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第1次予選3日目

2009年11月11日|トピックス

 第1次予選もいよいよ佳境に入り、ちょうど中日(3日目)を迎えた。演奏者が変わるものの、何度も弾く曲が出てくると、演奏の良し悪しの前にその曲の持つ素晴らしさに感動することがある。

 第1ブロックの3人が揃ってショパンのスケルツォを弾くという出来過ぎのようなプログラムが出来上がった。最初に演奏したのはクアン・シェンユエンさん(台湾/27才)で、バッハの平均律クラヴィーア集 第2巻 変ハ短調とベートーベンのピアノ・ソナタ 大32番 第1楽章を弾いた後にスケルツォ の第2番を弾いた。

 続いてアン・ジョンドさん(韓国/23才)は、モーツァルテウム音楽大学の学生らしくモーツァルトのピアノ・ソナタ 第16番 第1楽章を演奏の後、スケルツォ 第1番を弾いた。そして、スケルツォを弾いた3人目は、ハン・サンイルさん(韓国/25才)でスケルツォ 第3番だった。演奏する本人たちも3人続けてスケルツォということは意識していたらしく、最初に弾いたクアンさんは自分の演奏が終わると演奏を聴きに会場へ入っていった。

 ショパンの舟歌 嬰ヘ長調も二人の出場者の演奏が続いた。まずはショーン・チェンさん(アメリカ/21才)がのびのびとした演奏を聴かせてくれた。次はアナ・キピアニさん(グルジア/15才)。いずれも同じ曲ながら、女性と男性の演奏の弾き比べを楽しめたような気がする。

 第3ブロック(16 10~17 10)最初の演奏者イワン・アレクサンドロフさん(ロシア/22才)のリスト、超絶技巧練習曲 第10番 ヘ短調、最後の演奏者チェン・チャンさん(中国/26才)のハイドン、ピアノ・ソナタ ニ長調など、楽しんで聴くことが出来た。

 

44 クアン・シェンユエンさん(台湾/27才)
クアン・シェンユエンさん -タイムオーバーのベルが鳴ってしまいましたね。
 大丈夫だと思っていたんですけどね。たぶん、曲と曲の間に時間をかけすぎたのかもしれません。でも気にはしてません。
-1次予選の選曲はどのように?
 ショパンのスケルツォ2番が前の二つの曲とのコントラストにいいと思って選びました。
-台湾からの出場者はクアンさん一人でしたね。
 もっと来るかと思いました。
-ご自分の演奏はどうでした?
 もっとクリアに弾きたかった。審査員がどう評価するか...。 <br>

 

3 アン・ジョンドさん(韓国/23才)
アン・ジョンドさん -浜松コンクールはどういう印象ですか。
重要なコンクールの一つだと思っています。浜コンに出ようと思ったのは、先生の奥さんが日本人で浜松の人だったんです。それで、勧めてくれました。
-今日の演奏の出来はどうでした?
 (笑いながら)緊張しましたし、ウィーンから日本へフランクフルト経由で来たんで、とても疲れました。
-モーツァルテウム音楽大学の学生でしたよね?
 学校ではたくさんのモーツァルトを練習します。モーツァルトの曲には沢山の夢とファンタジーがあるように思います。癒しの力があって、疲れている時に聴くといいですよ。

 

65 パク・ジョンヘ(韓国/19才)
パク・ジョンヘさん -(演奏を終えてバック・ステージで)何度もため息をついているようですが、演奏はどうでした?
演奏は自分のベストじゃなかった、もっといい演奏が出来るのに…。
〔写真は、同じくコンクールに参加している仲間からかかってきた電話に応えるジョンヘさん〕

 

9 ショーン・チェン(アメリカ/21才)
ショーン・チェンさん -演奏はどうでした?
 練習も沢山しましたし、うまく出来たと思います。
-とてもいい舟歌だったと思います。
 1次でも何かアピールするものがなくてはいけない、それで舟歌を選曲しました。
-3次でエリオット・カーターの曲を弾くことになっていますね。
 何か新しいものをと考えて、カーター、リゲティなど現代音楽に挑戦することにしました。現代曲はなかなか難しいが、この曲(カテナリー)は皆さんにも審査員の先生にも気に入ってもらえると思います。

 

