聴衆賞
第7回浜松国際ピアノコンクールで第2位に輝いたのは、エルマール・ガサノフさん(ロシア/26才)です。
『あなたも審査委員』で、「いい演奏は誰が聴いてもいい演奏。それが証拠に、もしいい演奏だったなあと思った出場者がいたら、結果が出る時に注目してみてください。多分、次のステージへ進んでいるはずです。クラシック音楽は、知識がないと評価する権利はないと思っているかも知れませんが、気に入った演奏はやはりいい演奏なのだと思います」と、私は申し上げました。今回、エルマール・ガサノフさんは聴衆賞を受賞されました。この賞はみなさんが投票によって決めた賞です。ガサノフさんの演奏を気に入った方が多かった、みなさんから支持されたコンテスタントがガサノフさんだったと言ってもいいのではないでしょうか。優勝こそされませんでしたが、みなさんが選んだガサノフさんが2位だったということは、みなさんも相当レベルの高い耳をお持ちだということです。
実は、ガサノフさんが本選でラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲 イ短調」を弾いた時、最初のフレーズを聴いただけで、身体がゾクッと反応していました。本選の演奏直後、その感動をどうしても伝えたくて、インタビュー会場に向かっていたガサノフさんに話しかけました。
「ガサノフさん、素晴らしい演奏でした!クラシックなのに、私にはまるでジャズを聴いているような新しさを感じました」するとガサノフさんはトロリとした笑顔で、「ラフマニノフは、アメリカに住んでいたからね」と、ジャズのように聴こえたという私の感想を喜んでくださいました。
先日、モスクワ音楽院大学院伴奏科に通うかたわらルースカヤ・オペラ劇場のコレペティトゥーアをしている鳥谷静香さんと演奏会でご一緒し、彼女からガサノフさん情報を入手いたしました。
モスクワでは、ガサノフさんはまったくのノーマーク、逆にイワン・ルージンさん(ロシア/27才)はコンサートやリサイタル活動も活発にされているらしく、モスクワでも知られた存在で、今回の出場を聞いて、なんでいまさらコンクールに出るんだろうともっぱらの噂だったということです。確かにルージンさんの演奏は安定した聴き応えがあり、「1次においても持っている実力を見せつける素晴らしい演奏をしたが、今日の演奏でも4つの作品を上手くまとめ上げ、聴衆を魅了した。どうしたら、聴衆に喜んでもらえるか、計算づくでの演奏だったと思う」と、私もコンクールレポートの中で、ルージンさんの素晴らしい演奏について2次の演奏直後の感想で書いています。
そのようなわけで、ガサノフさんが第2位になった知らせを受けて、モスクワ音楽院は大騒ぎだったそうで、先生や学生が大変喜んで、彼を祝福したということです。
ガサノフさんはモスクワに帰って3、4日はゆっくりするといっていましたから、今頃はもう練習漬けの毎日かもしれません。
ガサノフさんとルージンさんの今後の更なるご活躍をお祈りいたします。
角田珠実







