浜松国際ピアノコンクール/THE HAMAMATSU INTERNATIONAL PIANO COMPETITION


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浜コン スピン・オフ

キング・オブ・コンチェルト

キング・オブ・ポップといえば、6月に亡くなられたマイケル・ジャクソンさんのことですが、今回、本選で演奏される数が一番多い曲を、キング・オブ・コンチェルトと呼びたいと思います。

6名の本選進出者が出揃いましたが、彼らの演奏する曲は演奏順に以下のとおり、
フランソワ・デュモンさん:ベートーヴェン・ピアノ協奏曲 第5番 「皇帝」
アン・スジョンさん:ラフマニノフ・ピアノ協奏曲 第2番
チョ・ソンジンさん:ベートーヴェン・ピアノ協奏曲 第5番 「皇帝」
ホ・ジェウォンさん:ラフマニノフ・ピアノ協奏曲 第2番
エルマール・ガサノフさん:ラフマニノフ・パガニーニの主題による狂詩曲
キム・ヒョンジョンさん:ベートーヴェン・ピアノ協奏曲 第5番 「皇帝」

従って、第7回浜松国際ピアノコンクールのキング・オブ・コンチェルトは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲 第5番 「皇帝」です。6人中3人が弾くという、なんとも人気者です。でも全出場者85人の中でこれを弾こうとしたのは6人でした。そこで、他の出場者は一体何を弾く予定だったのか、また私の好奇心が動き出しました。といいますのは、これまでコンクールの本選でピアノ協奏曲 第5番 「皇帝」を弾く人はそんなにいなかったと記憶しているからです。やはり、本選といいますとチャイコフスキーのピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調が一番人気で、その次にラフマニノフ・ピアノ協奏曲 第2番、プロコフィエフのピアノ協奏曲 第3番が来る傾向にあったように思います。私が取材するコンクールがたまたまそうだったのかもしれません。

そこで、数えてみましたら、次のような結果が出ました。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲 第1番:12人
プロコフィエフのピアノ協奏曲 第3番:12人
リストのピアノ協奏曲 第1番:8人
ラフマニノフのピアノ協奏曲 第3番: 8人
ラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番:6人
ベートーヴェンのピアノ協奏曲 第5番 「皇帝」:6人
ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲:5人
と、これだけを見てもお分かりのように、本選に残った出場者が弾こうとしている曲は、そう多くはなかったのです。

コンクールの本選では、必ずチャイコフスキーのピアノ協奏曲 第1番を弾く人がいたものですが、今回は誰もいない、ちょっと寂しい気もしますが、ものは考えよう。ベートーヴェンのピアノ協奏曲 第5番 「皇帝」を違う演奏者で3度も聴けるなんて、滅多にないことですから、大いに楽しみたいものです。

ラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番も2回、それも「歌うピアニスト」である二人が弾いてくれるなんて、今からワクワクするではありませんか。ちなみにこの二人の韓国人ピアニストはC.M.カン先生の教え子です(アン・スジョンさんは、現在J.オコーナー先生に師事しています)。同じ先生に教わった二人が同じ曲を弾くというわけです。

アン・スジョンさん

先日彼らがプレスセンターに遊びに来てくれた時、「あなたたちが同じ曲を弾くのは、何か意味があってのことですか?」と聞くと、まったく知らなかったそうで、申し込みの締め切り後に知ったのだそうです。本選ではライバルですが、とにかく仲の良い二人です。

ちなみに弾く予定だった方が一人だった曲をご紹介しましょう。
犬飼 新之介さん:ショスタコーヴィッチ・ピアノ協奏曲 第1番
ナザレノ・ファルージオさん:ラヴェル・ピアノ協奏曲 ト長調
アン・ジョンドさん:ベートーヴェン・ピアノ協奏曲 第4番
輝く個性に拍手です。

角田珠実