

表面的な流行にとらわれず、常に音楽の本質に迫る演奏を信条とする若林顕は、ラフマニノフなどの作品には、濃いロマンティシズム溢れる劇的な表現力を発揮し、
ベートーヴェンやブラームスなどのドイツ音楽では、奥深いアプローチに定評がある。とりわけ、単に音の美しさにとどまらない、自在な音色の表現に、
近年、ますますの磨きをかけている。
2002年10月カーネギーホール(ワイル・リサイタル・ホール)にリサイタル・デビューを果たし、好評を博す。同年2月にはトロントにてMusic Toronto Chamber Music Seriesに出演、
2003年4月にはシカゴのマイラヘス=リサイタル・シリーズにて大成功を収め、2004年6月にも同シリーズに再び招かれた。2004年1月にはフランスのナント音楽祭に出演、
また、2005年5月にはマンチェスターの「ノーザン・カレッジ・オブ・ミュージック」にてマスタークラスを行うなど、国際的な活躍の場を広げている。
東京藝術大学を経て、ザルツブルク・モーツァルテウムおよびベルリン芸術大学院卒業。田村宏、ハンス・ライグラフの各氏に師事。
1982年第51回日本音楽コンクールピアノ部門第2位。留学中の1985年、第37回ブゾーニ国際ピアノコンクール第2位入賞。さらに1987年には、
弱冠22歳でエリザベート王妃国際コンクール第2位受賞の壮挙を果たし、一躍脚光を浴びる。
日本のみならず世界各地でのリサイタルの他、NHK交響楽団を始めとする国内の主要オーケストラ、スコティッシュ・チェンバー・オーケストラ、
パドゥルー管弦楽団、リンブルク交響楽団、エーテボリ交響楽団、ノールショッピング交響楽団、ロシアナショナル管弦楽団、等とも協演を重ね、
その音楽に対する真摯な姿勢は、国内外の指揮者、オーケストラからの信頼も厚い。最近では、2008年11月にロシアに於いてサンクトペテルブルク響と協演し、大成功を収めた。
ヴァイオリンのコリア・ブラッハー、堀米ゆず子、チェロのスティーブン・イッサーリス、堤剛、山崎伸子、クラリネットのカール・ライスター、
オーボエのフランソワ・ルルー、ホルンのラデク・バボラク、ライプツィヒ弦楽四重奏団、ウィーン八重奏団、等との協演など、室内楽にも積極的に取り組んでいる。
2007年秋には「ヴィルトゥオーゾ・プログラムによる3連続演奏会」と題したリサイタル・シリーズを東京にて開催、
「・・若林の音質、とりわけ音の色彩感覚における一層の深化が示されたリサイタルであった。・・彼にとってのテクニックとは、
作品の内面を汲み取り、それを表現するための手段なのだ。・・・」など、数多くの高い評価を得た。近年、ピアノ協奏曲の弾き振りを中心とした指揮活動を開始、
新分野への挑戦が注目を集めている。
レコーディングにも積極的な取り組みを続けており、2008年12月にはオクタヴィア・レコードとベートーヴェン(リスト編)「第九」をリリースした。
1992年出光音楽賞、1998年モービル音楽賞奨励賞、2004年ホテルオークラ賞受賞。
現在、桐朋学園大学特任教授、同大学院大学教授として後進の指導にも力を注いでいる。