78 ミハウ・シマノフスキーさん(ポーランド/21才)
ミハウ・シマノフスキーさん -演奏はいかがでした?
 よくないです。メロディーを活かした演奏を心がけたつもりだったが、ベースが大きかったかもしれない。よく眠れなかったので、疲れました。
-作曲家のシマノフスキーとは関係があるのですか?
 確か、シマノフスキーは結婚しなかったから、子供はいないんじゃないかな。
 僕とのつながりはないと思います(笑)。3次予選まで行けば、シマノフスキーの変奏曲 変ロ短調を弾きますよ。

 

2 イワン・アレクサンドロフさん(ロシア/22才)
イワン・アレクサンドロフさん -繊細なタッチで、それでいてしっかりした演奏でしたね。
 出来はまあまあかな(笑)。あまり英語は話せないので、今度ロシア語の通訳をつれて話しに行きますよ。
―はい、お待ちしています。

 

8 チェン・チャンさん(中国/26才)
チェン・チャンさん -ベルが鳴ってしまって、ポロネーズが途中まででちょっと残念でしたね。
 最初聞こえなくて、何かあったのかなくらいに思っていました。以前、つい立が倒れて来たことがあったのですが、そのときも気づきませんでした(笑)。
-ハイドンはよかったですね。
 バッハはいろいろとルールがあって緊張するんですが、ハイドンはフレッシュで、ユーモラス。バラエティーに富んでいるところが好きですね。ベートーベンやモーツァルトに比べると人気がなかったんですが、最近見直されてきているようです。


 80分の休憩を挟んだのちの後半、最初に登場したのは、前回の浜コンに引き続いての参加、ジームス・ジェウォン・ムーンさん(オーストラリア/23歳)。ステージに登場するときの満面の笑顔が印象的だったのでその笑顔を見るのを楽しみにしていたのだが、期待を裏切ることなくにこやかに登場! まずはバッハを軽やかに紡ぎ、続くモーツァルトのピアノソナタ第9番はとても楽しそうに。リズミカルできれいな音が魅力的だ。ラストはリストのハンガリー狂詩曲第12番。丸く、ボリュームたっぷりの音でぐっと聴くものを引きこんだ。

 ナザレノ・ファルージオさん(イタリア/28歳)は、バッハ、モーツァルトのソナタ、ショパンのアンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズを演奏。どの曲もペダルをふんだんに使った演奏。最後まで弾き終えることなく、ベルが鳴ってしまった。演奏曲目リストを見ていて、リサイタル形式で曲を自由に選ぶことのできる3次予選でベートーヴェン、ショパン、スクリャービンとソナタ3連発のプログラミングにしていたのが目に付いた。このソナタ責め、聴くことができることになれば、どんな50分になるのか興味深い。

 続いて登場したのは、ムーン・ヒョンジさん(韓国/26歳)。バッハは歯切れの良いきれいな打鍵。ロマン派作品の1曲には、メトネルの『忘れられた調べ』第1集より『祝祭の踊り』を選曲し、よくまわる指で美しい演奏を聴かせた。

 休憩を挟んで、本日最後のブロック。今年の春に開催されたアカデミーの優勝者チョさんと、浜松出身のコンテスタントが登場することもあってか、聴衆の入りもいつもより多い。

 まず登場したのは、前述のアカデミー優勝者、チョ・ソンジンさん(韓国/15歳)。打鍵もはっきりと、いさぎよく、主張のあるバッハ。続いてベートーヴェンの『熱情』は、まろやかなパートとパキっとしたパートのメリハリがある。聴いていてどきりとするほどのインパクトを挟みながらの熱い演奏。最後は『の英雄ポロネーズ』を、力強い音で、エネルギッシュに弾ききった。

 本日のラストは、地元浜松出身の犬飼新之介さん(日本/27歳)。心なしか、登場時の拍手の量も多い。遊び心があり、パワフルでダイナミックなベートーヴェン。ホールの響きを確かめながら演奏しているような、音楽に入り込んだ仕草が印象的だ。最後に演奏したメフィスト・ワルツは、過剰になりすぎることのない、心地よい抑揚で、ゆっくりと弾きすすめられた。高音もきれいに響かせ、また静寂も聴かせる美しい熱演だった。


