとしていて、音も美しい。高い技術力を充分に発揮する演奏だった。

 ドミトリ・オニシチェンコさん(ウクライナ/26歳)は、小柄なイエさんのあとに出てきたこともあって、その体格の良さが際立つ! 聞くところによると、身長197センチだそうだ。上体をどっしりと構えて軽々と弾いているようにみえる。バッハはさらさらと、モーツァルトのピアノソナタ第8番、ブラームスの『パガニーニの主題による変奏曲』は軽快に、曲間を開けずにすらすらと3曲演奏した。

 アリヤ・アクベルゲノワさん(ウクライナ/26歳)は、赤いドレスに黒いつるつるとした生地のカーディガンを羽織って登場。しばらく静かに息を整えてから、しっかりとした音でバッハを演奏。弾き姿は淡々としているが、音は軽快で耳にとても心地よい。リストの『リゴレット』も、音がくっきりと前に出ていて、指のまわりが充分でないところも心地よい音がカバーしている印象。

 シルヴァン・ネグルシュさん(ルーマニア/25歳)。「ごつい!」という感じの、かっこいいベートーヴェンのソナタ第32番。続くショパンのエチュード25-10も、冒頭にはそんな頑丈な音を並べ、中盤のゆるやかなところでは見事にロマンティックなギャップを創り出し、美しくまとめた。

 

79 高木竜馬さん(日本/16歳)
高木竜馬さん ─どうでしたか、今日の演奏は。
まず、浜松コンクールというものが世界中の方々が目標にするほどの大規模なコンクールで、それがこの日本の中でおこなわれるということをとても嬉しく思っています。そして、僕がそのコンクールに出場することができて、本当に光栄だと思っています。今日演奏した曲は3つとも、バッハとベートーヴェンという、古典派、そして時代の作品の中でも解釈するのが非常に難しい曲ではあったのですが、今回は1次のためにしっかり読み込みをすることができたので、とても勉強になりました。
─ロマン派の選曲『英雄ポロネーズ』でしたね?
これまでにもコンサートで弾かせていただくことがあったので。バッハのイ短調が厳しい調性をもっていて、それに対してベートーヴェンハ長調は明るく活発で輝きがある曲です。『英雄ポロネーズ』はちょうどそのふたつを織り交ぜたような、行っては戻り、明るくなっては暗くなるという作品のため、それをどう織り交ぜて表現するかに焦点を当てて演奏しました。
注目されてると思いますが、期待を背負っている気分は?
─2次以降の曲目にはロシアものが多いですよね。
はい、とくに3次はそうなっています。ドイツものには取り組みながらも、逆に手が出しにくい、手が届かない存在で。僕にとってロシアものは、先生がロシア人なので小さい頃から慣れ親しんできたものだと言えますね。

[ホロヴィッツのしていたもののレプリカだという音符柄のかわいらしい蝶タイをつけていた高木さん。「僕が演奏するときっていつも雨なんです…」と言いながら、また引き続き練習をするといって雨の降るホールの外へ帰って行きました。]

63 ドミトリ・オニシチェンコさん(ウクライナ/26歳)
ドミトリ・オニシチェンコさん ─演奏されて感想は?
このコンクールはとても、僕の人生にとっても、音楽界にとってもとても重要なコンクールなので、参加できてとても嬉しく思っています。演奏については、満足している気持ちのほうが大きいですね。OKです。
─浜コンは初めてではないですよね?
2回目です、前回は6年前に参加しました。この6年、そのときに作った日本の友人たちと連絡をとっていましたし、横浜でのコンサートのために日本に来たこともありました。
─6年がたって浜松に戻ってきて、どう感じますか? ご自身も変わったと思いますが。
はい、僕自身、個人的にも、音楽家としても、この6年間で変わりました。自分が変化してなじみのある場所に舞い戻るというのは、とても興味深いですし、この素敵な街には愛着を感じていますね。


