浜松国際ピアノコンクール/THE HAMAMATSU INTERNATIONAL PIANO COMPETITION


スタッフレポート

第3回音楽アラカルト

講義中の村上輝久さん

 10月17日(土)、アクトシティ音楽工房ホールで第3回音楽アラカルトが行われました。
今回は、第7回浜松国際ピアノコンクール開催記念で、題材はもちろんピアノ。「いい音ってなんだろう?」というタイトルで、 ピアノ技師の村上輝久さんとピアニストの鈴木弘尚さんが講師として招かれました。
 あいにくの雨で来場者の出足は遅かったものの、開演少し前には満席に。ピアノという楽器に精通している世界的技師のレクチャーと、 人気、実力を兼ね備えた若手ピアニストの演奏が一度に楽しめるというなんとも貴重な機会を、少しの雨ぐらいで浜松の音楽ファンが逃すはずがありません。

 さて、この豪華なプログラム、まずは村上さんのお話から始まりました。村上さんは、いい音を追求してきたら世界の巨匠たちと巡り会い、 お仕事をすることができたのだそう。ミケランジェリにとっていい音とはリッチな音、リヒテルにとっては、ドルチェなピアノということでした。 村上さんがドルチェな音というのを理解していなかったので、リヒテルは、わざわざイタリアのあまーいドルチェ(ケーキ)を持ってきて説明をしてくれたなど、 巨匠たちのユニークなエピソードを盛り込み、とても興味深いお話をしてくれました。
 それからピアノの楽器としての変遷について説明がありました。チェンバロ、モーツァルトのピアノ、ベートーヴェンのピアノの貴重な録音が流され、 来場者たちは音色の違いを聞き分けようと注意深く耳を澄ませていました。その後、1つのキーを狂わせることによって、 どのように全体の響きがゆがんでしまうかという実演が行われ、普段親しんでいるピアノの楽器としての側面に触れてピアノ鑑賞の新しい楽しみ方を教えてもらいました。

 村上さんのお話の後は、鈴木弘尚さんの演奏です。巧みな技術と表現力で、弾く曲によって様々な表情を見せてくれました。 繊細さや力強さ、クールな外見からは見て取れない内に秘めた情熱などが音の中に盛り込まれており、会場中が魅了されました。 曲と曲の間にコメントを入れていても集中力は全く途切れることがなく、ラストのプロコフィエフソナタ第7番は、 演奏後に村上さんにピアノがつぶれるかと思ったと言われたほど、迫力に満ちていました。

 その後客席からの質問に、二人で代わる代わる丁寧に応答。何度か講座を一緒にやられているということで、息がぴったりの様子でした。
 お二人にとってのいい音とはという質問に、村上さんは自分自身が感動した時の音、弘尚さんはホールの隅々まで伸びやかな音が 飛んでいったような感覚がする時の音と答えていました。
 村上さんは、浜松国際ピアノコンクールを第1回目からご覧になっているそうです。華やかな本選が人気があるようだけど、1次予選が一番楽しいとか。 なぜかというと1次予選には課題曲があるのですが、同じ曲でも人によって音が全然違うからだそうです。そんなわけで、講座の後、 ピアノコンクールのチケット売り場では1次予選が一番人気でした。

 質疑応答で最後に質問してくれた川村藍さん(11歳)も、妹の奈々さん(8歳)、母親の順子さんと一緒に1次予選を見に行くそうです。 藍さんは年齢の下限がない浜コンに出場したいという希望はあるのですが、ピアノの先生にはまだまだだと言われているそう。 第8回コンクールが開催される予定の3年後にはどのぐらい上達しているのでしょうか。

 さて、来月8日に、いよいよコンクールが開幕します。村上輝久さんが太鼓判を押すほど響きが良いアクトシティ中ホールに、 皆さんにとっての「いい音」を探しにきませんか!

演奏中の鈴木弘尚さん

客席からの質問に丁寧に応答