55 ジェームス・ジェウォン・ムーンさん(オーストラリア/23歳)
ジェームス・ジェウォン・ムーンさん ─ステージはいかがでした?
思ったよりすごく緊張してしまいました。前回参加した3年前はぜんぜん大丈夫だったので今回も緊張しないだろうと思ってたんですけど……、実はちょっと震えてたんですよ! もしかしたらもっと練習しないといけないのかも(笑)。
─ホールやピアノはどうでした?
ピアノ選びのとき、実はとっても難しかったんです。どのピアノもとても似ていたから、決めるのが大変だった。でも今日弾いたスタインウェイはとても調子が良かったです!
─前回もそうでしたが、ステージの上であなたはいつも笑顔ですよね! とくにモーツァルトのときはとても楽しそうでした。
はい(笑)。とくにモーツァルトはハッピーな作品でしたから。彼は冗談が好きで、今日の作品もジョークのようなものがちりばめられているものでしたから。
─3年ぶりの浜松は?
まるで家に帰ってきたみたい。新幹線で駅に着いたら、知っている女性が迎えに来て「元気~!」って声をかけてくれて。事務局に手続きに行っても、みんなが僕のことを覚えていてくれて嬉しかったですね。とりあえず、今からホテルに帰って寝ます! でもその前に、ちょっとハンカチを忘れたからここで買います!

[そう言って、ホールロビーのショップでピアノの鍵盤柄のハンカチを購入! 汗をふきふき、ホテルに戻って行かれました。]


10 チョ・ソンジンさん(韓国/15歳)
チョ・ソンジンさん ─ステージを終えて今の気分は?
とっても緊張しました~。だからちょっとミスもあったかもしれない。でも良い経験になったし、もっと練習をしようと思いました。ホールもとてもすばらしいので、ピアノを弾いていて喜びを感じました。
─今年のアカデミーでの優勝が、浜コン参加のきっかけですか?
そういうわけでもないんですが。もともと、勉強のためにアカデミーを受けなさいと先生に勧められこの春受講して、そのあと浜松コンクールを受けることにしたので。引き続き一生懸命勉強してきました。
─みんな注目していると思いますよ!
そうですか(笑)。僕の演奏どうでした?
─とてもパワフルですばらしかったですよ! あんなエネルギーが出るなんて、コンサートの前には何を食べているんですか?
スパゲッティを食べました。好物なんです(笑)。まだ夕飯を食べてないのでお腹がすきました(笑)!

[笑顔で写真撮影に応じてくれたチョさん。カメラの画面を見て日本語で「かわい~!」というと、はにかんだ笑顔。「かわいい」の意味、ご存知なのだそうだ。]


30 犬飼新之介さん(日本/27歳)
犬飼新之介さん ─演奏中はどんな気分でした?
久しぶりの地元浜松での演奏でしたし、コンクールということもあってまた違う緊張感がありました。ホームで弾くという安心感と、知っている方々が聴いているからという緊張感があって、ちょっと力んでしまったところがあるかもしれません。
─地元ということですごい注目度ですね!
とんでもないです、注目度があるかどうかわかりませんが……僕はマイペースで音楽を勉強しながら、演奏できる機会があり、喜んで聴いてくれる方がいらっしゃれば、嬉しいという気持ちです。
─ホールやピアノはいかがでした?
子どものころからジュニアコンサートなどで演奏する機会があった会場なので、懐かしい気持ちでしたね。
─この後のステージはとてもワイドなレパートリーのプログラムですね。
そうですね。コンクールとはいえ、技術だけを見せるレパートリーばかりでなく、流れと変化のある、楽しんでいただけるプログラムにしたいという気持で、いろいろな時代の、キャラクターの異なる作品を選びました。でもやっぱりそれだけ異なるものを40分とか60分という時間内で弾くのは大変ですね。
─今日のロマン派の作品にはメフィスト・ワルツを選ばれましたが。
僕自身、10代のころに勉強したことがあって、もともと若い方がよく弾く曲というイメージがありました。これはレーナウの『ファウスト』に基づいて作曲された作品で、そういった詩を読んだり勉強したりしてから、もう一度今演奏してみてもいいなと思うようになったんです。単にヴィルトゥオーゾ的な曲というだけではないということを表現したくて演奏したんですけど……なかなかむずかしいですね(笑)。

 

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