61 シルヴァン・ネグルシュさん(ルーマニア/25歳)
─演奏のご感想は?
そうですね、よかったです。ホールはすばらしいし、ピアノもすばらしい。変なストレスの感覚もなく、コンクールではなくまるでコンサートで弾いているようでした。
─浜コン参加のきっかけは?
とても有名なコンクールですし、どんなピアニストも1度は受けてみたいコンクールだと思っていると思います。
─ロマン派作品にショパンのエチュードを選んだのは?
これはとてもすばらしい作品です。冒頭の速いパートと、中盤の美しくゆったりしたところがあるで、20分という短い中で技術も感情表現も両方示すことのできる、ロマン派の作品のなかではちょうど良い作品だと思ったからです。
─この後のプログラムにはルーマニアの作曲家エネスクの作品がはいってますよね。
はい、もしもセミファイナルにいけたら! これは本当に美しい作品です。この機会を使って、ルーマニアの音楽をルーマニア以外の国で演奏したいと思ったんです。
─日本は初めてですか?
はい、日本は本当にすばらしいですね! 1次予選でしっかり演奏できるようにとたとえ1日に12時間練習したって、あと半日は残っていますから(笑)、街を歩いて、浜松の町の雰囲気を見る時間はあります。すべて、見事に統制がとれていることに一番驚きました! すべてのことが円滑に進んでいるし、街もとてもきれい。交通機関も時間通りだし。昨日、海に行ったので特に思いましたね。昨日はとても良いリフレッシュができ、今日の演奏のためのインスピレーションにもなりました。天気も晴れていたからラッキーでした!


 後半第4ブロック目(18:30~19:50)は、日本人の出場者が3人続けて演奏するので、日本の出場者を盛り上げようと会社帰りの方など会場に足を運んでくれた。
 最初に登場したのは、仲田みずほさん(日本/23才)、きれいな赤のドレスがピアノの黒と対照的で華やか。ショパンのスケルツォ 第3番に思いが込められていた。
 矢島愛子さん(日本/27才)はシューベルト/リストの「水車屋と小川、水に寄せて歌う」を弾いて、矢島さんらしさを出していた。

 加藤大樹さん(日本/19才)は一つ一つの音が正確、ていねいで聴いていて心地よい。リストのハンガリー狂詩曲 第13番イ短調を聴きながら、3次予選の個性が際立つプログラムを聴いてみたくなった。

 最終ブロック(20:10~21:10)には、また別の楽しみがあった。ハン・ユンジュンさん(韓国/24才)、チャン・チョンナさん(中国/23才)、パヴェル・ミンガリョフさん(ウクライナ/21才)が揃ってハイドンのピアノ・ソナタ 変ホ長調 第1楽章を選曲、それぞれ個性あふれるソナタを披露した。

 

60 仲田みずほさん(日本/23才)
-このコンクールに出ようとしたのは?
 私は静岡県伊豆の生まれなんです。浜松コンクールは憧れで、出たいと思っていたのです。
-ピアノを始めたきっかけは何だったんですか?
 3才の時、隣りの子が持っているピアノ教室に通うバッグが欲しくて親に頼み込んだんです(笑)。
-浜コンの印象はいかがですか?
 練習室のピアノが新しくてすごいです。しかも毎回調律されているので、状態がいいです。
-演奏を終えて、いかがでした?
 2次に行けたらすごいことだし、嬉しいです。
〔インタビュー中ツボにはまったのか、笑いが止まらなくなり、笑いっぱなしの楽しいインタビューでした〕

仲田みずほさんと加藤大樹

32 加藤大樹さん(日本/19才)
-3次予選のプログラム構成がとてもユニークですね。あれは自分で考えたのですか?
 はい、自分で考えてあとで先生に相談しました。リストの編曲物はリストの作品とはまた別の魅力があります。オペラを題材にしたヴェルディ/リストの「アイーダ」より神前の踊りと終幕の二重唱にも言えることですが、よく取り上げられる場面ではなくて、哲学的な部分で、リストのチョイスの仕方が天才的だと思います。
-江口先生にはいつから習っているのですか?
 中1からです。高校1年の12月の終わりごろ、先生とゆっくり話す機会があって、その時ずっとピアノをやっていく決心をしました。今日も、朝、激励のメールを頂きました。そのお心遣いを嬉しく思います。
-浜コンの印象はいかがですか?
 事務局の対応がていねいで、不安はないです。審査委員の先生もそうそうたる顔ぶれで、大きなコンクールだと実感しています。ホテルと練習室と会場がほぼ隣接していて、移動が楽です。

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